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 2009年12月31日
 今年良かった映画
Posted by ag at 18:04/ カテゴリー: MOVIE

今年、劇場で観た映画はちょうど60本だった。これにDVDレンタルやNHKBSで見た映画を入れると100本くらいかなあ。Twitterのタイムライン上には物すごい本数を観ているつわものどもがいるけど、自分にとって一年に観る映画としては精神的にこれくらいがリミットのような気がする。これ以上観ると、ものごとの捉え方に偏よりが生じてしまうような気がしてしまってものすごく怖い。偏らないように他の時間、自転車に乗るとか、イングランドのサッカーを観るとか、本を読むとか、iPhoneをいじるとか、そんなことが自分にとってはとても大切ではないかと。

で、今年、劇場で観て良かった映画は以下のとおり。

・チェンジリング
・フロスト×ニクソン
・グラン・トリノ
・それでも恋するバルセロナ
・レスラー
・サマーウォーズ
・パイレーツ・ロック

 2009年12月30日
 Twitter社会論 新たなリアルタイム・ウェブの潮流
Posted by ag at 15:16/ カテゴリー: BOOK_Database

Twitter社会論 新たなリアルタイム・ウェブの潮流著者:津田大介
出版社:洋泉社
購入場所:三省堂書店本店

そんなわけで、どんなわけで? Twitterなわけだけど、Twitter本の本命「Twitter社会論 新たなリアルタイム・ウェブの潮流」を読んでみた。

Twitterには技術的に目新しいことは何もない。でも、不思議なことに、そんじょそこらの技術を使っていたとしても、扱い方によって大きく化ける可能性があることをTwitterが教えてくれた。扱い方というのは単純なルールのことで、140字の制限、制約のないフォロー、自分で作るタイムラインあたりのことを言ってる。そしてそのルールによって醸し出される全体的なゆるい雰囲気のこと。

今までのネット上のコミュニケーションというと、掲示板にしても、ブログにしても、SNSにしても、とても便利で楽しい部分がある反面、人間のイヤな部分も拡大して表現されてしまうところがとても辛かった。掲示板やブログ・コメントの“炎上”なんて現象を見たりすると、とても心が寒くなって、この世から人間なんて生き物は滅んでも良いんじゃないかとおもえるくらいにイヤだった。

そんなネット・コミュニケーション・ツールの延長線上にあるTwitterも、他と同じように“炎上”のような現象が起きるんじゃないかとおもっていたら、どうやらちょっと雰囲気が違う。確かに似たような言い争いが起きているようだけど、争っている人たちをすべてフォローしていなければ何に論点があるのかさっぱりわからないし、その間にどんどんタイムラインは流れて行くのでよっぽど必死にすべての言動を追いかけなければ訳がわからなくなるし、その内、当の本人たちもタイムラインの他の人のTweetに流されてか、どんどんと気持ちが冷めて行くようだし。

自分のタイムラインについて言えば、もし言い争いの人々をすべてフォローしていて、その論点が何であるか分かったとしても、あいだ、あいだにいろんなTweetは入り込んでくる。たとえばギャグ漫画家の人たちもフォローしているので、言い争いの間に「風呂あがり寿」なんてTweetが入ってきて、それに対してまた別の人が「しりあがり痔」なんてTweetが入ってきたりすると、逆に言い争ってる人たちがアホらしくおもえてくる。そこがTwitterの“炎上”しにくい所以かなとおもったりする。

つまり、このように、コミュニケーションをとっている人もいれば、ただ単に独り言を言い放っている人もいる。言い放っている人の中にも提言みたいなことを言ってる人もいれば、ダジャレや俳句を言っている人もいる。その渾然一体となった世界がTwitterだった。自分にとってはそこがTwitterを面白く感じる部分だった。

この「Twitter社会論」は、そんな自分が面白いと感じた部分を解説してくれるような内容の本だとおもったらそうでもなかった。もっとジャーナリズムに寄っている内容の本だった。それはそうだ、津田大介さんが著者なんだから。内容的には知っていることも多く、目新しいことも、なるほどね、だけの本だったけど、Twitterをまったく知らない人にとっては良い入門書だとおもう。

 2009年12月28日
 千年の祈り
Posted by ag at 23:37/ カテゴリー: MOVIE_Database

千年の祈り監督:ウェイン・ワン
出演:ヘンリー・オー、フェイ・ユー、ヴィダ・ガレマニ、パシャ・リチニコフ
原題:A Thousand Years of Good Prayers
制作:アメリカ・日本/2007
URL:http://sennen-inori.eiga.com/
場所:恵比寿ガーデンシネマ

TwitterのTimeLineがクリスマスに見る映画として『スモーク』があることを思い出させてくれた。そうだ、『スモーク』だ! 脚本は作家のポール・オースターで、まるで彼の小説、『シティ・オブ・グラス』、『幽霊たち』、『鍵のかかった部屋』のように、登場人物たちの喪失した心の緩やかな回復過程が描かれている映画だった。必至にもがいている様を描くのではなくて、徐々に回復の兆しを見せ始める様を描く優しい映画だった。

この流れで、『スモーク』を撮ったウェイン・ワンの新作『千年の祈り』がちょうど公開されているので観てみた。

原作はアメリカ在住の中国人女流作家イーユン・リーの短編小説。なんだけど、まるでポール・オースターとコンビを組んだ映画のようだった。父親と娘の間に出来てしまった深い溝が、穏やかな反発を繰り返しながら、徐々に、静かに埋められて行く過程が描かれている心優しい映画だった。その溝がきっちりと埋まるわけではないけど、いつしか埋まるのではないかと希望を持たせてくれる映画だった。

まるで千年を一つのスパンで捉えているような映画で、太極拳のような緩やかな動作の映画なので、この情報過多の忙しない時代にどれくらいの人がこの映画を面白いとおもうかはわからないけど、好い映画です。

 2009年12月27日
 バニシング・ポイント
Posted by ag at 21:33/ カテゴリー: MOVIE_Database

vanishing_point.jpg監督:リチャード・C・サラフィアン
出演:バリー・ニューマン、クリーヴォン・リトル、ディーン・ジャガー、ビクトリア・メドリン、ポール・コスロ、ボブ・ドナー、ティモシー・スコット、ギルダ・テクスター、セヴァーン・ダーデン、デラニー&ボニー&フレンズ
原題:Vanishing Point
制作:アメリカ/1971
URL:
場所:DVDレンタル

1980年に出版されたフィルムアート社の「70年代アメリカン・シネマ103」は、自分にとっての映画の指南書みたいな本だった。だから、この本に収められている『俺たちに明日はない』から『地獄の黙示録』までの103本の映画のほとんどを観ている。

ところが、この本の中に当然のごとく入っているリチャード・C・サラフィアンの『バニシング・ポイント』をなぜかずっと見逃していた。おそらくそれは、あまり名画座に掛からなかった所為だろうけど、時が流れてちょっと手を伸ばせばビデオやDVDレンタルで借りられる時代にも、なぜかずっとパスしていた。この映画にオマージュを捧げているタランティーノの『デス・プルーフ in グラインドハウス』を観た時も、やばい観なければ、とおもったくせにまたもやパス。なのに、この年末に突然炎のごとく、借りた。

観ようとしていたこの長い時間に、どんなストーリーなのかは何となくわかってしまっていたので、もう完全に初見の新鮮さは失われてしまっていた。でも、このシンプルさは、複雑怪奇なものを見過ぎている今の時代にはかえって新鮮かもしれない。だって、今の時代に、こんなシンプルなストーリーの映画なんて企画すら通らないだろうから。CGやVFX全盛のこの時代にこそ、もっとこんなシンプルな映画が欲しいのに。そうすればバランスが取れて、精神も安定するだろうに。

ただ、この映画のラストシーンだけは、アメリカン・ニューシネマの代名詞のようなものなので、今の時代にはちょっとキビシイかもしれない。体制に反発した結果の行き着く先が“死”ではあまりにも短絡な。シンプルが良いと言っておきながら、う〜ん、ちょっとここだけは捻りが欲しい、ゼロ年代には。ところでゼロ年代って何だ? 70年代や80年代、90年代との違いは何だろう?

 2009年12月26日
 〈映画の見方〉がわかる本
Posted by ag at 21:58/ カテゴリー: BOOK_Database

eiga_no_mikata.jpg著者:町山智浩
出版社:洋泉社
購入場所:ジュンク堂池袋本店

以前から「映画秘宝」のノリが自分のノリと違うと感じがしていて、だから何となく敬遠していた町山智浩の本だけど、Twitterの影響で彼のポッドキャストを聞き始めたらこれが面白い。時たま、すごく些細なことに突っ込んで目茶苦茶その映画をけなすことがあるんだけど、全体的には映画の嗜好が自分と合っていることがわかって来た。なので、ちょっと前の本だけど買って読んでみた。

この本に取り上げられる映画の数々は、自分が映画にのめり込むきっかけを作った映画ばかり。特に『2001年宇宙の旅』『卒業』『タクシードライバー』『未知との遭遇』の4本は、自分にとっての映画の教科書というか、バイブルというか、それぞれの映画の各シーンが意識の中に永遠と留まり続けているものばかりで、何かにつけて『2001年宇宙の旅』のHAL9000が「デ〜イジ〜♪」と歌うシーンが頭に浮かんだり、『タクシードライバー』のロバート・デ・ニーロの“You talkin' to me?”というセリフが口について出たりと、もう狂気の域に達してるくらい。それが愛情を持ってこの本の中で語られているのは嬉しいかぎり。

中でも難解と言われたスタンリー・キューブリックの『2001年宇宙の旅』を、1965年12月脱稿の映画のシナリオ、アーサー・C・クラークの小説版「2001年宇宙の旅」、同じくクラークの「失われた宇宙の旅2001」、「プレイボーイ」1968年9月号のキューブリック・インタビュー、ジェローム・アジュール編「Making of Kubrick's 2001」の5冊をもって解題して行くところが素晴らしい。『2001年宇宙の旅』をどのように観るかは人それぞれで良いとはおもうけど、このように文献をひも解いて、キューブリックの真意を理解した上で映画を観るのも一つの方法だとおもう。

もう一冊、同じように映画を解題していく「ブレードランナーの未来世紀」という本が出ているのでそっちも読んでみようとおもう。

 2009年12月23日
 エルマー・ガントリー 魅せられた男
Posted by ag at 00:03/ カテゴリー: MOVIE_Database

エルマー・ガントリー 魅せられた男監督:リチャード・ブルックス
出演:バート・ランカスター、ジーン・シモンズ、ディーン・ジャガー、アーサー・ケネディ、パティ・ペイジ、シャーリー・ジョーンズ、ジョー・マロス、エドワード・アンドリュース、ジョン・マッキンタイア
原題:Elmer Gantry
制作:アメリカ/1960
URL:
場所:DVDレンタル

最近、町山智浩のポッドキャストを聞いていて、その中の5月頃の回で『エルマー・ガントリー』が取り上げられていたのでそのDVDを借りてみた。

リチャード・ブルックス という監督は自分にとってあまり明確なイメージのない監督で、だからそんなに作品を追いかけなかった。観たのは『暴力教室』と『弾丸を噛め 』くらいで、そのどちらもとりたてて面白いわけでもつまらないわけでもない作品だったので、追って他の映画を見ようとはしなかった。でも、この『エルマー・ガントリー』はしっかりとした映画で面白かった。

何が面白かったのかというと、やはり宗教というものの危うさが描かれていたところ。日本人が新興宗教に感じるような胡散臭さではなくて、欧米において人々の精神的な支柱となるべきキリスト教の危うさが描かれていたところ。宗教って、人間が生きて行く上でとても重要なものだとはおもうけど、聖典においても、布教においても、信仰においても、経営においても、関わる人間においても、すべてのものが不安定で、グラグラしている感じでとても危うい。それが良く描かれていた。

いつ頃からか、この社会における宗教の在り方というものをどこかで、オープンカレッジあたりで勉強したいとおもっていたんだけど、この映画でまた火がついてしまった。

 2009年12月20日
 トワイライト ~初恋~
Posted by ag at 23:59/ カテゴリー: MOVIE_Database

トワイライト ~初恋~監督:キャサリン・ハードウィック
出演:クリステン・スチュワート、ロバート・パティンソン、テイラー・ロートナー、ビリー・バーク、ピーター・ファシネリ、エリザベス・リーサー、アシュリー・グリーン、
ジャクソン・ラスボーン、ニッキー・リード、ケラン・ラッツ、キャム・ギガンデット、レイチェル・レフィブレ、エディ・ガテギ、ジル・バーミンガム
原題:Twilight
制作:アメリカ/2008
URL:http://twilight.kadokawa-ent.jp/top2.html
場所:DVDレンタル

ヴァンパイアものということと、『イン・トゥ・ザ・ワイルド』が良かったクリステン・スチュワートが出ているということだけで借りてしまった。

ヴァンパイアものなので、もうちょっと『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』のような耽美な雰囲気が出ているのかとおもったら、沈んだ色調ではあるものの、どちらかというと青春ハイスクール的な内容のほうが強かった。ヴァンパイア一族とネイティブ・アメリカン一派との何やら曰くあり気な伝説の部分など、もっと話しを膨らませれば良かったのに。結局、ネイティブ・アメリカンの人々はストーリーに大きな影響を及ぼさずにがっかり。

アン・ライスあたりの小説を原作とした本格的なヴァンパイア映画が作られないかな。またニール・ジョーダンあたりで。デヴィッド・リンチやデヴィッド・クローネンバーグでも良いんだけど、彼らは撮らないだろうなあ。日本でも小野不由美の「屍鬼」を映画化してくれないかな。監督は、、、、黒沢清あたり? 黒沢清の映画を1本も観たことがないけど。

 2009年12月16日
 母なる証明
Posted by ag at 23:53/ カテゴリー: MOVIE_Database

hahanaru_shomei.jpg監督:ポン・ジュノ
出演:キム・ヘジャ、ウォンビン、チン・グ、ユン・ジェムン、チョン・ミソン
原題:마더
制作:韓国/2009
URL:http://www.hahanaru.jp/
場所:新宿武蔵野館

香港映画や韓国映画を観た時に、どうしても気になってしまうことがある。それは、ストーリーの本筋を補うためのエピソードが、ストーリー・ラインから浮いてしまっていることがよくあることだ。そこにギャグが入って無理やり笑わせようものなら、もう我慢がならない。だからあまり香港映画を観ないんだとおもう。韓国映画も香港映画ほどではないにしても、主にコメディ系の映画にそういうのがあるんで、それを引き当てるとガッカリしてしまう。

この『母なる証明』も、滑り出しのウォンビンがベンツに跳ねられるシーンからして、あれれ、という感じ。いったいこのシーンは何のためにあるんだろう? おそらくゴルフボールが鍵となるんだろうけど、それにしては伏線のはり方が下手すぎる。それにウォンビンの友人のチン・グの扱いもさっぱりわからない。彼の、このストーリーの中の立ち位置はどこにあるんだろう? 高慢な弁護士の部分も同様。いらないよ、そのエピソード。

ストーリーの柱となる母、キム・ヘジャと息子、ウォンビンの部分はしっかりしていて安心して観ていられるのに、周りの部分がすべてを台無しにしてしまっているような気がする。同じポン・ジュノ監督の『殺人の追憶 』では、そんな韓国映画にありがちな浮きまくりのエピソードが無かったので、この『母なる証明』も同様に楽しめるんじゃないかと期待したんだけど、ダメだった。

後半からラスト、ストーリーの核心部分に迫って行くところは良かったのに。そして、最後の夕陽を背景にしたバスの中のキム・ヘジャの踊りも良かったのに。

 2009年12月14日
 その土曜日、7時58分
Posted by ag at 23:59/ カテゴリー: MOVIE_Database

その土曜日、7時58分監督:シドニー・ルメット
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン、イーサン・ホーク、マリサ・トメイ、アルバート・フィニー、ブライアン・F・バーン、ローズマリー・ハリス、マイケル・シャノン、エイミー・ライアン、サラ・リヴィングストン、アレクサ・パラディノ
原題:Before The Devil Knows You'Re Dead
制作:アメリカ/2007
URL:http://www.doyoubi758.jp/
場所:DVDレンタル

シドニー・ルメットの撮る映画は自分の肌にぴったり合う。特に『十二人の怒れる男』『未知への飛行』『狼たちの午後』『プリンス・オブ・シティ』『デストラップ・死の罠』『評決』などは、生涯のベスト10に入れても良いくらい。いやいや、そんな選び方だとベスト10に選ぶべき映画が100本くらいになってしまうからベスト100ってことか。

ベストに入らないにしても、ちょっとした佳作も多い。『女優志願』『質屋』『キングの報酬』『旅立ちの時』『Q&A』とか。観るたびに何かしらの新しい発見があって、いつしか彼のすべての作品をロードショーに追いかけていた。

でも、『刑事エデン/追跡者』『ギルティ/罪深き罪』『NY検事局』あたりでだんだんと失速し、結局DVDレンタルで観ることになった『グロリア』に至っては酷い映画だった。もうシドニー・ルメットは年老いて終わりだとおもった。だから、その後の彼の作品は追いかけなかった。

ところが昨年、キネ旬のベストテンに彼の『その土曜日、7時58分』が入った。もしかすると復活したのか? と、DVDレンタルになるのを待ちわびていたんだけど、いつしか忘れてしまっていて気が付くともう今年も終わりだ。これではいけないと、TSUTAYAの半額デーも手伝って、やっと借りて見ることが出来た。

この『その土曜日、7時58分』を撮った時、シドニー・ルメットはすでに83歳になっていたはずだ。それでいてこのキッチりとした映画? 凄い。『評決』あたりの円熟期に戻ったようだ。お金に困って追い詰められて行くフィリップ・シーモア・ホフマンとイーサン・ホークの兄弟の焦燥感が画面から溢れ出て来ている。どこをどうしたら、83歳の人間にこの演出が出来るんだろう? 素晴らしい。

相変わらず父親役のアルバート・フィニーの演技が過剰なんだけど、まあ、そこは『オリエント急行殺人事件』のエルキュール・ポアロをおもいださせてくれるので、許す。

 2009年12月12日
 レイチェルの結婚
Posted by ag at 23:59/ カテゴリー: MOVIE_Database

rachel_getting_married.jpg監督:ジョナサン・デミ
出演:アン・ハサウェイ、ローズマリー・デウィット、ビル・アーウィン、トゥンデ・アデビンペ、アンナ・ディーヴァー・スミス、デブラ・ウィンガー
原題:Rachel Getting Married
制作:アメリカ/2008
URL:http://bd-dvd.sonypictures.jp/rachelgettingmarried/
場所:DVDレンタル

劇場公開の時、観ようか観まいか悩んだ末に結局は観なかったジョナサン・デミの『レイチェルの結婚』を借りてみた。

アン・ハサウェイ主演で『レイチェルの結婚』というありふれたタイトルの映画だったので、『プリティ・プリンセス』や『プラダを着た悪魔』のような軽いノリの映画ではないかとおもってしまった。でも監督がジョナサン・デミだから、軽い映画とはいえ観るべきところが数多くあるのではないかと期待して見始めたら、いやいや、イメージとはまったく違う、違うどころか真反対の映画だったのにびっくり。

オープニングからして全体的に沈んだトーンで、そのうえ手持ちカメラで撮っているので、まるでドキュメンタリー映画のような雰囲気にまずは面食らってしまう。そして、主人公のアン・ハサウェイが、どうやら何かしらの心の病気の治療を受けていたことがわかってくる。そこから徐々に明らかになってくる家族の確執劇。それはまるでサスペンス映画のようだった。

イングマル・ベルイマンの『秋のソナタ』は辛辣な母娘の口論が怖い映画だったけど、この映画のアン・ハサウェイとデブラ・ウィンガー母娘の口論&殴り合いも凄まじかった。ちょっとグーが入ってる。ありきたりなホラー映画よりも断然怖い。

父と息子、父と娘、母と息子の争いよりも、なぜ母と娘の争いが一番怖いのだろう? もともと女同士の争いには冷たく鋭利ものを感じるけど、そこに肉親の血が混じると何故か鋭さが増幅される感じ。精神的にグサリと突き刺さって、映画を見ている間中、それがなかなか抜けなくなってしまう。さらに父と娘、姉と妹の争いも、母と娘とは違った角度の確執をうまく表現していた。

精神的にクタクタになるけど、それだけ映画にのめり込める良い映画。

精神的な救いは、結婚式の前夜に行われるパーティの素晴らしさ。自宅の広間で親族、友人だけを招いて行われるパーティなんだけど、人を祝福するための演奏やパフォーマンス、スピーチとはこうあるべきだというお手本のようなパーティだった。日本でも馬鹿げた披露宴なんかをやるよりも、このようなホームパーティをやるべきだよなあ。狭い住宅事情とホームパーティやる習慣がないのが問題だろうけど。

 2009年12月12日
 黄昏の岸 暁の天 十二国記
Posted by ag at 23:59/ カテゴリー: BOOK_Database

黄昏の岸 暁の天 十二国記著者:小野不由美
出版社:講談社文庫、講談社
購入場所:BOOK OFF 原宿店(閉店)

もたもたしている間に、新潮社の文芸雑誌「yom yom vol.12」に小野不由美の新作「落照の獄」が掲載されてしまった(そして、それを自分なりに製本までしたのに!)ので、まだ読んでいない「黄昏の岸 暁の天」と「華胥の幽夢」を急いで読むことにする。

「黄昏の岸 暁の天」は「風の海 迷宮の岸」のその後の話し。新しい王が立った戴(たい)の国では、人望も篤い新王の元に結束し、先王の失政を回復すべく急速な改革が進む。しかし、どんなに有能で魅力のある王でも、急激な変化は知らず知らずにあらぬところに負荷がかかり、いつしか大きな歪みを生ずることになってしまう、という話し。

この十二国記が好きなのは、逆説的で隠喩に富んでるからなんだろうとおもう。この「黄昏の岸 暁の天」も2001年に書かれていながら、まるで今の民主党政権のことを題材にしているように見えてしまう。民主党が全体として有能だとはおもえないけど、中には有能な議員がいるから、そんな人たちが急激な変化に翻弄されて自分を見失って行く姿をこの小説の李斎(りさい)と花影(かえい)に重ね合わせて見てしまう。

花影は言う。「朝を革(あらた)めることは必要です。旧悪を廃することも。けれども、それはこんなに急がねばならないことなのでしょうか。もっと、ゆっくりと時間をかけて、充分に吟味して穏やかに変わっていくのでは、なぜいけないのでしょう……?」

そんな声は時代の波に飲み込まれてしまう。

あとは瓦解のみ。

 2009年12月04日
 イングロリアス・バスターズ
Posted by ag at 23:58/ カテゴリー: MOVIE_Database

inglourious-basterds.jpg監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ブラッド・ピット、クリストフ・ヴァルツ、メラニー・ロラン、ダイアン・クルーガー、イーライ・ロス、ティル・シュヴァイガー、ダニエル・ブリュール、ギデオン・ブルクハルト、B・J・ノヴァック、オマー・ドゥーム、サム・レヴァイン、マイケル・ベイコール、ミヒャエル・ファスベンダー、マイク・マイヤーズ、ロッド・テイラー
原題:Inglourious Basterds
制作:アメリカ、ドイツ/2009
URL:http://i-basterds.com/
場所:新宿ミラノ2

タランティーノの前作『デス・プルーフ in グラインドハウス』は、エクスプロイテーション映画やカー・アクション映画に対する映画愛に溢れていて、その愛情の上に成り立ったラストシーンは涙が出るほど痛快だった。

今回の『イングロリアス・バスターズ』もそんな愛情あふれる映画とおもって期待したんだけど、おもったほど戦争アクション映画や戦時中のドイツ映画に対してのタランティーノの映画愛を感じられなかった。特にドイツ映画に関する蘊蓄は底が浅かった。『嘆きの天使』などで有名な往年のドイツ人俳優エミール・ヤニングス(ヒルマー・アイヒホルンが演じている)なんて、ただ登場させているだけで何のひねりもない。タランティーノなんだから、もうちょっと何かやって欲しかった。

それに、メラニー・ロランの復讐劇とブラッド・ピット率いるバスターズの活躍劇、この二つのストーリーが平行して進むんだけど、そのバランスが悪くてとても居心地が悪い。最後に二つが結びついて、ヒトラー、ゲッペルス、ゲーリングなど、ナチス首脳皆殺しの大団円を迎えるのかと期待するも、何だか二つのストーリーが分断したまま、それぞれのラストシーンを迎えるだけのような気がしてしまう。

とはいえ地下の酒場のシーンなんて、緊張感たっぷりでさすがのタランティーノなんだけど。だから楽しめないわけじゃないけど、期待度が大きかっただけに、ちょっと…、だった。

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