カラワンのツアーが終わったあと、ひとりで一週間ほど残っていたモンコンを誘って、アルタイを代表する歌手ボロット・バイルシェフのコンサートに行きました(11/19トッパンホール)。巻上公一さんがあれこれ工夫して、ボロットを毎年のように招いています。労は多い、でも楽しみも多いのだと思います。
モンコンは小学生のころに、タイ人はアルタイからやってきた民族である、と習ったといいます。いまでは異なった学説もあるので、信じているひとはあまり多くないようですが、それでもアルタイとはタイ人にとって伝説的な土地の名前です。民族としてのアルタイ人は8万人くらい、と話すボロットに、それじゃあタイに来ればいい、子孫がたくさんいるよ、とモンコン。ボロットは二弦のトプシュール、モンコンは三弦のピン、伝統楽器を弾くという共通点もあって、雨の夜は思いがけず楽しいものになったのでした。
「水牛のように」を2004年12月号に更新しました。
森下ヒバリさんとはカラワンの東京でのコンサートで会いました。会ったのはそのときがはじめてというわけではないのですが、かわいらしくて便利な『カラワン・ソングブック』に編集者として彼女の名前を見たとたん、ふと正気になって、原稿を頼もう、と思ったのでした。『陽気なタイランド――アジアの子どもに帰る旅』は森下さんの今月の原稿のように、やわらかさのなかにすっきりと芯の通った本です。
本は中身とともに、その姿が大事です。わたしの製本の師匠(と勝手にそう呼んでいる)、四釜裕子さんが書いているように、「本のかたち」の超人的な移動能力、を思ってみてください。本の姿としての製本を少し意識してみれば、四釜さんのレポートはすぐにカタチとなってリアルに感じられるはずです。
「水牛の本棚」はミラノに暮らす杉山洋一さんの「ミラノ日記」を。
TTZという電子ブックの編集と製本(!)は浜野智さんによるものです。浜野さんの推薦のことば。「杉山さんの日記の美質の1つは「静かさ」にある。押しつけがましい自己宣伝、自己暴露の類はかけらもなく、淡々と記述されていく。そして、その中に「人間をつかみとる確かな眼」がある。いかにも音楽家らしく、文章の「音(おん)の美しさ」もきわだっている」。
ことしはじめに公開した片岡義男さんの詩のコーナー「メントール・ユーカリプト」もひさびさの更新です。加わった2つの詩は詩集『yours』に載っている、と気がつく人がいるだろうと思います。でもまったく同じではありません。片岡さんがどこかを書き直したものなのです。これからは毎月少しずつ加えていけそうです。楽しみにしていてください。
高橋悠治さんの本とCDがいくつか発売になっています。
『音の静寂 静寂の音』はウエブ上の書庫から浜野智さんが一冊にまとめたものです。すばやい編集の精神をまなばなくては。
『けろけろころろ』は富山妙子さんと作った絵本。カエルたちのカエル語による、ある日の夕方から夜明けまでのおはなしです。ピアノ演奏のシングルCDが付いています。
CD「ゴルトベルグ変奏曲」については説明の必要はありませんね。ことしの夏まっさかりの頃の録音です。
最後にお知らせをひとつ。
「まぎれ野へ」の発売を記念して、木村迪夫さんの朗読会をします。来年1月22日(土)午後2時から、四谷の近畿大学ギャラリーで。ゲストもあり。詳しくは来月お知らせします。真新しい手帳に予定を書き込んでおいてください。
それではまた来年!(八巻美恵)
コメント (2)
悠治さん 美恵さん
ともあれ『ゴルトベルク変奏曲』新録音発売おめでとうございます。CD屋さんをのぞいてみます。浜離宮のライヴは売り切れで行けず、プロモーションヴィデオをネットで見ました。
『フーガの技法』全曲盤以来、高橋悠治のバッハは水面下でした。なにかお考えがあったのでしょう。
いまのところまとまった批評や感想が出ていないようですが、もう少し論議したいですね。
後輩としては不遜にも「チクショー」という気持があることは白状いたします。中島敦『名人伝』を再読しましょう。不射之射、射之射の、例の小説です。
ウェブ上にテキスト全文が載っていました。
http://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/620_14533.html
この投稿、不適切なら削除してかまいませんです。
お元気で。ではまた。
投稿者: 江村夏樹 | 2004年12月02日 01:19
日時: 2004年12月02日 01:19
八巻さん、
片岡義男さんの『メントール・ユーカリプト』の更新がされていてうれしいです。
これからも楽しみにしています。
詩のコーナーのブルーの色合いが、とても気にいっています。
投稿者: 照井由芙 | 2004年12月07日 00:47
日時: 2004年12月07日 00:47