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 2005年05月07日
 対岸の彼女
Posted by ag at 01:12/ カテゴリー: BOOK
対岸の彼女角田光代の「対岸の彼女」を読んでいて最後まで気になったことは、高校生の楢橋葵と、成長してプラチナ・プラネットの社長となった楢橋葵がどうしても結びつかなかったこと。高校生の時点で形成されてしまった人格はは、その後どんなに変遷があったとしても、大きくは変わりようがないように思う。だから、どう考えてみても高校生の楢橋葵とプラチナ・プラネットの楢橋葵は別人に見えてしまう。どちらかというと、野口魚子(ナナコ)の成長した姿がプラチナ・プラネットの楢橋葵に見える。とすると、田村小夜子の方が高校生の楢橋葵が成長した姿に見えてくる。

こう考えると、そうか、角田光代は意図してこれを書いているんだな、と思えてくる。高校生時代の二人とプラチナ・プラネットの二人はクロスして対象をなしている。

「対岸の彼女」の“対”は、楢橋葵に対しての野口魚子でもなければ、田村小夜子に対しての楢橋葵でもなかった。このような直線的な“対”ではなくて、クロスした“対”だったのだ。「対岸の彼女」の“対”は、高校生の楢橋葵に対してのプラチナ・プラネットの楢橋葵でもあり、田村小夜子に対しての野口魚子でもあったのだ。

ラスト、田村小夜子は、高校時代の楢橋葵に宛てた野口魚子の手紙を発見する。この手紙は、野口魚子(プラチナ・プラネットの楢橋葵)から田村小夜子(高校時代の楢橋葵)へ宛てた手紙でもあった。

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