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 2011年12月31日
 今年良かった映画
Posted by ag at 23:01/ カテゴリー: MOVIE

今年、劇場で観た映画は全部で64本(山形国際ドキュメンタリー映画祭で観た8本を含む)だった。
で、良かった映画は以下の通り。どれが一番良いかと云うと、うーん『ソーシャル・ネットワーク 』か『マイ・バック・ページ 』かなあ。


ソーシャル・ネットワーク
アンストッパブル
冷たい熱帯魚
トゥルー・グリット
ショージとタカオ
マイ・バック・ページ
CHLOE/クロエ
未来を生きる君たちへ
ウィンターズ・ボーン
マネーボール

 2011年12月30日
 マネーボール
Posted by ag at 23:05/ カテゴリー: MOVIE_Database

マネーボール監督:ベネット・ミラー
出演:ブラッド・ピット、ジョナ・ヒル、フィリップ・シーモア・ホフマン、クリス・プラット、スティーヴン・ビショップ、キャスリン・モス、ロビン・ライト、ロイス・クレイトン、デイヴィッド・ハッチャーソン
原題:Moneyball
制作:アメリカ/2011
URL:http://www.moneyball.jp/
場所:新宿ミラノ2

松井秀喜がフリーエージェントで読売ジャイアンツからニューヨーク・ヤンキースに渡ったのが2003年のことだった。その時のヤンキースのファーストを守っていたのが、その前年にやはりフリーエージェントでオークランド・アスレチックスからヤンキースにやって来たジェイソン・ジアンビだった。この『マネーボール』はそのジアンビや同じくフリーエージェントでボストン・レッドソックスに行ってしまったジョニー・デイモンの抜けたあとのオークランド・アスレチックスの2002年のシーズンを描いている。

オークランド・アスレチックスと云えばイチローが所属するシアトル・マリナーズと同じアメリカン・リーグ西地区。その2002年シーズンの序盤は前年からの好調を引き継いでマリナーズが好調だった。4月は10連勝を含む18勝8敗で地区1位。アスレチックスはと云えば15勝11敗とまずまずだったが5月に失速して25勝28敗になってしまう。しかし6月には8連勝が2回もあって46勝35敗になる。そして8月から9月にかけてアメリカン・リーグの新記録となる20連勝を達成する。

このように2002年のアスレチックスのシーズンは序盤にしても決してそんなに酷いものではなかった。だが、この映画の中でのボストン・レッドソックスのオーナーが云うように「最初に事を行うやつは必ず叩かれる」。はじめて“マネーボール”、つまりセイバーメトリクスの理論を実践したアスレチックスGMのビリー・ビーンは必要以上に叩かれた。セイバーメトリクスとは野球史研究家のビル・ジェームズが提唱した理論で、主に「出塁率」を重視する統計学的な理論だった。選手の過去の実績や見た目の華やかさなどはまったく無視し、冷徹なまでに「出塁率」を重視する理論。ベースボールとは、塁に出た選手をホームに向かい入れることが大前提となるスポーツだからだった。しかしそれはまるでコンピュータとばかり向かい合って人間的な感情を無視した理論に聞こえる。コンピュータと云うものが人間の社会の中で重要な位置を占めるようになって問題視されるのは必ずそこだ。コンピュータには“情”がなくて、人間には“情”がある。

この映画の中で人間の“情”を代表するのが長年メジャーに関わってきたチーフ・スカウト。コンピュータ側を代表するのがぽっちゃりオタク系のビリー・ビーンのアシスタント。この二つの対象を軸として映画は進んで行く。監督のベネット・ミラーは前作の『カポーティ』と同様に対象物をじっくりと描き出す。バタバタと映像を展開させずにしっかりと真正面から捉えている。そこが前作同様に素晴らしい。例えば、スカウト会議では選手の能力だけではなくて、彼女がブスだ、ラスベガスに入り浸ってる、なども話題にされる。反対にぽっちゃりオタク系アシスタントは選手に対してトレードの通達をするのが辛い。人間的な感情を持つもの同士の会話が単なる戯れに聞こえ、冷血漢のコンピュータ人間が人の苦しみを理解しているように見えたりと、二つのコントラストを微妙にぼかしたりしているところは巧妙だった。

そして、元メジャーの選手ではあったけれど、プレーヤーとしては華が開かなかったアスレチックスGMのビリー・ビーンの過去がフラッシュバックするところも巧い。人間の“情”が加味されたスカウトの目利きを信用しても行く行くは過酷な現実に晒され、最後は人間的な感情のまったくないボロ雑巾のように捨てられる。ハッと気が付けば高卒の40歳。GMとして成績を残せなければまたゴミのように捨てられるだろう。それならば最初から数字で割り切ってしまったほうがどんなに楽なことか。数字は決して嘘をつかないだろう。

アスレチックスのGMとしてビリー・ビーンは数字を残す。その数字からボストン・レッドソックスの巨額のオファーが来る。ここで映画は終わって、ラストにテロップでその金額の数字を蹴り、今もって貧乏球団のGMを続けていることが文字で示される。そこに流れるのは、ビリー・ビーンの娘のギターの弾き語り。数字ばかりに囚われている空しさを代弁しているような曲で素晴らしかった。

今 困ってるの
人生は迷路 恋は謎々
どうしよう 一人ではムリ
やってはみたけど
わたしは 戸惑う女の子
怖いけど 澄まし顔
答えが見えない
でも そんなの忘れよう
そして楽しもう
ゆっくり 止まって
心臓がはじけそう
だってムリ これ以上
違う人の フリなんて
愛の枯れた オバカさん
また迷ってる
パパはオバカね
パパはオバカ……
もっと野球を楽しんで

 2011年12月21日
 ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
Posted by ag at 23:28/ カテゴリー: MOVIE_Database

ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル監督:ブラッド・バード
出演:トム・クルーズ、ポーラ・パットン、サイモン・ペグ、ジェレミー・レナー、ミカエル・ニクヴィスト、ウラジミール・マシコフ、ジョシュ・ホロウェイ、サムリ・エデルマン、ミラジ・グルビク、アニル・カプール、レア・セイドゥ、トム・ウィルキンソン、ヴィング・レイムス、ミシェル・モナハン
原題:Mission: Impossible – Ghost Protocol
制作:アメリカ/2011
URL:http://www.mi-gp.jp/
場所:新宿ミラノ2

今まで劇場にかかる映画としては同じでも、俳優を使った実写映画とアニメーション映画とでは別物として扱われてきた。まったく違うジャンルのものとして捉えられていて、賞を与えるにしてもこの二つの世界を一緒にして評価することは少なかった。見せ物小屋を起源とした同じモーションピクチャーなのだから、実際の俳優を使った映画でも静止画や人形をコマ撮りする映画でもその違いがあるものではないのだけれど。確かに、普通の劇映画とアニメーション映画とでは同じシークエンスを見せるにしても撮影方法が違うし、その表現方法も違って来るので、これを同じジャンルのものとして扱うことに抵抗を見せる人の気持ちもわからないでもないんだけど。ところが最近、そんなアニメーションの分野の中でも、フルCGのアニメーション映画が物凄いペースで作られるようになって来た。このフルCGのアニメーション映画は見せ方がより実写に近く、どちらかと云えばもう劇映画の分類に入れるべきものになって来てしまっている。そしてこれがもっと、よりリアルになるにつれてさらに境が分からなくなって来る。アカデミー賞の主演男優賞がフルCGのキャラクターなんて時代があながち来ないとは云い切れなくなって来た。

この『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』を撮ったブラッド・バード監督は、『Mr.インクレディブル』などを撮ったフルCGアニメーションの人ではあるのだけれど、やはり実写映画を撮るにしてもそこはまったく問題がなかった。最近の実写映画のアクションシーンにはCGを多用しているものも多いので、むしろ本領発揮な部分も多かった。特にトム・クルーズのアクションは、トムとジェリーやルーニー・テューンズのようなカートゥーンのような大胆さもあって、さすがにフルCGアニメーションをやって来た人の演出だった。まあ、見るべきところはそこだけ、って気もしないけど、ブラッド・バード監督の実写デビュー作としてはまずは良かったとおもう。でも次作はアニメなんだろうか実写なんだろうか? もう二つを融合させちゃえばいい。

 2011年12月12日
 ステキな金縛り
Posted by ag at 23:27/ カテゴリー: MOVIE_Database

ステキな金縛り監督:三谷幸喜
出演:深津絵里、西田敏行、阿部寛、中井貴一、小林隆、KAN、竹内結子、山本耕史、浅野忠信、市村正親、草彅剛、木下隆行 (TKO)、小日向文世、山本亘、戸田恵子、浅野和之、生瀬勝久、梶原善、阿南健治、近藤芳正、佐藤浩市、深田恭子、篠原涼子、唐沢寿明、相島一之、西原亜希、中村靖日
制作:フジテレビ、東宝/2011
URL:http://www.sutekina-eiga.com/
場所:ユナイテッドシネマとしまえん

三谷幸喜の処女作『ラジオの時間』は、古いアメリカ映画好きならではの「プログラムピクチャー」のようなおもむきを映画に取り込んで、お、やるじゃん、とワクワクさせられたんだけど、一作ごとに上映時間が延びてしまって、今回の『ステキな金縛り』はなんと142分! 長い映画が悪いわけじゃないけど、三谷幸喜が書くような脚本は、テンポよく笑わせて一気にラストに突き進む、そして上映時間は90分から100分、ってのが良いとおもうんだけどなあ。ストーリーは面白いしアイデアも良いのに、全体的に盛りだくさんすぎて間延びしてしまってるのが本当に惜しい。

今までの三谷映画と同じように今回の映画も昔のハリウッド映画へのオマージュ的なものが盛りだくさん。フランク・キャプラの『スミス都へ行く』や『素晴らしき哉、人生!』のようにあからさまに出て来るものから、オープニングの竹内結子の扮装はヒッチコックの『ファミリー・プロット』? 転落死した竹内結子を俯瞰から撮るのは『サイコ』のジャネット・リーのよう。小日向文世の役名「段田譲治」なんて絶対に『幽霊紐育を歩く』やそのリメイクの『天国から来たチャンピオン』の「Mr.ジョーダン」から来ているよなあ。

 2011年12月05日
 ウィンターズ・ボーン
Posted by ag at 23:23/ カテゴリー: MOVIE_Database

ウィンターズ・ボーン監督:デブラ・グラニク
出演:ジェニファー・ローレンス、ジョン・ホークス、ケヴィン・ブレズナーン、デイル・ディッキー、ギャレット・ディラハント、シェリル・リー、テイト・テイラー
原題:Winter's Bone
制作:アメリカ/2010
URL:http://www.wintersbone.jp/
場所:新宿武蔵野館

フレデリック・ワイズマンが撮るアメリカに興味が尽きなかったけれども、この映画でさらに興味深いアメリカの深部を観ることになるとは思わなかった。日本人の私たちが国家としてのアメリカ合衆国とひとくくりに云っても、そこには広大なアメリカがあって、ニューヨークやロサンゼルスとはまったく違う側面を見せているアメリカもあるわけで、その一つがこの映画の舞台のミズーリ州の山間部に住む人たちだった。どう見たって貧しい人たちで、どうやって生活の糧を得ているのかと云うと麻薬製造に手を出している。その麻薬に絡んだ行方不明の父親を探す娘の話しがこの映画のストーリーなんだけど、日本の田舎にもありがちな血族の繋がりだけで生活が成り立っている閉鎖的なコミュニティーの怖さが映画全体を支配していて、警察も介入しない、しないどころかグルになって自分たちの掟の下に結束している姿はまるで『悪魔のいけにえ』のようなホラー映画だった。日本が舞台ならばさしずめ横溝正史的な湿気を帯びた怖さになるんだろうけど、アメリカではチェーンソーで無理矢理ぶった切っちゃうような殺伐とした怖さだった。どっちが怖いかと云えば、やはり人間の情を感じさせないアメリカのほうだよなあ。

こんな暗澹としたストーリーの終わり方はどうするんだろうとおもったら、思い掛けないお金を得て、かすかな希望を感じさせて終わらせていた。まったく笑顔を見せなかったジェニファー・ローレンスが弟たちに見せるラストのかすかな笑顔が良かった。

ag-n
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