小さな出版社の日々
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 2006年03月08日
 誰のためのブック・オンデマンド?
Posted by ag at 11:35 / カテゴリー: 出版社

むかし、はじめてブック・オンデマンドというもののシステムを知ったとき、すぐさまイメージしたのは、ジュースの自動販売機のようなものが本屋に置いてあって、ジュース名のボタンの代わりに書籍名の書かれたボタンがあるものだった。もちろん、ボタンである必要はなく、銀行のATMのようなタッチパネルでもいいんだけど、とにかくその自動販売機の中に“本”のデジタルデータが大量に蓄積してあって、好きなタイトルを選ぶとすぐさま印刷・製本を開始し、証明写真が出来上がるのと同じぐらいのスピードで、ガチャンと下から“本”が出て来るものだった。

ところが実際にはそんなシステムにはほど遠く、製本にはそれなりの時間がかかって、その値段もバカ高い。ああ、これじゃ、一般に浸透することはないなあ、と思っていたら、やっぱり浸透していない。いつのまにか、世間からは忘れ去られている。

しかし、この神保町の小さな出版社をうろうろしていてわかったことがひとつあった。なんと、重版にブック・オンデマンドが使われているのだ。重版をしたいんだけど、1000や2000のようなまとまった数で重版をしてしまって在庫が残ってしまうのが怖い。そこにブック・オンデマンドを使って、少部数で重版を行うというものだった。なるほど、読者のためのブック・オンデマンドではなくて、出版社のためのブック・オンデマンドというものもあったんだ。

そして、この変なグローバルな時代は急速に移ろって、読者のためのブック・オンデマンドも少しずつ進化しつつある。新潮社のようにずっとかんばってブック・オンデマンドをやっている出版社もあるけど、作家が主体となって運営しているブック・オンデマンドもすでにあるけど、今年は他にもいろいろと動きがあるような気配が。もっと手軽な値段で、簡単に品切れ本が手に入る時代が少しずつやってくる。