
監督:トーマス・アルフレッドソン
出演:カーレ・ヘーデブラント、リーナ・レアンデション、ペール・ラグナー
原題:Låt den rätte komma in
制作:スウェーデン/2008
URL:http://www.bokueli.com/
場所:銀座テアトルシネマ
長い間、クリストファー・リーが演じたような、髪をオールバックにして牙があってマントを纏っているようなイメージのドラキュラ映画をそのままヴァンパイア映画であると単純に考えていた。ところがそこに、ニール・ジョーダン監督の『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1994)が公開された。アン・ライスの「夜明けのヴァンパイア」を原作にした、それこそホンモノのヴァンパイア映画だった。ああ、なるほど、ドラキュラ=ヴァンパイアではないんだとそこで理解した。ブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」は、ヴァンパイアの一形態に過ぎないんだとやっと理解した。それからは、そのホンモノのヴァンパイア映画をとりわけ意識するようになった。でも、その後の公開映画を観ても、『ブレイド』や『アンダーワールド』のようなアクション映画ばかりで、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』ような永遠の“生”に生き疲れたヴァンパイアたちの耽美で退廃的な映画はなかなか出て来ない。まあ、『トワイライト』あたりが許せる範囲かなあ。
この『ぼくのエリ 200歳の少女』は、タイトルが示す通り、エリという名の12歳の少女のかたちをしたヴァンパイアが出て来るホンモノのヴァンパイア映画だった。舞台がスウェーデンなので、『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』とはまた違った形態のヴァンパイア映画ではあるけれども、北欧の冬の透明さ、静けさが映像に生かされていて、色の薄い景色と原色である人間の血の対比や、寒さのため受動的な人間に対して人間の血を求める能動的なヴァンパイアの対比も映像としてメリハリが利いていて、ヴァンパイア映画の怖さがよく出ていた。映像的にはカナダのアトム・エゴヤンの映画をちょっと思い出したり。ただ、エリを演じるリーナ・レアンデションが、もうちょっとスウェーデン系というか、ゲルマン系の透き通った顔立ちなら良かったのに。たぶん、スラブかラテン、またはロマがちょっと入ってるんだよね。
ドラキュラ=ヴァンパイアとおもっていた、と言ったけど、考えてみたら萩尾望都の「ポーの一族」があるわけだから、たぶん意識のどこかではそんなことはなかったとおもう。「ポーの一族」が映画化されていたらもっとはっきり、ドラキュラ=ヴァンパイアとはおもわなかったんだろうけど。今からでも遅くないから映画化すればいいのに。小野不由美の「屍鬼」あたりも。