
先週の金曜日、千駄木の古書ほうろうで行われた「第一回モクローくん大感謝祭」のオープニング・イベントの帰り、不忍通りを動坂下の交差点にさしかかったとき、そこで信号待ちをしていると突然声をかけられた。
マンションはいかがでしょうか?
金曜の夜の10時近くだ。それに自転車で信号待ちをしているときにだ。そんな時に、ルーズリーフに入っているカタログを開いてマンションをセールスするなんて! それも大学出たてのような、スーツも身に付いていないような若いあんちゃんだ。どう見たってマンションの売れ行きが悪くて会社に無理矢理やらされている感じだ。
自転車に乗っていると、その土地の人間に思われる場合が多い。だからよく道を聞かれる。聞かれたことに対してどのくらい答えられるかで、その土地にどれくらい詳しくなったのかがわかったりもするので、道を聞かれることは案外楽しかったりする。マンションをセールスされたのも、その近くの人間だと思われたのかも知れない。でも、マンションはいらないよ。同じく自転車で信号待ちをしているときに、あなたのために祈ってあげます、って言われたときよりもいらない。
このあいだ、江東区の東雲あたりを走っているとき、更地にニョキニョキ、マンションが乱立し始めているのを見て、こんなにマンションばっかり建てて、中に入居するヤツはいるんだろうか? と思ったんだけど、よくニュースなんかで「都心回帰」現象が起きていると言っていたりするので、案外入るヤツはいるのかもしれない。とはいえ、自転車であちこち走っていてわかるのだが、マンションの需要と供給のバランスは完全に崩れているように見える。新築のマンションがあまりにも多すぎるのだ。将来、映画「ブレードランナー」に出てくる遺伝子技師セバスチャンの住んでいるマンションのようになるなあ、絶対。彼以外に誰も住んでいないマンション。それはそれで未来的であり、成熟した都市の行き着く先なのかもしれないけど。