
著者:アラン・ムーア、デイブ・ギボンズ
訳者:石川裕人、秋友克也、沖恭一郎、海法紀光
出版社:小学館集英社プロダクション
購入場所:セブンアンドワイ
映画の『ウォッチメン』を観たときに、このストーリーのどこに人を引きつける力があるのかまったくわからなかった。
ということは、この映画はコミックの一つの側面しか描ききれてないんじゃないかとおもって、さっそく原作を買ってみた。
なるほど映画はストーリーの骨子を忠実に追ってはいる。でも残念ながら「ウォッチメン」の魅力はその骨子にあるのではなくて、コミックのコマの端に描かれているちょっとした情報だったり、コミックの各章の合間にあるテキストから得られる物語の背景のことだったりする。そしてそんな補足情報がメインのストーリーと絡み合って、ジグソーパズルのようにストーリーが組み立てられて行くところに魅力があったりする。
ところが映画の場合、そのような補足情報を効果良く観客に観せることが難しい。ザック・スナイダーも、コミックのコマ内に描かれている細かな情報を一生懸命にフィルムの中に取り込んでいたりするけど、それがどれくらいの効果を上げているのかというと、サブリミナルのような効果くらいしか上げていないような気もする。だって映画はそこで立ち止まっていられないから。
それに映画では、コミックでは重要な位置を占めているコミック内コミック「黒の船」をバッサリ切っている。いや、バッサリ切ることは正解だとおもう。もしシナリオの中に盛り込んだとしたら、ただいたずらにストーリーを分断させることになってしまうに違いないし。でも、その「黒の船」があるのと無いのでは、「ウォッチメン」の全編に漂う悲壮感、絶望感がまったく違ってしまった。
映画は原作を読まずに観に行った方が断然良い、とは言ったものの、この「ウォッチメン」に関して言えば、コミックを読んでから映画を観に行ったほうが良かったのかもしれない。映画では描ききれていない補足情報を前もって頭の中に入れておいて、それを参照しながら映画を観ることができるから。
DVDが出たらもう一度レンタルで観てみようとおもう。そしてコミックの補足情報がどこまで映画に取り込まれているのか確認しようとおもう。そういう見方をしたら、案外、面白かったりして。
映画が面白いかどうかなんて、観た時の状況に左右されるのが面白いでところです。