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 2009年11月23日
 人類が知っていることすべての短い歴史
Posted by ag at 00:33/ カテゴリー: BOOK_Database

人類が知っていることすべての短い歴史著者:ビル ブライソン
訳者:楡井浩一
出版社:日本放送出版協会
購入場所:BOOK OFF 飯田橋駅東口店

人類がこれまで、この世の中のことについて何を理解してきたかを600ページにわたって網羅した本。

何を理解して来たかというと、肝心なところは何一つ理解していないに等しい。宇宙のことはもちろん、地球の構造もはっきりわかっていないし、気象のことも、火山のことも、地震のことも。とにかく物理、化学、地学、分子生物学、古生物学とあらゆる分野に渡って、どちらかというとわかっていることのほうが少ないのではないかとおもえるくらいだ。

そんな我々がまだ理解できていないことで知的好奇心をくすぐられたベスト3。

1.消えては現れる奇妙な電子
ある意味で、デニス・オーヴァバイが述べたように、電子は確認できるまで存在しないと言ってもいい。あるいは少し見かたを変えて、電子は確認できるまで「どこにでも存在すると同時に、どこにも存在しない」と考えるべきかもしれない。(P209-210)

2.地球温暖化は氷期を止められるか
困ったことに、どちらの未来がわたしたちを待ち受けているかはわからない。きびしい寒さが延々と続く時代がやってくるかもしれないし、激しい暑さが果てしなく続く時代がやってくるかもしれない。ひとつだけはっきりしているのは、現在の気候がきわめて微妙な均衡の上に成り立っているということだ。(P576)

3.細菌の貢献
多くの生化学者は、それほど長い年月(2億5千万年)のあいだに、細菌が時折目を覚ますことをしなかったら、細菌の構成要素は分解して用をなさなくなるはずだと主張したのだった。しかし、細菌がときどき体を動かすのだとすると、そうやって何億年生き続けるためのエネルギーをどこから得るのか?(P411)

電子について言えば、もう、何をかいわんや、だ。「小さな世界の物質は、大きな物質とはまるで異なる動きをする」(P210)と言われるように、その動きはまるでゴーストだ。地球温暖化についても「現在も氷河期のまっただ中にある」(P568)と言われたりしたら、えっ? 今、氷河期なの? それじゃ地球温暖化でプラスマイナスゼロじゃん、とおもったりする。そして、この世の中は細菌で出来ているのだ。「わたしたちはといえば、彼らなしでは1日たりとも生きられない」(P407)のだ。つまり、除菌、除菌とみんな言ってるけど、それがいかに自分たちの首をしめてることか!

この他にも人類が理解していないことは山のように出て来るんだけど、理解していながら目や耳を背けたくなる事実も一緒に語られている。その中の最もたるものが「当然ながら、絶滅はどんなときも当事者からすればいやな出来事だが、それには地球の変化を促すという利点もあると考えられる。」(P468)だ。地球にとって人類の絶滅がどんなに望まれることか! “地球のために二酸化炭素を減らそう”なんて言ってるけど、どちらかというと“地球のために人類を減らそう”なのだ。

この本はとにかくわかりやすさに努めている。難しい理論を無駄に掘り下げる事もなく、見た目に不快な数式もまったく出てこない。認められてない学説については、その旨を述べた上で言及しているので偏ることもない。そして、これだけ多岐にわたった科学史を奇麗に分類して、見目麗しい章立てをしているのも素晴らしい。日進月歩、いろいろなものが解明されて行き、この本も月日が経てば内容に誤りが生じてしまうだろうけど、現時点での人類の解明してきた科学史を理解する上ではベストな書ではないかとおもう。

ag-n
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