
監督:スティーブン・ソダーバーグ
出演:マット・デイモン、スコット・バクラ、ジョエル・マクヘイル、メラニー・リンスキー
原題:The Informant!
制作:アメリカ/2009
URL:http://wwws.warnerbros.co.jp/theinformant/
場所:スペースFS汐留(試写会)
前回の『チェ』2部作で限りなくドキュメンタリーに近い映画を撮ったスティーブン・ソダーバーグが、今回も実際にあった事件をもとにして映画を撮った。でも、雰囲気がまるで違う。厳しい革命の映画から一転、まったくの人を喰ったストーリー。
この映画の主人公は嘘つきだ。それも尋常な嘘つきじゃない。頭の回転が早い、弁が立つ、微妙に真実を盛り込む。それをベースに嘘を連発されたんじゃ、もう何がなんだか。映画を観ているこちらも、いま展開しているシーンはいったい真実なのか嘘なのか、頭がグルグル回転しっぱなし。もう退屈している暇がない。
ただ、ちょっと気を許している間に何がなんだか訳がわからなくなる恐れが大きい。嘘がばれて、それをまた違う嘘でカバーしているようなシーンになっていたりすると、最初の嘘のどこまでが嘘で、どこまでは真実なのかもうわからなくなってしまう。そこがこの映画の面白いところでもああるし、致命傷でもあるし。
好き嫌いはあるだろうけど、やっぱりスティーブン・ソダーバーグは巧い。特にマット・デイモンのモノローグが好い。映画の最初の頃は、まるっきり現実と乖離した空想のようなモノローグが挿入されていくんだけど、徐々に窮地に陥って行くと同時に実際の感情にモノローグが近づいて行く。最後は、そのものずばり、その時の感情が語られる。
観終わって、この映画の全貌を理解できる人は少ないかもしれないけど、そのモヤモヤした感覚が自分としては楽しかった。全員が全員、そういう感想を持つことはないだろうけど。