小さな出版社の日々
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 2005年08月12日
 誤植百物語 第二話
Posted by みやこ at 21:15 / カテゴリー: 本

古い話でよけりゃあ、こんなことがあったね。絵描きさんの画集だったんだけどさ、個展に間に合わせろって、ま、急いだ仕事と聞きゃあ、たいがいピンと来るよね。

その絵ってのは、東京の風景画で、絵の下にキャプションってんだけど、場所の説明が入った。ちょろちょろっと1行だから、誤植は目立つわな。編集部でも、納本になってすぐにいくつか誤植に気づいた。え? だったら印刷前に気づけってか。まあ、そう言われちゃお仕舞だ。
でもって、その画集が本屋に並んだ、その2、3日後のことだった。会社に電話が入ってよ。
「あの、●ページの絵の場所、違っていますよね」
年のころは40か39。落ち着いたいい雰囲気の女性だ。指摘された箇所は、誤植把握済み。そこで開き直っちゃいけないが、
「はい。漢字が間違っています。申し訳ありません」
なるたけ真面目そうに答えたわけだ。すると、
「だったら、間違っていない本と交換して欲しいんですけど・・・」
「・・・。・・・あの、今はお客様のお持ちの本しかないのです」
彼女が、こっちをからかったりしているわけでないってことは、ビンビンわかった。けど、「重版したら間違っていない本をお送りします」とは正直、言えない。「ご指摘ありがとうございます」で逃げたわけさ。
残念ながら、その本は重版できなかった。今になって思う。彼女は、ほんとに著者の絵が好きだったんだろうな。ごめんなさい。