2010年03月09日
 バシュフル盆地のブロンド美人
Posted by ag at 23:19/ カテゴリー: MOVIE_Database

TheBeautifulBlondefromBashfulBend.jpg監督:プレストン・スタージェス
出演:ベティ・グレイブル、セザール・ロメロ、ルディ・ヴァリー、オルガ・サン・ジュアン、ポーター・ホール、ヒュー・ハーバート、アル・ブリッジ、エル・ブレンデル、スターリング・ホロウェイ、ダン・ジャクソン、エモリー・パーネル、
原題:The Beautiful Blonde from Bashful Bend
制作:アメリカ/1949
URL:
場所:シネマヴェーラ渋谷

プレストン・スタージェスの映画を観るのはこれで6本目だ。劇場で観るのは1994年に銀座テアトル西友で『パーム・ビーチ・ストーリー』『レディ・イヴ』『サリヴァンの旅 』の3本を観て以来の16年ぶり。それに加えてテレビで観た『殺人幻想曲』と『モーガンズ・クリークの奇跡』と今回の『バシュフル盆地のブロンド美人』で合計6本。プレストン・スタージェスは生涯、全部で13本(『The Sin of Harold Diddlebock』とその再編集版『Mad Wednesday』を一つとすると12本?)しか映画を撮っていないので、そのすべてをコンプリートしたいと昔から願ってはいたけれど、いつしか情熱も冷めてしまってそのままだった。

ところが、最近はこればかっりだけど、Twitterの情報攻撃で気運が復活。シネマヴェーラで『バシュフル盆地のブロンド美人』をやるぞ! のタイムライン攻撃に曝されれば、それはもう行くしかないでしょう。これを機会にさらにDVD化されている『結婚五年目』と『7月のクリスマス』も見ようかな。新宿TSUTAYAあたりで借りられるかな?

今回の『バシュフル盆地のブロンド美人』は、単純なドタバタコメディのプログラムピクチャーだったけど、やっぱりプレストン・スタージェスの巧さが出てる。そして、しっかりと観るのがおそらく初めてのベティ・グレイブルも良かった。今までは、ビリー・ワイルダーの『第十七捕虜収容所』に出て来た“ゲイブルじゃないグレイブルだ”のセリフでしか知らなかったから。

 2010年03月01日
 人間失格
Posted by ag at 23:24/ カテゴリー: MOVIE_Database

人間失格監督:荒戸源次郎
出演:生田斗真、伊勢谷友介、寺島しのぶ、石原さとみ、小池栄子、坂井真紀、室井滋、石橋蓮司、森田剛、大楠道代、三田佳子
制作:角川映画/2010
URL:http://www.ns-movie.jp/
場所:ワーナー・マイカル・シネマズ板橋

映画の中の葉蔵も、

人間に対して、いつも恐怖に震いおののき、また、人間としての自分の言動に、みじんも自信を持てず、そうして自分ひとりの懊悩(おうのう)は胸の中の小箱に秘め、その憂鬱、ナアヴァスネスを、ひたかくしに隠して、ひたすら無邪気の楽天性を装い、自分はお道化たお変人として、次第に完成されて行きました。

の結果、形成された人間として登場するのかとおもったら、どうやら違う。どんな角度から見ても生田斗真の葉蔵はそうは見えなかった。観はじめてからそれがわかると、無性にがっかり。森田剛の中原中也と絡むトンネルのイメージ・シーンも酷い。

でも考えてみれば、太宰治の小説が嫌いと言っておきながら、その映画化に完成度を求めるのはどんな気持ちなんだろう。もし小説「人間失格」がしっかりと映画化されたら、その映画を大好きになる予感があるからなんだろうけど、それじゃあ小説の「人間失格」が好きなんじゃん、ということになってしまう。まあ、好きなんでしょう。ワケ分からん。

女優の中では、昭和な香りがする石原さとみが良かった。室井滋も良かったけど、ちょっとやり過ぎかなあ。

 2010年02月28日
 一箱古本市の歩きかた
Posted by ag at 11:06/ カテゴリー: BOOK_Database

一箱古本市の歩きかた著者:南陀楼綾繁
出版社:光文社新書、光文社
購入場所:三省堂書店本店

この本の著者の南陀楼綾繁さんに誘われて、第1回目の一箱古本市に参加させてもらったのが2005年のことだった。今考えると、何のポリシーも無しに、ただ単純に参加しただけ、になってしまったのが凄く悔やまれる。もう一回参加する事ができれば、もうちょっと自分の色が出せるとおもうんだけど。でもそんなに読書家じゃないからなあ。手放さざるを得ない状況になるほどのたくさんの本が無い。いや、無い事はないんだけど、それを手放す事がなかなか出来ない。なんだろうなあ、このコレクターの性癖は。そんなにコレクターでもないのに。

一箱古本市は、その第1回目から地道に活動が続けられ、今では全国に広がってる。これは凄い。ナンダロウさんの行動力にはいつも敬服するばかり。いや、こんな軽い言葉の賛辞だけじゃなくて、もっとそこに参加するべきなんだろうけど、そんなに本に詳しいわけではないので、どうしても一歩引いてしまうのが何とも。

Twitterの自分のタイムライン上では出版危機の話しが持ち切りで、その打開策としてKindleやiPad上の電子書籍に期待が高まっているけど、そういったビジネスの観点から出版の在り方を問う議論も大切なんだろうけど、それとは逆方向の読者の側から、本が好きで好きで堪らない人たちがネットワークを築いて、本を楽しんでいる風景を見せることも同じようにとても大切なんだとおもう。その二つがうまく折り合って行く事を願って止まないです。

 2010年02月23日
 フローズン・リバー
Posted by ag at 23:11/ カテゴリー: MOVIE_Database

フローズン・リバー監督:コートニー・ハント
出演:メリッサ・レオ、ミスティ・アパーム、マーク・ブーン・ジュニア、チャーリー・マクダーモット、マイケル・オキーフ
原題:Frozen River
制作:アメリカ/2008
URL:http://www.astaire.co.jp/frozenriver/
場所:シネマライズ

“フローズン・リバー”とは、ニューヨーク州の最北、アメリカとカナダの国境間に流れるセント・ローレンス川のこと。真冬にはその川が凍って、氷の上を車で渡る事が出来てしまう。それを利用してアメリカへの不法入国を手助けしてしまう女性の話しがこの映画だった。


大きな地図で見る
(映画の舞台はニューヨーク州マシーナ)

なぜか、アメリカとカナダ間の国境にはすごく興味があって、デイヴィッド・リンチの『ツイン・ピークス』なんて、そこが魅力の一つだった。いやいや、別にアメリカとカナダの国境だけじゃなかった。どこの国でも陸続きの国境には興味があるんだった。まあ、国境フェチです。国境が出て来る映画は何でも観ます。なので、アメリカとカナダの国境間に横たわるモホーク族の保留地なんて興味津々。そこが緩い治外法権になってる話しなども目新しくてストーリーとは関係なく映画を面白く見てしまう。

映画としては、シーンごとの画の作り方が少し粗くて、特に人物を捉えた時のショットが的確な構図とは言えなかった。そこを丁寧に撮っていれば、お金に困った女性がいつの間にか犯罪に手を染めてしまって、行き場の無いところまで追いつめられる焦燥感をもっと表現できただろうに。

 2010年02月22日
 扉をたたく人
Posted by ag at 23:09/ カテゴリー: MOVIE_Database

扉をたたく人監督:トム・マッカーシー
出演:リチャード・ジェンキンス、ヒアム・アッバス、ハーズ・スレイマン、ダナイ・グリラ、マリアン・セルデス、マギー・ムーア、マイケル・カンプステイ、リチャード・カインド、アミール・アリソン
原題:The Visitor
制作:アメリカ/2008
URL:http://www.tobira-movie.jp/
場所:DVDレンタル

アメリカ映画でも、非メジャー系の映画やサンダンス系の映画では時々、まるでヨーロッパ映画のような雰囲気を持つ映画が作られる。この映画もまるでドイツ映画やスウェーデン映画のような、主に北方ヨーロッパ系映画のような寒々しい色合いを出している映画だった。それに主演もリチャード・ジェンキンスという地味な俳優だし、セリフが少なく、情景描写が多く、すべてにおいてしっとりとしたヨーロッパ映画の風情だった。

とはいえ、さすがにアメリカ映画。ストーリーはハリウッド映画なみにはっきり、しっかりとしていて、見せかけだけの人生を送ってきた大学教授とアメリカに不法滞在しているシリア系青年、そしてその母親との交流が丁寧に描かれている。大学教授とシリア系青年の心が通じ合う過程に小道具として楽器を使うところや、9.11以降のアラブ系移民への不法滞在の取り締まりの厳しさなど時事問題を盛り込むのも抜け目ない。沈着冷静なリチャード・ジェンキンスがアメリカ移民局に対して激高するシーンをストーリーのピークに持ってくるのも巧いし、ラストシーンの小道具の楽器が生きてくるのも素晴らしい。

なるほど、この手のヨーロッパ映画の風情を持ちながら、ハリウッド映画なみにしっかりとストーリーを作り込んでくる映画が大好きなことがわかってきた。

 2010年02月15日
 3時10分、決断のとき
Posted by ag at 23:59/ カテゴリー: MOVIE_Database

3時10分、決断のとき監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベール、ピーター・フォンダ、グレッチェン・モル、ベン・フォスター、ダラス・ロバーツ、アラン・テュディック、ヴィネッサ・ショー、ローガン・ラーマン、ケヴィン・デュランド
原題:3:10 to Yuma
制作:アメリカ/2007
URL:http://www.310-k.jp/
場所:DVDレンタル

『17歳のカルテ』や『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』がとても面白かったのに、なぜかその後のジェームズ・マンゴールド監督の映画を追いかけようともしなかった。今回の『3時10分、決断のとき』も観た人から面白いと勧められてはじめて、あっそうだ! ジェームズ・マンゴールドだ! とおもい出したくらい。

ストーリーは西部劇の父と息子の話し。そこにラッセル・クロウの極悪人が絡む。息子は極悪人に理想の父親像を見るが、今まで嫌っていた父親の極悪人に対する執念に心揺さぶられて、そこに真の父親像を見出すという話しだった。この三角関係が計算尽くされた上で話しが進んで行く。骨格がきっちりしているからこそ、ラストの父と息子も泣かせる。

父親役にクリスチャン・ベールで、極悪人にラッセル・クロウ。ラッセル・クロウって、こんな役がぴったり。90%が悪で、10%くらいの良心が見え隠れする役柄。

うん、やっぱりジェームズ・マンゴールドは素晴らしい。今後はちゃんと追いかけよう。

 2010年02月12日
 抱擁のかけら
Posted by ag at 23:59/ カテゴリー: MOVIE_Database

抱擁のかけら監督:ペドロ・アルモドバル
出演:ペネロペ・クルス、ルイス・オマール、ブランカ・ポルティージョ、ホセ・ルイス・ゴメス、ルーベン・オチャンディアーノ、タマル・ノバス
原題:Los abrazos rotos
制作:スペイン/2009
URL:http://www.houyou-movie.com/
場所:ワーナー・マイカル・シネマズ板橋

ペドロ・アルモドバルの映画はそれなりに観ているんだけど、じゃあ、好きかと言うとそうでもない。可もなく不可もなくと言ったところ。ところが、『トーク・トゥ・ハー』がめちゃくちゃ良かったので、今後連続して彼の映画を追いかけるとおもいきや、『バッド・エデュケーション』にはまったく食指が動かず、続いて『ボルベール〈帰郷〉』も見逃してしまった。

今回、ワーナー・マイカル・シネマズのポイントが溜まったので、そしてちょうどペドロ・アルモドバルの映画が掛かっていたので久しぶりに観てみた。

う〜ん、タイプとしては『トーク・トゥ・ハー』のような映画ではあったんだけど、思ったよりも感傷的な気分には浸れない映画だった。それは、現在と過去とのシーンの構成が巧くないからじゃないかとおもう。この構成では単純なエピソードの積み重ねだけにしか見えず、ルイス・オマールのペネロペ・クルスへの思いが高まって自動車事故と共に砕け散るシーンに対して感情移入することがまったく出来ない。あまりにも、現在と過去とのシーンの登場人物たちの感情変移の繋がりがなさすぎる。

ただ、初期のペドロ・アルモドバルの映画に出ていたロッシ・デ・パルマが1シーンだけ出ていたのは嬉しかった。ロッシ・デ・パルマは、まるでピカソの絵に出て来るような、一度見たら忘れられない風貌の女優。

 2010年02月04日
 キャピタリズム 〜マネーは踊る〜
Posted by ag at 23:40/ カテゴリー: MOVIE_Database

キャピタリズム 〜マネーは踊る〜監督:マイケル・ムーア
出演:国の税金で私腹を肥やしている人々
原題:Capitalism: A Love Story
制作:アメリカ/2009
URL:http://www.capitalism.jp/
場所:新宿武蔵野館

原題に“A Love Story”とあるように、今回のマイケル・ムーアの口調はいつもの攻撃的姿勢ではなくて、哀愁漂う静かな語り口調で淡々と攻めて来た。これはこれで、頭に血が上ったマイケル・ムーアではなくて、自分の考えを押し付けるように観る者を誘導する口調も抑えめで、良いんじゃないかとおもう。

が、最後にウディ・ガスリーの曲が流れて、もう俺だけじゃどうにもならない、みんなの助けが必要だ! と言うに及んでは、もうマイケル・ムーアも疲れ果ててるんだな、という感想以外に残らなくて、キャピタリズムに対する怒りなどはどこかに吹き飛んでしまった。これだけマイケル・ムーアが声高に叫び続けても、銃規制や医療保険制度改革もままならないアメリカに本当に嫌気がさしてるんだなあ、と。

それから、日本などの諸外国を持ち上げて、それに比べてアメリカは酷い! といういつもの口調が残っていて、そこにはまたまたゲンなり。いやいや日本ってそんなに良い国じゃないよ、と全員の日本国民がツッコミを入れるよ、絶対に。結局マイケル・ムーアってアメリカのことしか頭にないじゃん、というイメージしか植え付けないよね、この描き方は。

マイケル・ムーアは、あまりにも有名になりすぎてドキュメンタリーを撮りにくくなった、もうドキュメンタリーは撮らない、と言ってるらしいけど、確かにこの手法ではもう限界かもしれないなあ。ドキュメンタリーによって真実を突いていく姿勢よりも、どう見たってマイケル・ムーアのエンターテイナーぶりしか記憶に残らないから。

 2010年02月03日
 インビクタス/負けざる者たち
Posted by ag at 23:59/ カテゴリー: MOVIE_Database

インビクタス/負けざる者たち監督:クリント・イーストウッド
出演:モーガン・フリーマン、マット・デイモン、スコット・リーヴス、ザック・フュナティ、グラント・L・ロバーツ、トニー・キゴロギ、マルグリット・ウィートリー
原題:Invictus
制作:アメリカ/2009
URL:http://wwws.warnerbros.co.jp/invictus/
場所:ヤクルトホール(試写会)

『グラン・トリノ』から一転、なんともストレートなストーリーの映画だった。モーガン・フリーマン演じるマンデラ大統領が、ラグビーのワールドカップを利用して、分離していた白人と黒人を一つにまとめあげて新しい南アフリカ共和国を築いていく。そのプロセスがとてもスムーズに、あまり起伏もなく、大統領の家族に関する苦悩に対して鋭く突っ込みを入れることもなく、南アフリカのワールドカップ優勝と同時に白人と黒人の間の憎しみやわだかまりが徐々に薄まって行くさまが描かれている映画だった。

普段なら、あまりにストレートな映画は忌み嫌うところだけど、でもこの映画の場合、マンデラ大統領の人物像を掘り下げることに時間を割かずに、大統領に反対する勢力の暗躍を描くことなしに、ケレン味なくワールドカップ優勝まで突き進む過程のみを描いていたのは成功だったとおもう。30年間監獄に閉じこめられていた人間が、すべてを受け入れて、すべてを許す過程を描くのに、俗っぽい映画的手法はまったくいらないだろうから。

クリント・イーストウッドは本当にすごい。題材によって、どのように映画を撮るべきかを明確に把握していて、それを徹底させている。もう80歳になろうとしいてるなんて、誰が信じられるだろう。

 2010年01月31日
 ラブリーボーン
Posted by ag at 23:59/ カテゴリー: MOVIE_Database

ラブリーボーン監督:ピーター・ジャクソン
出演:シアーシャ・ローナン、マーク・ウォールバーグ、レイチェル・ワイズ、ローズ・マクアイヴァー、クリスチャン・アシュデール、スーザン・サランドン、スタンリー・トゥッチ、リース・リッチー、キャロリン・ダンド、マイケル・インペリオリ
原題:The Lovely Bones
制作:ニュージーランド、アメリカ/2009
URL:http://www.lovelyb.jp/
場所:ワーナー・マイカル・シネマズ板橋

殺された女の子の視点から描かれている映画なので、暗く、切ない映画を想像して(半ば期待して)、見終わった後はどんより落ち込んで映画館を去ることを想像して(半ば期待して)いたんだけど、おもったよりも落ち込むような映画ではなかった。それは、現世と来世の狭間に展開されるイメージ世界が、不思議と観るものに安心感を与えるようなCGになっていて、例えば殺された女の子たちが畑の向こうから現れてくるイメージは、どちらかというとフィル・アルデン・ロビンソンの『フィールド・オブ・ドリームス』(1989)のトウモロコシ畑から現れるホワイトソックスの“アンラッキー・エイト”のような郷愁や許容や希望などを具現化していて、悲惨なイメージだけで終始させなかったからじゃないかとおもう。

ただ、これだけCGで緩やかな希望を与えているわけだから、犯人に天罰を下すシーンを具体的に描き出す必要性はまったく無かった。もちろん道義として犯人を逃亡したままにするのは許されないのだろうけど、もう充分に、観るもののイメージとして犯人には天罰が下っていたような気がする。そこは観客に委ねてしまっても良かったんじゃないかとおもう。

宗教的なイメージとして、この映画に描かれている灯台は仏教の三途の川のように見えるのだけれど、キリスト教のイメージとしてもこのように冥途に行く途中で越えねばならないものがあるんだろうか? そこがずっと気になってしまった。

 2010年01月25日
 Dr.パルナサスの鏡
Posted by ag at 23:23/ カテゴリー: MOVIE_Database

Dr.パルナサスの鏡監督:テリー・ギリアム
出演:ヒース・レジャー、クリストファー・プラマー、トム・ウェイツ、リリー・コール、アンドリュー・ガーフィールド、ジョニー・デップ、ジュード・ロウ、コリン・ファレル、ヴァーン・J・トロイヤー
原題:The Imaginarium of Doctor Parnassus
制作:イギリス、フランス/2009
URL:http://www.parnassus.jp/index.html
場所:ワーナー・マイカル・シネマズ板橋

前作の『ローズ・イン・タイドランド』よりは楽しめたけれど、もうテリー・ギリアムのイメージ世界に付いていけなくなっていることがはっきりとこの映画で確認できた。テリー・ギリアムの作り出す絢爛たるイメージが、『未来世紀ブラジル』のようにストーリーあってのものならば全然OKなんだけど、『ブラザーズ・グリム』あたりからストーリーよりもイメージ重視に変わってきちゃってるんだよね、テリー・ギリアムは。だからもう、自分にとっては、ダメだ。

テリー・ギリアムの映画は、『バンデットQ』からすべてを追いかけていたけれど、たぶんもう次作は追いかけないとおもう。さようなら、テリー・ギリアム。

 2010年01月21日
 かいじゅうたちのいるところ
Posted by ag at 23:49/ カテゴリー: MOVIE_Database

かいじゅうたちのいるところ監督:スパイク・ジョーンズ
出演:マックス・レコーズ、キャサリン・キーナー、マーク・ラファロ、ジェームズ・ガンドルフィーニ(声)、ローレン・アンブローズ(声)、クリス・クーパー(声)、キャサリン・オハラ(声)、フォレスト・ウィッテカー(声)、ポール・ダノ(声)
原題:Where the Wild Things Are
制作:アメリカ/2009
URL:http://wwws.warnerbros.co.jp/wherethewildthingsare/
場所:新宿ミラノ1

スパイク・ジョーンズの何が好きかというと、やっぱり突飛なストーリー展開に尽きるとおもう。ストーリーを下手に先読みした自分が恥ずかしくなるくらいに、うわぁ、そう来るか! と驚かせてくれるのがスパイク・ジョーンズの映画だった。

それが今回、『かいじゅうたちのいるところ』という大ベストセラーの絵本を原作とした映画を撮ると聞いた時、第一印象として、そんな映画はスパイク・ジョーンズが撮るべき映画じゃないんじゃない? ついに彼もハリウッド資本のビッグ・バジェットの映画に毒されてしまったのか! と心配してしまった。

ところが、おそるおそる映画を観てみると、そんな心配は杞憂だってことがわかった。確かに姉や母親に依存しすぎている少年の家族離れ成長期のような殻を被ってはいるけれど、ジョン・マルコヴィッチの頭の中に入り込んでしまう『マルコヴィッチの穴』や脚本家チャーリー・カウフマンの思考過程をさらけ出す『アダプテーション』のように、今回の映画も少年の頭に潜り込んで、まだまだ思考方法が幼い子供の脳内、疑似体験映画になっている。この問題をどうやって解決するんだ? 泥だんごぶつけで解決だ! って言える世界にどっぷり漬かることができる。

となると反対に、スパイク・ジョーンズのファンにとってはそれで良かったんだろうけど、こんな大作の映画にスパイク・ジョーンズの突飛なテイストで良かったの? と心配になってしまった。案の定、公開してから間もない新宿ミラノがガラガラだった。スパイク・ジョーンズの映画は、単館でやるような映画だよなあ。

スパイク・ジョーンズのファンにとっては、キャサリン・キーナーも嬉しかった。マックス・レコーズの母親というチョイ役だけど、息子への愛情を持ちながらイライラ、感情が爆発してしまう母親をうまく演じていた。

 2010年01月20日
 マラドーナ
Posted by ag at 23:36/ カテゴリー: MOVIE_Database

マラドーナ監督:エミール・クストリッツァ
出演:ディエゴ・マラドーナ
原題:Maradona by Kusturica
制作:スペイン、フランス/2008
URL:http://www.maradonafilm.com/
場所:シアターN渋谷

ある人物のドキュメンタリーを撮る場合、その対象となる人物を崇拝している人が撮るとなると、どうしても人物の捉え方が一意的になってしまって、掘り下げ方が浅くなってしまう。人間はどんな人物にも陰と陽があって、陰が陽を形作る場合もあるし、またその逆もあるはずで、陽だけにスポットライトを当ててもそれは真実ではないし、その逆もまた真だとおもう。なのに、あまりにも対象となる人物に思いを寄せすぎると、どうしても陰の描写が遠慮がちになるし、陽の部分を大げさに誇張しすぎてしまう。

エミール・クストリッツァのマラドーナへの思いはこの映画からヒシヒシと伝わってくる。それは間違いない。だって、あの、1986年のワールドカップ・メキシコ大会の“伝説の5人抜き”のシーンが何度出て来たことか! この“伝説の5人抜き”のビデオで映画全体のリズムを作っていることはわかるけど、それはあまりにもやり過ぎだった。

そしてマラドーナと言えばやはり、華やかなスポットライトの後の薬物依存や不摂生による体重増加の部分がポイントとなることは間違いない。だからもちろん、この映画でもそれは言及される。でも、神が神たる所以は常人と一線を画しているところにある、みたいな感じで描かれているんだよね。あまりにもマラドーナの暗部をさらりと流してしまっている。その暗部があの“伝説の5人抜き”を生んだとも言えるはずなのに。

おそらくエミール・クストリッツァも、マラドーナの人物像をどのようなアプローチから浮かび上がらせるべきか悩んだんだとおもう。ずっと張り付いてマラドーナにカメラを向けていることも不可能だったろうし、あまりにも暗部を強調すればマラドーナからのOKも出なかっただろうし。苦肉の策としてクストリッツァ自身を映画に登場させたんじゃないのかなあ。そして題名も“Maradona by Kusturica”として、マラドーナの人生と自作の映画のシーンを照らし合わせた。でも、それが果たしてうまく行っていたのか? たぶん、うまくは行っていなかった。

 2010年01月20日
 華胥の幽夢 十二国記
Posted by ag at 01:21/ カテゴリー: BOOK_Database

華胥の幽夢 十二国記著者:小野不由美
出版社:講談社文庫、講談社
購入場所:三省堂書店本店

それでまた小野不由美。十二国記の文庫シリーズの中で唯一の短編集。「冬栄」「乗月」「書簡」「華胥」「帰山」の五編が収められている。

この中ではやっぱり「華胥」が面白い。“華胥(かしょ)”とは中国の黄帝が昼寝をしたときに夢見た理想の国のこと。悪政を布いた先の王を倒し、自分たちの理想の国を目指した王と側近たちの話しが「華胥」だった。

新王は玉座に就くと同時に先王の悪政を糺す施政を行う。しかし、それを行えば行うほど、自分たちの思い描く“理想”からどんどんと遠ざかってしまう。“理想”を希う気持ちが強ければ強いほど、それはさらに加速して自分たちから遠ざかって行ってしまう。いったい自分たちのどこに非があるのか? 自分たちのやり方のどこに間違えがあったのか? 苦悶、苦闘の内に王は自らの命を絶つ。その際の官吏の言葉が物悲しい。

「——主上が、——禅譲(ぜんじょう)でございます!」

“理想”を望んだ王の非業の死が“禅譲”という難しい文字に響いて、読んでいて鳥肌が立つほど辛いシーンだった。そしてその王の遺言。

「責難(せきなん)は成事(せいじ)にあらず」

つまり、悪政を布いた先王を非難することは容易い、しかしそれは何かを成すことではない、という意味。これも良い言葉。なんだか昨今のネット上のやり取りを思い浮かべてしまう。ネット上には「責難」しかないからね。それが「成事」ではないことをどれだけの人がわかっているんだろうか、とおもってしまう。

その他の短編も、それぞれ登場するキャラクターが素晴らしい。「冬栄」の廉王(れんおう)世卓(せいたく)、「乗月」の月渓、「書簡」には久しぶりに楽俊、そして「帰山」の奏王一家。小野不由美は本当にキャラクターの造形がうまいとおもう。

これでやっと、昨年イワトで製本した小野不由美の「丕緒の鳥」と「落照の獄」を読むことが出来る。

 2010年01月15日
 パブリック・エネミーズ
Posted by ag at 23:08/ カテゴリー: MOVIE_Database

パブリック・エネミーズ監督:マイケル・マン
出演:ジョニー・デップ、マリオン・コティヤール、クリスチャン・ベール、ジェイソン・クラーク、デビッド・ウェナム、ビリー・クラダップ、スティーヴン・ラング、スティーヴン・ドーフ、スティーヴン・グレアム、ジェームズ・ルッソ、ジョヴァンニ・リビシ、ジョン・オーティス、クリスチャン・ストルティ、チャニング・テイタム
原題:Public Enemies
制作:アメリカ/2009
URL:http://www.public-enemy1.com/
場所:新宿ミラノ3

アメリカの恐慌時に銀行強盗を繰り返した犯罪王ジョン・デリンジャーをジョニー・デップが演じているんだけど、自分にとってのデリンジャーはジョン・ミリアス『デリンジャー』(1973)のウォーレン・オーツ以外にはありえないので、まったくデリンジャーの映画を観ている気にはなれなかった。

もともとマイケル・マンは単純なジョン・デリンジャーの伝記を描こうとしていた訳でもないようだから、別にデリンジャーの映画を観ている気にならなくても良かったのかもしれないけれど。それにしては、世界恐慌という時代が作り出した不幸な怪物を描こうとした訳でもないようだし、アクション・シーンに重点を置いている訳でもないようだし、デリンジャーと対峙するFBIのクリスチャン・ベールにも魅力がないし、スト、死に行くジョニー・デップがマリオン・コティヤールに残す言葉も観ている者に何の感興も呼び起こさないし。う〜ん、じゃあ、何の映画だったんだろう?

雰囲気のある画作りはいつものマイケル・マンだった。空間のあるロングショットや仰角から撮るバストショットなんてとても印象的だったし。でも、ただそれだけだった。

 2010年01月12日
 アバター
Posted by ag at 22:15/ カテゴリー: MOVIE_Database

アバター監督:ジェームズ・キャメロン
出演:サム・ワーシントン、シガニー・ウィーバー、スティーヴン・ラング、ミシェル・ロドリゲス、ジョヴァンニ・リビシ、ジョエル・デヴィッド・ムーア、ディリープ・ラオ、ゾーイ・サルダナ、CCH・パウンダー、ラズ・アロンソ、ウェス・ステュディ、ピーター・メンサー
原題:Avatar
制作:アメリカ/2009
URL:http://movies.foxjapan.com/avatar/
場所:ワーナー・マイカル・シネマズ板橋

3D映画というと1950年代に一度ブームがあって、その後、1980年代にまたブームがあった。1950年代の赤と青のメガネのブームは知らないけど、1980年代の偏光メガネのブームはよく覚えている。たしか『13日の金曜日PART3』と『ジョーズ3D』を観ていて、その3D具合にはホントに驚いたもんだった。ジェイソンやサメが画面の奥から手前に飛び出して来るシーンなんて、椅子から転げ落ちるくらいにビックリしたもんだった。

あれから20年以上も経過して、またもや3Dブームが到来した。そしてその真打ち、『アバター』を3D吹き替えで観てきた。

そうそう、映画を観る前に、Twitterのタイムラインで、劇場によっていろいろな3D方式があることを教えてもらった。詳しくはこちらのページ。それでいろいろ悩んだあげく、もう考えるのがめんどくさくなって、いいや近くのワーナー・マイカル・シネマズで、ということで、多少画面を暗く感じるREAL D方式で観ました。

う〜ん、3Dに関しては、昔ほどの驚きはなかったなあ。人物の皮膚の立体感、部屋の中の奥行き感などは確かに進化しているんだろうけど、森の中の奥行き感や飛んでいる時の奥行き感とかアクションシーンの立体感は昔と同じ平面の積み重ねのような感じだった。いやいや、だいたいメガネをかけなければならない段階で進化はしていないよなあ。3Dによって映画は変わるなんて謳い文句を言ってるけど、どちらかというと3D映画の限界を感じてしまった。

それで、そんな技術面に気を取られていると(例えば立体感を際立たせるためのカメラポジションなんて決まっちゃうから)、映画本来のストーリーの組み立てや観客のエモーションをおろそかにしてしまう可能性が大きいんだけど、そこはジェームズ・キャメロン。ジョン・フォードの『シャイアン』やケビン・コスナーの『ダンス・ウィズ・ウルブズ』あたりのインディアンのために戦った白人のストーリーをベースにしつつ、ラストは『エイリアン2』のような畳み掛けのアクションもあって、まあ、それなりに楽しめる。もうちょっとサブのキャラクターの人物描写を突っ込んで描けたら良かったんだろうけど。それにジェイクが簡単にトルーク ・マクトになっちゃうのもねえ。でも、そこを丁寧にやっていたら確実に3時間を超える映画になっちゃう。3Dで観客を満足させつつ、ストーリーを満足させるのは上映時間が3時間以上必要かな。

※いろいろ家探ししたら『ジョーズ3D』のメガネが出てきたので、今回の『アバター』のメガネと一緒に写真を撮ってみた。
3Dメガネ

 2010年01月05日
 パリ・オペラ座のすべて
Posted by ag at 22:14/ カテゴリー: MOVIE_Database

パリ・オペラ座のすべて監督:フレデリック・ワイズマン
出演:エミリー・コゼット、オーレリ・デュポン、ドロテ・ジルベール、マリ=アニエス・ジロ、アニエス・ルテステュ、デルフィーヌ・ムッサン、クレールマリ・オスタ、カデル・ベラルビ、マチュー・ガニオ、レティシア・プジョル、ジェレミー・ベランガール、マニュエル・ルグリ、ニコラ・ル・リッシュ、エルヴェ・モロー、ウィルフリード・ロモリ、バンジャマン・ペッシュ、ジョゼ・マルティネズ
原題:La danse - Le ballet de l'Opéra de Paris
制作:フランス/2009
URL:http://www.paris-opera.jp/
場所:ヒューマントラスト・シネマ有楽町

フレデリック・ワイズマンのドキュメンタリーは、インタビューもテロップもBGMもナレーションも無い。この手法は下手をすると観ているものを混乱に陥れる可能性があるんだけど、フレデリック・ワイズマンの映画はまったくそんなことがない。もちろんナレーションもテロップも無いので細かいところがわからない。この『パリ・オペラ座のすべて』も、コール・ド・バレエ? エトワール? あの偉そうなおばさんは誰? と、バレエを知らないものにはわからないことばかり。でも、そんなことはまったく問題ない。なぜなら、フレデリック・ワイズマンの見つめる視線がしっかりと人間の表情、動きを捉えて離さないから。前作の『州議会』も3時間半があっと言う間だったけど、今回もただ単に人間を見つめているだけで2時間40分があっという間だった。

ただ、2時間40分も飽きなかったのは、フレデリック・ワイズマンの力量も然る事ながら、自分は案外、バレエを観ることが好きだっていうことをおもい出した。バレエと言っても、クラッシク・バレエとかモダン・バレエではなくて、もっと前衛的で先鋭的なバレエ。この『パリ・オペラ座のすべて』ではその超モダンな、ポストモダンって言うのか、何て言うんだか分からないけど、そんなバレエも出て来る。それがなかなか素晴らしい。そんなところも飽きなかった理由かもしれない。

自分がバレエ好きだと言うことを知らしめたのは、エドゥアール・ロック の「アメリア」というバレエ。いつだったかテレビをつけたら演っていたんだけど、これはいったい何なんだ! とテレビに釘付けになった覚えがある。

amazonを見たら、DVDで買えるみたい。昔は買えなかったのに。買っちゃおうかな。

 2010年01月01日
 1年の計
Posted by ag at 23:12/ カテゴリー: 一年の計

なかなか実行出来ないけど、相も変わらず1年の計を。

・今年こそ「戦争と平和」を読む
・今年こそロンドンのアップトンパークへ行く
・ほら、あのプロジェクトを、実行する
・たゆたう、ことをやめる
・けろりんかんとして鴉と柳かな
・ジュースをおごる

 2009年12月31日
 今年良かった映画
Posted by ag at 18:04/ カテゴリー: MOVIE

今年、劇場で観た映画はちょうど60本だった。これにDVDレンタルやNHKBSで見た映画を入れると100本くらいかなあ。Twitterのタイムライン上には物すごい本数を観ているつわものどもがいるけど、自分にとって一年に観る映画としては精神的にこれくらいがリミットのような気がする。これ以上観ると、ものごとの捉え方に偏よりが生じてしまうような気がしてしまってものすごく怖い。偏らないように他の時間、自転車に乗るとか、イングランドのサッカーを観るとか、本を読むとか、iPhoneをいじるとか、そんなことが自分にとってはとても大切ではないかと。

で、今年、劇場で観て良かった映画は以下のとおり。

・チェンジリング
・フロスト×ニクソン
・グラン・トリノ
・それでも恋するバルセロナ
・レスラー
・サマーウォーズ
・パイレーツ・ロック

 2009年12月30日
 Twitter社会論 新たなリアルタイム・ウェブの潮流
Posted by ag at 15:16/ カテゴリー: BOOK_Database

Twitter社会論 新たなリアルタイム・ウェブの潮流著者:津田大介
出版社:洋泉社
購入場所:三省堂書店本店

そんなわけで、どんなわけで? Twitterなわけだけど、Twitter本の本命「Twitter社会論 新たなリアルタイム・ウェブの潮流」を読んでみた。

Twitterには技術的に目新しいことは何もない。でも、不思議なことに、そんじょそこらの技術を使っていたとしても、扱い方によって大きく化ける可能性があることをTwitterが教えてくれた。扱い方というのは単純なルールのことで、140字の制限、制約のないフォロー、自分で作るタイムラインあたりのことを言ってる。そしてそのルールによって醸し出される全体的なゆるい雰囲気のこと。

今までのネット上のコミュニケーションというと、掲示板にしても、ブログにしても、SNSにしても、とても便利で楽しい部分がある反面、人間のイヤな部分も拡大して表現されてしまうところがとても辛かった。掲示板やブログ・コメントの“炎上”なんて現象を見たりすると、とても心が寒くなって、この世から人間なんて生き物は滅んでも良いんじゃないかとおもえるくらいにイヤだった。

そんなネット・コミュニケーション・ツールの延長線上にあるTwitterも、他と同じように“炎上”のような現象が起きるんじゃないかとおもっていたら、どうやらちょっと雰囲気が違う。確かに似たような言い争いが起きているようだけど、争っている人たちをすべてフォローしていなければ何に論点があるのかさっぱりわからないし、その間にどんどんタイムラインは流れて行くのでよっぽど必死にすべての言動を追いかけなければ訳がわからなくなるし、その内、当の本人たちもタイムラインの他の人のTweetに流されてか、どんどんと気持ちが冷めて行くようだし。

自分のタイムラインについて言えば、もし言い争いの人々をすべてフォローしていて、その論点が何であるか分かったとしても、あいだ、あいだにいろんなTweetは入り込んでくる。たとえばギャグ漫画家の人たちもフォローしているので、言い争いの間に「風呂あがり寿」なんてTweetが入ってきて、それに対してまた別の人が「しりあがり痔」なんてTweetが入ってきたりすると、逆に言い争ってる人たちがアホらしくおもえてくる。そこがTwitterの“炎上”しにくい所以かなとおもったりする。

つまり、このように、コミュニケーションをとっている人もいれば、ただ単に独り言を言い放っている人もいる。言い放っている人の中にも提言みたいなことを言ってる人もいれば、ダジャレや俳句を言っている人もいる。その渾然一体となった世界がTwitterだった。自分にとってはそこがTwitterを面白く感じる部分だった。

この「Twitter社会論」は、そんな自分が面白いと感じた部分を解説してくれるような内容の本だとおもったらそうでもなかった。もっとジャーナリズムに寄っている内容の本だった。それはそうだ、津田大介さんが著者なんだから。内容的には知っていることも多く、目新しいことも、なるほどね、だけの本だったけど、Twitterをまったく知らない人にとっては良い入門書だとおもう。

ag-n
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