
著者:ダン・ブラウン
訳者:越前敏弥
出版社:角川文庫、角川書店
購入場所:板橋サティ
映画を観てから少し時間が経ってしまったけど、やっと原作を読み始める。
映画では『ダ・ヴィンチ・コード』よりも『天使と悪魔』のほうが面白かったけど、原作も「天使と悪魔」のほうが面白い。それは、ただ単に聖杯伝説やマグダラのマリアの謎を追っかけるサスペンスよりも、科学と宗教の確執の歴史のほうが自分にとっては興味深いということのみならず、場面の展開もほとんどがローマとバチカンに限られるから、とてもコンパクトで凝縮している感じが自分にとっての好みという理由もあるのかもしれない。舞台劇の映画化が好きなのも、そういう理由から来ているし。
さらに、同時に読み始めた「人類が知っていることすべての短い歴史」の中に、以下の記述があって、ますます興味が連鎖する。
これって、仏教の言うところの“輪廻転生”だよね。宗教って、どういう過程でそういう思想が生まれたのか知らないけれど、原子という物質の最小単位が理解される以前からそういう考え方があったとすると、宗教=科学であることにほかならないわけだから、そこに対立軸が出来てしまったことはとても不幸な歴史だった。
聖書に書かれてある天地創造も、解釈によっては科学的な説明と合致できるのかもしれないし、逆に地動説も、進化論も、解釈の仕方によっては宗教の教義の中にすでに組み込まれていたんじゃないかとおもったりもする。広く受け入れる心を持たなかった中世の聖職者たちの狭量さが不幸な歴史を招いたんだとしたら、この情報化時代の現在においてこそ、小説の中のレオナルド・ヴェトラが目指したように宗教と科学の融合を誰かがすべきだとはおもう。
と、確かにそういう部分が共感できたからこそ、面白い、と感じる理由なんだろうけど、ダン・ブラウンの文体って、ウンベルト・エーコなどと比べると、ちょっと軽い。すらすら読めるのはいいんだけど「薔薇の名前」のような重みがまったくないのが、ちょっと残念。