小さな出版社の日々
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 2006年03月12日
 出版社と読者の距離は、生産者と消費者の距離に似て…?
Posted by みやこ at 03:21 / カテゴリー: 出版社

500部、1000部、1500部。私が神保町の小さな出版社に就職したころ、そこで出していた専門書の初版部数である。部数が少ないと、定価は高くなる。だから、上製本にする。並製にしても、下げられる定価は、たかが知れているからだ。それから幾星霜、今は一般の人向きの本でも、並製2000部初版は珍しくないようだ。

業界の人などには当たり前のことだが、著者とのやりとりや校正、組版や装丁などにかかる労力とお金は、発行部数とは通常は関係ない。印刷代や紙代などは部数によるが、本づくりにおいて、前者の経費の占める割合はたいてい半端じゃない。だから、たくさん売れそうなら、たくさん刷って定価も安くできることになる。けど、このことは、案外、読者にはピンと来ないように思う。本屋さんに行けば、おびただしい数の本、雑誌、ムック。単行本、新書、文庫、全集、選集、今週の新刊。「そんなに本は売れないのだよ」と言っても説得力がない。でも、あなた、先月いくら本を買いましたか?
私は農業関係の冊子制作の仕事に携わっているが、生産者と消費者の距離をいかに縮めるかは「農」業界の大きなテーマである。ここにおいて、生産者は、安全で安心な農産物等を消費者に提供することを第一に、消費者に生産者の置かれている厳しい状況を伝え、また、消費者の望んでいることを知ろうと努めることが大切だとする。いいもん作ってんだからサ、という独善に陥ってはならないとされる。
出版社って、どうなんだろう。私は、距離を縮める努力をしているだろうか。待てよ。伝統的には距離があったほうが、本を高く売れた? としても、これからは?