http://www.ag-n.jp/wp/ に移りました。
 2013年01月23日
 ももいろそらを
Posted by ag at 23:00/ カテゴリー: MOVIE_Database

ももいろそらを監督:小林啓一
出演:池田愛、小篠恵奈、藤原令子、高山翼、桃月庵白酒
制作:太秦/2011
URL:http://momoirosora.jp/
場所:シネマカリテ

映画制作のデジタル化が進むことによって、誰もがSONYのHDカムなどを使って安い製作費で映画を撮ることができるようになると『サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ』は云っていたけど、いきなりそのお手本のような映画がこれだった。まるで一眼のデジタルカメラで撮ったような被写界深度の浅いボケ味を効かせた映像は、今までのフィルム撮影時の被写界深度の浅い映像とはまた違った趣があって、なかなか雰囲気の良いデジタル映像の映画になっていた。女子高生三人組(池田愛は仏頂面が良くて、小篠恵奈はちょっと榮倉奈々似、藤原令子はもうちょっと演技を、、)が掛け合うセリフも面白くて、まるで本物の女子高生の日常会話の一断面を見ているようだった。いまの女子高生の日常会話がどんなものか詳しくは知らないのだけれど。音楽をまったく使わないで、主にセリフだけでシーンを構成している手法もまったくの自分の好みだ。

 2013年01月19日
 サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ
Posted by ag at 23:24/ カテゴリー: MOVIE_Database

サイド・バイ・サイド フィルムからデジタルシネマへ監督:クリス・ケニーリー
出演:キアヌ・リーブス、ジョージ・ルーカス、ジェームズ・キャメロン、デヴィッド・フィンチャー、デヴィッド・リンチ、ロバート・ロドリゲス、マーティン・スコセッシ、スティーブン・ソダーバーグ、ウォシャウスキー姉弟、クリストファー・ノーラン、ジョエル・シュマッカー、ダニー・ボイル、ラース・フォン・トリアー、バリー・レビンソン、レナ・ダナム、ヴィットリオ・ストラーロ、ヴィルモス・ジグモンド、マイケル・チャップマン、デニス・ミューレン
原題:Side by Side
制作:アメリカ/2012
URL:http://www.uplink.co.jp/sidebyside/
場所:シネマカリテ

現在の映画界は、サイレントからトーキーへの移行期と同等の、いや、もしかするとそれ以上の変革期を迎えている。リュミエール兄弟の時代からフィルムに記録するものと決まっていたシネマトグラフが、その記録媒体をデジタルデータへと急速に移行しつつあるのだ。エンターテインメント媒体での制作過程から、流通、販売のデジタル化は、まずは音楽業界を席巻し、出版業界も出口の部分にまだ紙が残るものの、制作過程ではそのほとんどがデジタル化に移行しているので、一番の情報量を含む映画業界のデジタル化は、来るべくして来たメインイベントでもあり、最大のフィナーレなのかもしれない。

この映画では映画業界のデジタル化の功罪がどこにあるのか、数多くの映画監督や撮影監督、製作者のインタビューであきらかにしている。その最大の利点は、今まで資金面の都合で映画制作を断念していた人びとが簡単に映画を作ることができるようになったことだ。どんな小さな国の映画製作者でも映画が作れるようになったし、素人でも簡単に映画が作れるようになった。でもデヴィッド・リンチは云う。だれでも鉛筆と紙が持てるからと云ってそこから面白い小説が数多くは生まれるわけではない、そのクリエイティブな発想の部分は何も変わらない、と。

そして最大の欠点は、フィルムの質感が失われると云った情緒的なものは脇に置いておいて、小さな映画館が高額なデジタル上映システムを導入できない点にあるんじゃないかとおもう。名画座としてフィルム上映館で残る手もあるのだろうけど、大資本のシネコン傘下にならないかぎり小さな町の新作上映館は壊滅するとおもう。それからもう一つ。デジタルフォーマットの永続性とデジタルデータの保存方法だ。現状のフォーマットが100年先まで再生できるとはとてもおもえないし、フィルムのように長期間保管できるデバイスはまだないと云っていい。

映画制作の面だけで見ると、これはどんな業界でも、いや、もっと一般化すると私たちの生活パターンでも云えることだけど、今までのやり方を崩したくない人たちのグループと、絶えず新しいやり方を模索している人たちのグループに分かれているのが面白い。まずはそこできっちりと二つに分かれてしまった後に、もっともな理由付けをしているように見えてしまう。クリストファー・ノーランが前者だったとはちょっと意外。

フィルムが作り出す色合いへの執着は少し残るけど、デジタルへの移行はもう避けられなくて、その内にそれが一般化てしまうんだろうとおもう。そこで失われるものがたくさんあったとしても、もう流れる方向性は決まってしまっている。あとは人びとの生活の中で、映画館に足を運ぶという行為が今後も残って行くのかどうか。それはわからない。

 2013年01月11日
 ホビット 思いがけない冒険
Posted by ag at 23:52/ カテゴリー: MOVIE_Database

ホビット 思いがけない冒険監督:ピーター・ジャクソン
出演:マーティン・フリーマン、イアン・マッケラン、リチャード・アーミティッジ、ケン・ストット、グレアム・マクタヴィッシュ、ディーン・オゴーマン、エイダン・ターナー 、ジョン・カレン、ピーター・ハンブルトン、マーク・ハドロウ、ジェド・ブロフィー、アダム・ブラウン 、イアン・ホルム、イライジャ・ウッド、ヒューゴ・ウィーヴィング、ケイト・ブランシェット
原題:The Hobbit: An Unexpected Journey
制作:ニュージーランド、アメリカ/2012
URL:http://www.lesmiserables-movie.jp/
場所:ユナイテッドシネマとしまえん

おもったよりも『ロード・オブ・ザ・リング』のままの映画だった。そりゃあ、ピーター・ジャクソンが撮って、同じ俳優が演じていれば同じテイストになるのはしょうがない。だから、そこだけを見てしまうとワンパターンの映画に映るけど、でもピーター・ジャクソンが作り出すトールキンの世界が自分の中ではぴったりとおさまっているので、それにとことん付き合わされたとしてもまったく飽きが来ない。来ないどころか細かい部分にますます興味が行ってしまって、例えば12人のドワーフについても今回はさらりとしか描かれてなかったけどそれぞれの人物像を理解したいとか、例えばイスタリ(魔法使いたち)を注目したらガンダルフに名前さえも忘れられている二人の青の魔法使いが気になってしょうがないし。どうやらその二人(アラタールとパルランドだとしたら)はサルマン以前に堕落したらしい。うーん、気になりすぎる。これは原作の「ホビットの冒険」を読んでみなければとKindleストアに行ってみたら案の定、電子書籍になっていない。あー、あったら絶対にポチッとしてたなあ。売り逃し。

 2013年01月05日
 レ・ミゼラブル
Posted by ag at 23:51/ カテゴリー: MOVIE_Database

レ・ミゼラブル監督:トム・フーパー
出演:ヒュー・ジャックマン、ラッセル・クロウ、アン・ハサウェイ、アマンダ・サイフリッド、サシャ・バロン・コーエン、ヘレナ・ボナム=カーター、コルム・ウィルキンソン、エディ・レッドメイン、サマンサ・バークス、フランシス・ラッフェル、キリアン・ドネリー、ハドリー・フレイザー
原題:Les Misérables
制作:イギリス/2012
URL:http://www.lesmiserables-movie.jp/
場所:109シネマズ木場

今年最初の映画はミュージカル「レ・ミゼラブル」の映画化。

ミュージカルにもいろいろなタイプがあって、昔のMGMミュージカルのようなヴォードヴィルを進化させたようなタイプのものから、もっと骨太の文芸大作のようなものやロック・ミュージカルまで、ひとくちにミュージカルと云ってもさまざまある。そして、その文芸大作ミュージカルやロック・ミュージカルの中にも、楽曲と楽曲のあいだに普通の芝居を挟み込むタイプと、全編を楽曲で押し通すタイプがある。この『レ・ミゼラブル』は最後のタイプだった。それで、その全編を楽曲で押し通すタイプのミュージカルなんだけど、先日NHKBSで見たケン・ラッセルの『トミー』もそうだったけど、これがとても疲れる。曲のあいだに普通の芝居が入ればそこに“間”が生じて緩急が付くのだけれど、全編に音楽が流れているとそれがない。動と静の差が少なくて、絶えず針が振れているような感じでとても落ち着かない。

このような全編楽曲のタイプで抑揚をつけるとなると、例えばヒュー・ヒュー・ジャックマンのジャン・バルジャンが過去を告白するシーンや学生たちのバリケードが破られるシーンをもっとドラマティックにすれば動と静の差がでるんだろうけど、トム・フーパーの演出はとてもおとなしい。彼の映画は誠実だけれど、あまりにも優等生的でつまらないんだよなあ。

 2012年12月31日
 今年良かった映画
Posted by ag at 23:59/ カテゴリー: MOVIE

今年、映画館で観た映画は全部で81本(広島国際アニメーションフェスティバルで観た40本くらい?の短編アニメーションはのぞく)だった。
で、良かった映画は以下の通り。どれが一番良いかと云うと、『おとなのけんか』『別離』『桐島、部活やめるってよ』あたり。

サラの鍵
おとなのけんか
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
ニーチェの馬
ヤング≒アダルト
隣る人
別離
アベンジャーズ
桐島、部活やめるってよ
プロメテウス

 2012年12月29日
 ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
Posted by ag at 23:08/ カテゴリー: MOVIE_Database

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q監督:庵野秀明(総監督)、摩砂雪、前田真宏、鶴巻和哉
声:緒方恵美、林原めぐみ、石田彰、立木文彦、清川元夢、麦人、宮村優子、坂本真綾、三石琴乃、山口由里子、長沢美樹、子安武人、優希比呂、沢城みゆき、大塚明夫
制作:カラー/2012
URL:http://www.evangelion.co.jp/
場所:新宿ミラノ1

『序』のほとんどがテレビシリーズの焼き直しだったのに対して、『破』では新しいキャラクターが出てきたりして古い『エヴァンゲリオン』の崩壊を予感させたのに、その時点で次作の全崩壊を予測することができなかった。なので、『破』の気分で『Q』を迎えに行ったら、思いっきり返り討ちに遭ってしまった。のっけっから、これはシンジの幻想なのか? 夢なのか? と勝手な推測をしていたら、とんでもない、庵野がそんな安直な手を使うわけがない。すべてをリビルドしていたのだ。こうなると、もう、庵野にひれ伏すしかない。庵野が作りしエヴァンゲリオンなのだ。自分の中のエヴァンゲリオンに対するサードインパクトを寸でのところで踏みとどまって、このリビルドを全面的に受け入れることができた。細かい設定は??だらけだけど、面白かった。

 2012年12月28日
 007 スカイフォール
Posted by ag at 23:06/ カテゴリー: MOVIE_Database

007 スカイフォール監督:サム・メンデス
出演:ダニエル・クレイグ、ハビエル・バルデム、レイフ・ファインズ、ナオミ・ハリス、ベレニス・マーロウ、アルバート・フィニー、ベン・ウィショー、ロリー・キニア、ジュディ・デンチ
原題:Skyfall
制作:イギリス、アメリカ/2012
URL:http://www.skyfall.jp/
場所:ユナイテッドシネマとしまえんIMAX

「007」シリーズをずっと映画館で観て来たのに、最初のダニエル・クレイグ“ボンド”の『007 カジノ・ロワイヤル』はついに観る気が起きなくて飛ばしてしまった。もうすでにピアース・ブロスナン“ボンド”で自分の中の「007」の終了を感じていたのだけれど、ボンド俳優が変わった時点で完全な終了を決定したのだった。しかし、前回の『007 慰めの報酬』を試写会に誘われて試しにおそるおそる観てみた。そうしたら、予感的中、まったくひどいものだった。ただのスパイアクションムービーに成り果てていた。こんなのは絶対に「007」じゃない! と憤慨して、もう今後一切「007」を観ないことを誓った。

ところが今回の『007 スカイフォール』がすこぶる評判が良い。うーん、どうするか。まあ、IMAXの大音響で観れば多少は楽しめるのではないかとおもってトライしてみた。なるほど、『007 慰めの報酬』のハリウッド系アクションムービー的な雰囲気を継承しているところはおんなじだった。でも、監督のサム・メンデスの巧さではあるのだけれど、それぞれのシーンの展開がスムーズにテンポ良く、それなりに楽しめる映画に仕上がっていた。MI6本部が爆破されるところや、地下鉄が陥没した地面に落ち込むシーン、そして最後の「スカイフォール」の大爆破など、IMAXの音響も素晴らしかった。日頃から他人の保守的な考えを非難しているのだから、ここはやっぱり自分も新しい「007」を認めなきゃいけないなあ。次作も観るかも知れない。

 2012年12月27日
 恋のロンドン狂騒曲
Posted by ag at 23:42/ カテゴリー: MOVIE_Database

恋のロンドン狂騒曲監督:ウディ・アレン
出演:ナオミ・ワッツ、アンソニー・ホプキンス、ジョシュ・ブローリン、アントニオ・バンデラス、ジェマ・ジョーンズ、フリーダ・ピントー、ルーシー・パンチ、ロジャー・アシュトン=グリフィス、ポーリーン・コリンズ
原題:You Will Meet a Tall Dark Stranger
制作:スペイン、アメリカ/2010
URL:http://koino-london.jp/
場所:新宿武蔵野館

ここのところのウディ・アレンの複数の倦怠男女の別れたり引っ付いたりする映画をマンネリって言っちゃえばマンネリなんだけど、カット割りのテンポの良さとか、気の利いたセリフの絶妙の“間”とか、音楽の使い方のセンスの良さとか、そんなところをじっくりと楽しめるのがやっぱりウディ・アレンならではなので、他のどんな映画とも代替が出来ない。だからウディ・アレンの新作がやって来れば、おお来た来た、と絶対に映画館に足を運ぶことになるし、それが年中行事のようなものになっている。もしそのサイクルが途絶えるとなるとなんて悲しいことだろう。考えたくもない。はたして新作の“To Rome with love”はどこの映画館でやってくれるんだろう。年々、危機感が募ってく。

 2012年12月26日
 カリフォルニア・ドールズ
Posted by ag at 23:32/ カテゴリー: MOVIE_Database

カリフォルニア・ドールズ監督:ロバート・アルドリッチ
出演:ピーター・フォーク、ヴィッキー・フレデリック、ローレン・ランドン、バート・ヤング、トレイシー・リード、アーサリン・ブライアント、ジョン・ハンコック、クローデット・ニーヴェン、リチャード・ジャッケル、レニー・モンタナ、クライド・クサツ、ミミ萩原、ジャンボ堀
原題:...All the Marbles
制作:アメリカ/1981
URL:http://www.californiadolls2012.com/
場所:吉祥寺バウスシアター

公開時に観て以来の31年ぶりの『カリフォルニア・ドールズ』。今回観ても面白かった。作られたのは1981年だけど、70年代の映画の雰囲気を残しつつ、ピーター・フォークがヴィッキー・フレデリックを殴るシーンで、ジャジャ〜ン、と音楽を入れて盛り上げるところに古き良きハリウッド映画を見たりして、ああ、もう絶対にこういう作り方をする映画は現れないだろうなとおもいながら観ていた。とにかくミュージシャンでもプロレスラーでも旅芸人でも、全国を回りながら興行して行く者たちが行き着く先の片田舎の場末感がたまらない。切なくて、哀しくて、抜け出せなくて、堂々巡りの閉塞感。人生だよなあ。出来る事なら、場末のピアノ弾きになりたかった。

 2012年12月21日
 砂漠でサーモン・フィッシング
Posted by ag at 23:53/ カテゴリー: MOVIE_Database

砂漠でサーモン・フィッシング監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ユアン・マクレガー、エミリー・ブラント、クリスティン・スコット・トーマス、アムール・ワケド、レイチェル・スターリング、トム・マイソン、キャサリン・ステッドマン、ヒュー・サイモン、コンリース・ヒル
原題:Salmon Fishing in the Yemen
制作:イギリス/2011
URL:http://salmon.gaga.ne.jp/
場所:ユナイテッドシネマとしまえん

ラッセ・ハルストレムの作品ではスウェーデン時代の『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』が大好きで、ハリウッドに渡ってからも『ギルバート・グレイプ』が素晴らしくて、その後は何本か追いかけてはいたものの『シッピング・ニュース』を最後に観なくなってしまった。アメリカ以外の国の監督がハリウッドへ渡った時に、うまく順応する人がいる一方、次第にとんがった部分がそぎ落とされてしまって、どんどんと精彩がなくなってしまう監督がいる。ラッセ・ハルストレムは後者のような気もする。それはただ単に、良い題材、良い脚本にめぐり逢える人と逢えない人の差だけなのかもしれないけど、やっぱりその人の映画作りのスタイルがハリウッドの環境に合わない場合があるのではないかとおもう。

ラッセ・ハルストレムも行き詰まりを感じてか、いやいや、たまたまこの企画が持ち込まれただけだろうけど、この映画ではイギリスで撮っている。しかしそれでも、内容としてはそんなに悪くはないものの突出した部分もなく、何となく平凡な映画となってしまった。『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』のような映画はもう撮れないんだろうか。ポール・バーホーベンのように自国に戻って撮ると云うのも一つの手だとはおもうのだけれど。

 2012年12月19日
 合衆国最後の日
Posted by ag at 23:13/ カテゴリー: MOVIE_Database

合衆国最後の日監督:ロバート・アルドリッチ
出演:バート・ランカスター、リチャード・ウィドマーク、チャールズ・ダーニング、ジョゼフ・コットン、ジェラルド・S・オローリン、ポール・ウィンフィールド、バート・ヤング、メルヴィン・ダグラス
原題:Twilight's Last Gleaming
制作:アメリカ、西ドイツ/1977
URL:http://www.gasshukoku-movie.com/
場所:吉祥寺バウスシアター

この年末に国書刊行会から「ロバート・アルドリッチ大全」と云う本が出る。その宣伝のためではないのだろうけど、突然、『合衆国最後の日』と『カリフォルニア・ドールズ』がリバイバル上映されている。ロバート・アルドリッチと云えば、『攻撃』や『北国の帝王』に見られる怒髪天を衝いた男の怒りのクローズアップショットが印象的で、この映画にも勝手にそれを期待したのだけれど、バート・ランカスターのちょっとした“怒”はあるもののそれは“怒髪、天を衝く”ではなかった。と云うよりも、どちらかと云えば大統領を演じたチャールズ・ダーニングのエクスペンタブルさが悲しい。ロバート・アルドリッチは男の“怒”だけではなく、『ロンゲスト・ヤード』のバート・レイノルズや『カリフォルニア・ドールズ』のピーター・フォークのように男の“哀”を描くのも上手かった。と云うことで、次週は公開時に観て以来の『カリフォルニア・ドールズ』へ。

 2012年12月12日
 白夜
Posted by ag at 23:26/ カテゴリー: MOVIE_Database

白夜監督:ロベール・ブレッソン
出演:イザベル・ヴェンガルテン、ギョーム・デ・フォレ、ジャン・モーリス・モノワイエ、ジェローム・マサール、パトリック・ジュアネ
原題:Quatre nuits d'un rêveur
制作:フランス、イタリア/1971
URL:http://www.byakuya2012.com/#id77
場所:ユーロスペース

ブレッソンの映画のように、役者をボードゲームの駒みたいに動かして、演技をさせることもなく、セリフ回しに感情を加えることをも拒否する方法ならば、自分でもブレッソン映画のようなものが撮れるじゃないかと勘違いしそうだけど、どうなんだろう? ちょっとやってみたい気もするけど、下手をすると陳腐なものになるんだろうなあ。例えばこの映画のラスト近く、イザベル・ヴェンガルテンの揺れる心を演技で現さずに役者の動きとキスシーンだけで表現させているところなんて、例えそっくりそのまま同じようなカット割りをしても絶対におかしなものが出来るに違いない。つまり、ブレッソンは役者に演技をさせていないのではなくて、ブレッソン映画の絵に合う演技を微妙にもさせているんだよなあ。そこが表現できるからこそブレッソンの映画になるのだ。

 2012年12月07日
 のぼうの城
Posted by ag at 23:51/ カテゴリー: MOVIE_Database

のぼうの城監督:犬童一心、樋口真嗣
出演:野村萬斎、佐藤浩市、成宮寛貴、山口智充、榮倉奈々、鈴木保奈美、平泉成、西村雅彦、尾野真千子、芦田愛菜、前田吟、中尾明慶、夏八木勲、市村正親、上地雄輔、山田孝之、平岳大
制作:『のぼうの城』フィルムパートナーズ、C&Iエンタテインメント、アスミック・エース/2012
URL:http://nobou-movie.jp/
場所:ユナイテッドシネマとしまえん

史実にのっとった映画なんだから、もうちょっと落ち着いた映画ではないかとおもったら、やたらとバタバタとしたオーバーアクションの映画だった。上地雄輔の石田光成をアップで捉えて決めゼリフを云わせるところなんて、新国劇か! と叫びたくなる。それに、長い間に自分の中で培ってきた武将のイメージと云うものがあって、それは主に司馬遼太郎の小説からなんだろうけど、それを壊されるとテンションが低下することはなはだしい。まあ、司馬遼太郎が形作る人物像が史実に忠実とはかぎらなくて、とても美化された志しの高い好人物になっている場合が多いので、それを自分の中のイメージとして定着させるのもどうかとおもうけど、その人物像が子供の頃に植え付けられてしまったのだからしょうがない。特に山田孝之の大谷吉継なんて、すでに癩を病んでいて頭巾をかぶっているイメージが多かったので、あんな髯ズラの野武士のようなイメージが来るとがっかり。でも、そもそも大谷吉継が癩を病んでいたかどうかもわからないので、どんなイメージにしようと勝手なんだけどねえ。

 2012年12月05日
 その夜の侍
Posted by ag at 23:21/ カテゴリー: MOVIE_Database

その夜の侍監督:赤堀雅秋
出演:堺雅人、山田孝之、新井浩文、綾野剛、坂井真紀、田口トモロヲ、木南晴夏、谷村美月、高橋努、山田キヌヲ、安藤サクラ、でんでん
制作:ファントム・フィルム、キングレコード、テレビマンユニオン、コムレイド、IMAGICA/2012
URL:http://sonoyorunosamurai.com/
場所:新宿武蔵野館

この映画の監督をした赤堀雅秋と云う人は、テレビ東京のドラマ「鈴木先生」で、鈴木先生の同僚のもじゃもじゃ頭の先生役を演った人だった。もともとは劇団「THE SHAMPOO HAT」と云うところの座付き作家兼演出家で、この「その夜の侍」もその劇団の演目だった。

戯曲と云えばシチュエーション重視で、その状況の中でキャラクターを浮かび上がらせることがメインになるので、それを映画化した作品は自分の好きな映画になる可能性が大きい。イメージ重視のへなちょこな映画よりも骨太になることが多い。この映画も、堺雅人と山田孝之のキャラクターの押し出しが強くて、なかなか面白い作品となってる。ただ、山田孝之のキャラクターは最近の尼崎の事件の首謀者を連想させて、さらにこの映画の中の綾野剛や田口トモロヲや谷村美月のような常識のある人間がエキセントリックな人間に巻き込まれて行く過程もその事件を連想させて、どんどん嫌な気持ちに落とし込まれて行ってしまった。映画を見終ったあとの気分は最低に。

 2012年11月30日
 風船
Posted by ag at 23:54/ カテゴリー: MOVIE_Database

風船監督:川島雄三
出演:森雅之、高野由美、三橋達也、芦川いづみ、二本柳寛、北原三枝、新珠三千代、左幸子、牧真介
制作:日活/1956
URL:
場所:シネマヴェーラ渋谷

大佛次郎の小説の映画化。おそらく小説の内容をそのままに、人物同士のそれぞれの関係がだらだらと描き出されるだけで、いったいこれは何に向かってストーリーが進んでいるんだろうと最初は退屈していたけれど、途中からこの映画の中心となる人物がちょっと頭の弱い(と周囲はおもっているが、そうでもない)芦川いづみであることがわかってくると俄然おもしろくなって来た。川島雄三自身がこの映画を「どうにもならない話しで困りました」と言っていたけど、芦川いづみをそれぞれの登場人物のハブとして中心に据えた脚色は成功している。と、芦川いづみファンはおもう。

 2012年11月30日
 とんかつ大将
Posted by ag at 23:44/ カテゴリー: MOVIE_Database

とんかつ大将監督:川島雄三
出演:佐野周二、津島恵子、角梨枝子、高橋貞二、三井弘次、徳大寺伸、幾野道子、坂本武、小園蓉子、北龍二
制作:松竹大船/1952
URL:
場所:シネマヴェーラ渋谷

長屋の人情喜劇だった。ただ、川島雄三が「自作を語る」(今村昌平編「サヨナラだけが人生だ」の中に所収)の中で「メロドラマの作品ではあるのだけれど」と言っているように、佐野周二の昔の女性との確執が松竹大船調だった。その他の部分は軽快なテンポで、三井弘次をはじめとする長屋の住人のキャラクターも楽しい。あの、奥さんの尻の下に敷かれている、ひょっとこみたいな能面の、ちょっとオカマ調のしゃべり方をする俳優は何て云うんだろう。

 2012年11月26日
 黄金を抱いて翔べ
Posted by ag at 23:46/ カテゴリー: MOVIE_Database

黄金を抱いて翔べ監督:井筒和幸
出演:妻夫木聡、浅野忠信、桐谷健太、溝端淳平、チャンミン(東方神起)、西田敏行、青木崇高、中村ゆり、田口トモロヲ、鶴見辰吾
制作:「黄金を抱いて翔べ」製作委員会/2012
URL:http://www.ougon-movie.jp/
場所:ワーナー・マイカル・シネマズ板橋

原作があるものの映画化作品を観ると、やはりその刈り込み方がいつも気になってしょうがない。この映画でも、妻夫木聡が久しぶりに地元へ帰ってきた時に、いきなりベランダから双眼鏡で向かいにあるアパートを覗くとチャンミンがいる。チャンミンとは以前に左翼系の出版社(なのかな?)の関係で知り合った爆弾のスペシャリストだった。これって、偶然なんだろうか。映画を観るかぎりでは、浅野忠信が引っ越し先を見つけてきたように見えるのでおそらく偶然なんでしょう。でも、引っ越し早々に手元に双眼鏡があるわけないし、あったとしてもそれを使っておもむろに向かいを覗くこともないし、例え覗いたとしてもそこに偶然にも知り合いがいるなんてありえない。

おそらく原作にはこのいきさつが詳しく書かれているに違いない。それを映画用に刈り込んだわけだけど、それがあまりにも不自然だった。まあ、こんなところはさらりと流せばいいんだろうけど、おもわず立ち止まってしまった。それから、青木崇高のキャラクターはストーリーの本線とはあまり関係ないからバッサリ切るべきだったなあ。そのほうがもうちょっとテンポが良くなったに違いない。

金塊強奪作戦の実行過程を細かなカットで繋いで行くシーンはとても素晴らしいので、原作をもう少しうまく刈り込んでテンポよく見せてくれたらもっと良かったのに。

 2012年11月22日
 009 RE:CYBORG
Posted by ag at 23:12/ カテゴリー: MOVIE_Database

009 RE:CYBORG監督:神山健治
声:宮野真守、玉川砂記子、小野大輔、斎藤千和、大川透、丹沢晃之、増岡太郎、吉野裕行、杉山紀彰、勝部演之
制作:「009 RE:CYBORG」製作委員会/2012
URL:http://www.ph9.jp/
場所:お台場シネマメディアージュ

モノローグの語り口調と云い、キャラクターの動かし方と云い、自己犠牲を持ってくるところと云い、これではまるで「攻殻機動隊 S.A.C.」の続編だった。そういう視点で観てしまえば充分に楽しめるものではあったのだけれど、「サイボーグ009」としてはどうだったんだろう。「サイボーグ009」のコミックを読んだことがないし、テレビアニメーションを見たのは子供の頃だったので、はたして「サイボーグ009」の世界と云うモノがどういうものなのかはっきりとはわかってないけど、冒頭に聖書の「ヨハネによる福音書」や「ヨハネの黙示録」のもじりを持ってくるようなものではないんじゃないかとおもう。映画がはじまってすぐに、ああ、これは神山健治の世界だな、とわかるものだった。でも、ヒッチコックだってキューブリックだって原作を再構築させて自分のものにしているし、映画としてそれがまったく悪いことではない。と云うか、作家性を前面に出すのならば、そうすべきだ。ところが、元の作品に熱狂的なファンがいる場合は、これがちょっと大変なことになる。ロバート・アルトマンの『ロング・グッドバイ』とか。今回はどうだったんだろう。「サイボーグ009」の熱狂的なファンはこの映画をどう見たんだろう。そういう声はあまり伝わってこないから、これはこれで、神山健治の「サイボーグ009」と云うことで良かったのでしょう。

 2012年11月19日
 人生の特等席
Posted by ag at 23:21/ カテゴリー: MOVIE_Database

人生の特等席監督:ロバート・ローレンツ
出演:クリント・イーストウッド、エイミー・アダムス、ジャスティン・ティンバーレイク、ジョン・グッドマン、マシュー・リラード、ロバート・パトリック、ジョー・マッシンギル
原題:Trouble with the Curve
制作:アメリカ/2012
URL:http://wwws.warnerbros.co.jp/troublewiththecurve/
場所:よみうりホール(試写会)

クリント・イーストウッドも82歳になって、これから先、どれくらいスクリーンで観られるんだろうかとおもうと、一つ一つの映画がとても大事におもえてきて、映画の出来がちょっとくらい悪くても、まあ、いいかな、とおもってしまう。この映画も、コンピュータ人間V.S.感性人間のような、あまりにも型にはまったストーリーなので笑ってしまうほどなんだけれども、クリント・イーストウッドが怒りを見せるシーンなどはダーティ・ハリーを彷彿とさせてくれたりするので、それが見られるだけでもこの映画を観て良かったとおもわせてくれる。もうちょっと『マネー・ボール』のような、期待されながら大成しなかった元選手の哀愁感が画面に出てくれればもっと良かったのだけれど。

それにしてもロバート・パトリックは歳を取ったなあ。『ターミネーター2』の印象が強過ぎるので、てっきりあのままのイメージを想像していたからマーティン・シーンと勘違いしていた。ロバート・パトリックは顔の皺が増えてマーティン・シーンにそっくりになった。

 2012年11月14日
 危険なメソッド
Posted by ag at 23:54/ カテゴリー: MOVIE_Database

危険なメソッド監督:デヴィッド・クローネンバーグ
出演:マイケル・ファスベンダー、キーラ・ナイトレイ、ヴィゴ・モーテンセン、ヴァンサン・カッセル、サラ・ガドン
原題:A Dangerous Method
制作:イギリス、ドイツ、カナダ、スイス/2011
URL:http://dangerousmethod-movie.com/
場所:TOHOシネマズシャンテ

てっきりデヴィッド・クローネンバーグは、ずっと「デヴィッド・クローネンバーグの映画」を撮ってくれるものだと今の今までおもっていた。ところが今回は、大きくその期待とはかけ離れたものを見せられてしまった。随所にクローネンバーグらしさは見られるけれども、キーラ・ナイトレイの半分乳首の出ているコルセット姿とか、でも全体からすれば真面目な文芸映画だった。映画の出来としては、それは素晴らしいものだった、とおもう。が、えっ、クローネンバーグは今後こうなっちゃうの、と云う不安もあいまって、なんだか微妙な気持ちのまま全編を観終えてしまったので、全然、映画を楽しめなかった。確かにデヴィッド・クローネンバーグに求めるものが固定してしまうのもどうかとおもうけど、彼が老成していってしまうのも悲しい。

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