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 2009年01月12日
 荒野へ
Posted by ag at 22:43/ カテゴリー: BOOK_Database

荒野へ著者:ジョン・クラカワー
翻訳:佐宗鈴夫
出版社:集英社文庫、集英社
購入場所:ブックファースト新宿店

ショーン・ペンが監督した映画『イン・トゥ・ザ・ワイルド』の原作本。

映画の中には描かれてなくて、この本を読んでわかったことは、アラスカの荒野で死んだクリス・マンカインドの事件がアメリカでは大きなニュースとして取り扱われていたということ、そしてそのことに対して一般大衆から、無知な若者、または頭のおかしな若者、という批判が相次いだことだった。

確かに、充分な装備も持たずにアラスカの荒野に踏み込んで死んでしまえば、表面上は“無知で無謀な奴”または“自殺願望者”と見えるかもしれないけれど、この本の著者のジョン・クラカワーは、本当にそんな単純なことなんだろうかと疑問を感じて、残された日記や読んでいた本への書き込み、肉親、友人、旅の途中で知り合った人の証言などからそこを読み解いていく。

その読み解いて行く過程が、まるでミステリーのようで面白かった。

若干、自身と照らし合わせて、クリス・マンカインドを擁護しようとする記述が多いけど、冷静に分析をしようとつとめてはいる。

ただ、そのジョン・クラカワー自身の個人的な経験に章を割いていて、それををどう読み取るかでこの本に対する印象がだいぶ変わってきてしまうんじゃないかとおもう。果たして、ジョン・クラカワー自身の経験を記述することによって、クリス・マンカインドという人物をさらに浮かび上がらせることに成功しているのかどうか。そこはだいぶ微妙な部分。

ショーン・ペンの映画は、このジョン・クラカワーの本の構成に倣っている部分も多いけど、そこは映画と本というメディアの違いで、受ける印象がまったく違うことがわかる。映画はイメージの積み重ねで、本は証拠や証言や引用の積み重ね、といった感じ。だから、映画を見てから原作本で補足するという流れがベストな作品。これが逆だったら、映画の受ける印象がだいぶ変わってしまっていたんじゃないのかなあ。

この本の中には、クリスが読んでいた本も含めていろいろな文章が引用されているけど、以下の引用がクリス・マンカインドの事件をいちばん端的に表しているんじゃないかとおもう。そして、いちばん好きな引用だった。

結局、創作的才能にとって、病的なほど極端に走るのは悪い習慣かもしれない。それは非凡な自己洞察をもたらすけれども、心の傷を魅力的な芸術や思想に表せない者たちには、長続きする生き方ではない。

セオドア・ロウスザック『驚異の探求』

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