
監督:アントワーン・フークア
出演:リチャード・ギア、イーサン・ホーク、ドン・チードル、ウェズリー・スナイプス、ウィル・パットン、エレン・バーキン
原題:Brooklyn's Finest
制作:アメリカ/2009
URL:http://www.cross-ing.jp/
場所:新宿武蔵野館
1932年の映画『グランド・ホテル』が作られてから、登場人物たちのそれぞれのエピソードを時系列に同時並行して描く方法を“グランド・ホテル形式”と呼ぶようになって、今までに同じ形式の映画が数多く作られて来た。その多くは、登場人物たちの“悲”と“喜”のエピソードをバランスよく配置させて、全体的な映画のイメージとしてはペーソス感漂うものとなっていた。ところが、1991年のジョン・セイルズ監督『希望の街』あたりからか、どの登場人物のエピソードもどん詰まり、まったく行き場の無い閉塞感あふれる“グランド・ホテル形式”映画が作られるようになって来た。形式は“グランド・ホテル形式”だろうけれども、単純な情緒だけでは終わらせないような作りにのものが現れてきた。
この『クロッシング』は、同時並行に描くエピソードが3人に限られるので厳密に言うと“グランド・ホテル形式”では無いのだろうけど、追いつめられた人間たちのエピソードの羅列が2004年のポール・ハギス監督『クラッシュ』を連想させて、絶望“グランド・ホテル形式”とも呼べるジャンルに分類分けしたくなってしまう。さらに3人の職業が警官なので、まだ救いの残っていた『クラッシュ』とは違って絶望感だらけ。絶対的な正義を求められながらも、絶対的な正義などこの世に存在しないことから生まれる矛盾に苦しめられる警官たちを3つも平行して観せられたら、観終わったあとの気分は最低。映画としては良く出来てるし、たまにはこういう映画も良いのだろうけれど、仕事に疲れているような人が観る映画では絶対に無いよなあ。観ていて、カソリック教徒のイーサン・ホークと同じように、許しはもういらない! 助けて欲しいんだ! と一緒に叫ぶのが精一杯。日本人の場合は、許しが得られる場も無いんだけど。