水牛だより

12月1日

「真っ暗闇、陶磁器のように響く道を踏む自分の足音、葦原のなかでかすかに擦れる音(ヤマネか、それともあのダイシャクサギか?)、私の周囲にあるものは、確かにみなの言うとおり、あの「無」だった。いやむしろ「わずか」というべきものだ。日本北部の荒涼とした未開地を思い出させる慎ましさ、十七世紀の遍歴の僧、芭蕉が沈黙すれすれの短詩のなかで描き出した風景。このわずかなものからなる風景のなかで、私は自適を感じる。そして冬の道を暖かい毛糸にくるまれてひとり歩くことは健康によい連祷のような運動であり、この運動によって、そのわずかなものが知覚され、正しく計量され、もっと雄大な楽譜のなかで正確な音色を響かせるチャンスが与えられるのだ。その楽譜はいつも目の前にあるのに、世界に対する難聴のために往々にしてわれわれの手から奪われている。」
(ニコラ・ブーヴィエ「アランおよびその他の場所の日記」)

「水牛のように」を2007年12月号に更新しました。
杉山洋一さんからのもう一つのメッセージをお伝えします。
「来年1月に本当に久しぶりにブソッティがミラノのMdi Ensemble Milanoと一緒に来日します。それに日本人のすばらしい演奏家のみなさんも参加してくださり、ちょっとしたブソッティ週間が催されます。桐朋学園大学や明治学院大学、イタリア文化会館などで、彼のきさくで楽しい人柄にぜひ直にふれていただきたいと思います。ブソッティさん自身もピアノを弾いて、子守唄を歌ってくれますし、彼の楽譜やデザイン画の展覧会も催されます。さて、いったいどういうことになりますか。ぜひこの機会をお見逃しなく!」
1月10日(木)「シルヴァーノ・ブソッティを迎えて(ブソッティ声楽曲の夕べ)」を皮切りに、16日(水)「シルヴァーノ・ブソッティ自作を語る」「シルヴァーノ・ブッソッティ・ポートレートコンサート」まで、一週間ほぼ毎日コンサートやワークショップなどがあります。詳しくはこちらでチェックしてください。

まだあまり実感はありませんが、次の更新は新しい年になります。あ、でもそのまえの大晦日にはぜひ恒例になりつつある「冬の旅」を聞きにきてください。予約受付中です。
歌:斎藤晴彦 ピアノ:高橋悠治
12月31日 20時開演(19時開場)神楽坂シアターイワト100人限定 3,500円(当日受け付け払い)
問い合わせ・予約はtel/fax 03-5228-6403 tora@bzbz.org info@suigyu.com
【プログラム】
・「冬の旅」日本語版
 ウィルヘルム・ミュラー詩 フランツ・シューベルト曲
 (訳 斎藤晴彦 高橋悠治 平野甲賀 田川律 山元清多)
・「民衆に訴える」
 フランツ・シューベルト詩 高橋悠治曲
終了後にパーティがあります 参加費:1,500円

それではよい年を!(八巻美恵)




11月9日

新しいCD「鳥も使いか」(唄・三弦 高田和子)を発売しました。
7月に亡くなった高田さんを追悼して、元気だったころの彼女のライブをまとめたものです。翼ある鳥のようにいろんなところに飛んでいってくれますように。
音源を使わせてくださったみなさん、そして制作のために力を貸してくださったみなさん、ありがとう!

それではではまた!(八巻美恵)



11月1日

芸術の秋(笑)のための水牛的かたより情報をお届けします。トップページの三人の少女たちが気持ちよくうたっている風情そのままに、まずは水牛関連のコンサートを三つ。かたより具合がピンときたら、ぜひ会場におでかけください。お待ちしています。

●竹田恵子+高橋悠治コンサート
11月14日(水)15日(木)19.00 杉並公会堂 前売4,000円 当日4,500円
・うた
シューベルト 『詩人.ミューズのお気に入り』(ゲーテ/詩、林光/訳)『あれののばら』(ゲーテ/詩、林光/訳)『水の上でうたう』(L.シュトルベルグ/詩、林光/訳)
高橋悠治『ぼくは12歳』(岡真史/詩、うたとピアノ版:戸島美喜夫/高橋悠治)『民衆に訴える』(シューベルト/詩)
・ピアノ
戸島美喜夫『柿むき』、小変奏曲『機織りうた』(改定初演)、『冬のロンド』
・高橋悠治『めをとうし』(小熊秀雄の童話によるモノオペラ)
問い合わせ・予約は竹田恵子045-902-9205(tel&fax)、水牛info@suigyu.com

●江村夏樹ピアノ独奏2007
11月30日(金) 19時開演 公園通りクラシックス 予約2,500円 当日3,000円 学割1,000円
ハインツ・ホリガー:エリス/オリヴィエ・メシアン:4つのリズム・エチュード/江村夏樹:散らかす/カールハインツ・シュトックハウゼン:第4 ピアノ曲 VII/柴田南雄:インプロヴィゼーション第2番/アルヴォ・ペルト:アンナマリアのために
問い合わせ・予約は太鼓堂 taikodo@taikodo.org

●2007年 年末ライブ 日本語で歌うシューベルト『冬の旅』
歌:斎藤晴彦 ピアノ:高橋悠治
12月31日 20時開演(19時開場)神楽坂シアターイワト100人限定 3,500円(当日受け付け払い)
問い合わせ・予約はtel/fax 03-5228-6403 tora@bzbz.org info@suigyu.com
【プログラム】
・「冬の旅」日本語版
 ウィルヘルム・ミュラー詩 フランツ・シューベルト曲
 (訳 斎藤晴彦 高橋悠治 平野甲賀 田川律 山元清多)
・「民衆に訴える」
 フランツ・シューベルト詩 高橋悠治曲
終了後にパーティがあります 参加費:1,500円

そして、なにがしかの縁あって手元に届いた、興味深い四冊の本を。

『ビルマとミャンマーのあいだ 微笑みの国と軍事政権』(瀬川正仁 凱風社)
映像ジャーナリストである瀬川さんが撮ったビルマの人々の顔がすばらしい。ほんとに「微笑みの国」だ。でもビルマが強権政治の国であることは世界中に知れ渡ったばかり。

『詩的分析』(藤井貞和 書肆山田)
「音数律がなくとも村々はうたごえを喪わなかった。ことばは文字に写されなくとも表わすことをする。この視界に人は生きてきた。この足場から、もう一度問うてみる——詩の成立を促す人の営みそのものを。」帯に記されたこの文章はわかる。でも藤井さんの頭の中がどうなっているのか、ぜんぜんわからない。よくこんな本が書けるなあとつくづく不思議でおもしろい。

『アメリカにいる、きみ』(C・N・アディーチェ くぼたのぞみ訳 河出書房新社)
アディーチェは30歳、ナイジェリアで生まれて19歳でアメリカにわたった。この若い作家の日本語版オリジナル短編集をつくって訳した、くぼたのぞみさんのブログには、いま世界の先頭を切っている作家だと書いてありました。

『映画の中の昭和30年代 成瀬巳喜男が描いたあの時代と生活』(片岡義男 草思社)
1951年から1960年の成瀬巳喜男作品16本が片岡さんの視点で語られるのを読む。藤井さんのいう「四人称」というのに近いのではなかろうかと考えてみたりするのですが、たぶんまちがっていますね。片岡さんは『銀座化粧』(1951)と『おかあさん』(1952)の二本を高く評価しています。

「水牛のように」を2007年11月号に更新しました。
今月も楽しんでください。

それではまた!(八巻美恵)




10月1日

東京の10月は雨ではじまり、ぐんと秋らしくなりました。暑さに翻弄され続けた夏はいくらなんでも幕を閉じたようですね。

年の初めに決めた大晦日の「冬の旅」(うた斎藤晴彦、ピアノ高橋悠治)、おもにスケジュールの関係で実現があやぶまれたりしたのですが、晴れて予定通りおこなうとお知らせできることになりました。12月31日の夜シアターイワトで一回限りの公演です。詳細は追ってお知らせします。
11月14、15日「竹田恵子+高橋悠治コンサート」の制作を水牛で手伝っています。前半はシューベルトの歌曲と「ぼくは十二歳」(詩・岡真史)、戸島美喜夫のピアノ曲、後半は小熊秀雄の童話によるモノオペラ「めをとうし」(作曲・高橋悠治)。杉並公会堂小ホールで両日とも19時から、前売4000円です。ご予約はinfo@suigyu.comまでどうぞ。

「水牛のように」を2007年10月号に更新しました。
佐藤真紀さんはニューヨークのスターバックスでネットに接続して原稿を送ってくれました。イラフちゃんよりはずっとずっと年上ですが、わたしにも組長というニックネームの女友だちがいます。彼女の姓からの連想でつけられたニックネームではあるのですが、立ち居振る舞いや性格もそれ風になってくるのでした。ふたりの組長には共通点がありそうです。
杉山洋一さんの連載が70回となりました。一度も休むことなくですから、よく考えるとすごい!ノンフィクション・オペラ「最終飛行の止まった時間」はおもしろそう。「カヴァレリッツァ劇場の特性を活かし、聴衆は巨大なオペラ劇場の舞台下にいるように配置され、舞台はその上を自在に動き回るので、聴衆は実際の舞台を前面に張られた鏡を通して見ることになります」というしかけだけでも見られたらなあと思います。

それではまた!(八巻美恵)




9月3日

お待たせしました。「がやがやのうた」(がやがや+港大尋)の販売を開始しました。
ぜひ聞いて、ビックリしてください。



9月1日

水牛の10枚目のCD「がやがやのうた」(がやがや+港大尋)が完成しました。販売サイトの都合により発売は3日となる予定です。
障害を持つひととそうでないひとが歌などを通してともに活動するグループがやがやと音楽家港大尋さんとのコラボレーションは、「歌」というものの今の常識からはキッパリと完全にはずれていて、うまいとかへたという評価がまったくあてはまらない、楽しい魅力に満ちたものです。特集「がやがやのうた」に寄せてでは、北中正和さんやギターでCDに参加している澤和幸さんなどががやがやと港大尋さんの歌の魅力について書いています。読んで、聞いて、自分の常識が気持ちよく覆されるのを感じてください。

「水牛のように」を2007年9月号に更新しました。
大野晋さんの精力的なコンサートめぐりには脱帽! です。
気温55度の国からやってきたイブラヒム先生も音を上げるこの夏のニッポンの暑さ。暑い暑いと何万回も文句を言ったけれど、ふいに秋風を感じたとたんに、なんだかさみしさにおそわれます。
ちょうど旧暦のお盆のころに奄美にいたので、沖縄のお盆についての仲宗根さんの原稿を興味深く読みました。沖縄とちがって、奄美のお墓はもうほとんどヤマトと同じ御影石の墓石ですが、お盆のときは提灯にあかりがともって、お供えもたっぷり。神父さんのお墓にもちゃんとお供えがしてあるのでした。

Ayuoさんのライブのお知らせです。
「記憶劇場」9月16日(日)公園通りクラシックス 19時30分開演
出演 Ayuo(Guitar, Vocals, Bouzouki, Cornemuse) 立岩潤三(Darubuka, etc.) Ken Awazu(Live Visuals) YOSHIE(Dancer) with YAE(Vocals)
Ayuoさんは最近ギター教室もはじめました。詳しくはこちらで。

それではまた!(八巻美恵)




8月1日

片岡義男さんが『ハワイに渡った海賊たち』(堀雅昭 弦書房)という本を送ってくださった。サブタイトルにあるように周防大島の移民史。戦後の項目のはじめに「片岡義男が見た原爆」とあって、そこにはこの島の出身である片岡さんのお祖父さん片岡仁吉一家の写真が載っています。明治41年にハワイで撮影されたもので、仁吉さん(29歳)と妻のシナさん(28歳)は着物姿です。お父さんの定一さんはこのとき8歳で、片岡さんによく似ておりこうそう。ハワイへ出稼ぎに出たたくさんのひとたちの中の一家族。片岡さんは自伝的事実をそのまま書いたりはしないけれども、この写真から懐かしさのようなものを感じるのは、片岡さんの書くことばの背後に霧のように流れているものと同じだからだと思います。海によって外に開かれたこの島は、宮本常一の出身地としても知られています。

「水牛のように」を2007年8月号に更新しました。
水牛の10枚目のCD「がやがやのうた」を来月発売します。「がやがや」のひとたちが、がやがやしているいつものままをCDに記録できたと思います。完成まであと一歩。楽しみに待っていてください。歌うことや音楽そのものについてふとかんがえてしまうCDです。
佐藤真紀さんとイブラヒム先生に会いにいきましょう。大阪、広島、徳島、横浜、東京でトークが予定されています。徳島では高校生以下とお遍路さんは無料だそうです。
初登場の仲宗根さんは沖縄から。青空文庫10周年記念パーティに顔をだしてくれた彼をつかまえて、引きずり込むことに成功したようです。
7月18日に亡くなった高田和子さんのご冥福を祈ります。そうなるとわかっているつもりでいても、別れはどうしようもなく突然におとずれたので、それをしずかに受け止めるのはむつかしいけれど。

「水牛の本棚」にスラチャイ・ジャンティマトンの短篇集を加えました。荘司和子さんの訳で、「水牛のように」に連載したものをまとめて読めるように。いつもノートとボールペンを持ち歩いて、どこででも何か書いていたスラチャイの姿がここにあります。なにげないスケッチのなかにきこえる、感じやすい魂の声。こんなふうに。「花がまた散ってくる。散り止まないでいてほしい。重い頚木から解かれかつて経験したことのないような自由を得て、羽のように軽く、風がそよぐようにふわりと、ぼくの感性の中で明るく浮かび上がっている美しいもの。こころの中の種々の煩わしさが樹の葉が落ちるようにとれたとき、人はまた新しくなる。」
スラチャイの詩もたくさん載せてきたので、次はそれをまとめようと思っています。

それではまた!(八巻美恵)




2007年7月1日

片岡義男さんの短編小説集『青年の完璧な幸福』(スイッチ・パブリッシング 2300円)が完成しました。7月13日には書店に並ぶ予定です。スイッチ・パブリッシングでは先行発売があるかもしれませんので、週明けあたりにチェックしてみてください。
「アイスキャンディは小説になるか」「美しき他者」「かつて酒場にいた女」「三丁目に食堂がある」という4編が収録されていて、主人公の青年たちはみな小説家をめざしています。主人公をめぐる、おなじみの強くて美しい女性はどのストーリーにも登場して「あなたの言葉はあなたというひとりの具象から発して、やがて書くかもしれない小説という抽象へと到達すればいいのよ」などと言っています。この台詞をかたちにしたような4つの小説は、ふたたび強い現実感を帯びて、読者であるわたし(たち)に手わたされることになるわけです。静かな美しいたたずまいの本です。読んでください。

本が出来たといって笑ってばかりはいられません。7月7日にせまった青空文庫10周年記念パーティのために、青空文庫のテキストをプリントして製本するという仕事が待っています。有志ではじめた「青空文庫製本部」は、デジタルテキストという抽象を本という具象に呼び戻す小さなこころみです。7日までに何冊できるでしょうか。

「水牛のように」を2007年7月号に更新しました。
先月お知らせした、四釜裕子さんといっしょに作ったパリ・オペラ座のジオラマは7月10日発売の「COYOTE」20号の特集「21世紀パリガイド[オペラ座の蜂蜜]」に掲載されます。堀江敏幸さんがジオラマについて書いてくださいました。いちばんわくわくしているのは四釜さんとわたしです、きっと。
去年連載をしていた小島希里さんは「水牛のように」はもちろん、各執筆者のブログもちゃんと訪問して、文章がおもしろい、どんなひとなのかしら、と言います。秋には御喜美江さんも東京に来るし、オフ会をしましょうか、ねえ、みなさん。そして水牛をもっと賑やかに。

●大阪周辺のかたがたのためのイベントのお知らせです。
・「新ちゃんのお笑い人権高座」と「絵のなかに見えるもの見えないもの」
出演 落語家 露の新治(モットーは護憲・平和・笑顔!)
   街頭紙芝居 古橋理絵(国策紙芝居がどう使われていたか検証します)
2007年7月21日(土)14時開演 前売1000円 当日1200円
住まい情報センター3F大ホール(地下鉄谷町線天神橋筋六丁目下車3番出口)
主催:どこまでも9条の会
連絡先:松本工房06-6453-7600

それではまた!(八巻美恵)




2007年6月1日

むかしは家を訪ねてきた人に夕食を作ってごちそうしたり、家で宴会もずいぶんやったものです。このごろは、せっかく東京という大都会にくらしているのだから、街を家の延長として使うほうがいいのではないかと思うようになりました。都会で自給自足はできっこないのですから、それならゆきずりでない互助の選択肢をふやそう、というわけで、居心地のよい食堂やお酒の飲める店は我が家の居間や応接間であり、図書館は書斎であると考えることにしました。タイやインドネシアに行くと、一日のうちの明るい時間は屋外で生活している人が多くて、うらやましい。塀にかこまれ、鍵で閉ざされたせまい部屋から出ると、今の季節はもちろん、暑くても寒くてもどこか気持ちよくて、いい考えも浮かびます。

ちょっと早いお知らせです。7月7日は青空文庫の誕生日。ことしは満10歳という記念すべき年なので、お祝いのパーティをおこなうことになりました。くわしくはhttp://www.aozora.jp/aozora10/を。ぜひご参加ください。

「水牛のように」を2007年6月号に更新しました。
タケノコはすぐに酸っぱくなるけれど、それこそおいしさの素だったの? カラワンのモンコンの「タケノコ」という歌を思い出します。タケノコは革命を助けてくれる・・・。タイの森に生えるいろんなタケノコの名前が出てきます。
「戦争なんかしなくたって、お金なんかなくたって、のんびりと豊かに暮らしていける方法があるはずだ。」と佐藤真紀さんは書いています。同感。〈戦争のない国〉研究に取り組んでいる藤井貞和さんに続きましょう!
四釜裕子さんといっしょに作ったパリ・オペラ座のジオラマの写真はやがて雑誌に掲載される予定です。詳細は来月にはお知らせできると思います。建物のぜんたいと細部と、どちらも把握できる(ように思える)のが模型を作る楽しさでした。

それではまた!(八巻美恵)




2007年5月1日

『物のかたちのバラッド』に続いて、片岡義男さんの小説の編集を担当しています。打ち合わせの機会などに、片岡さんはさまざまなひとを紹介してくれます。そこでいろんな話をして、その即興的?なアイディアがあたらしいしごとにつながったりするのです。おもしろいことは突然やってくるものなのですね。それをその場で受け入れることができないほどに忙しくしていてはいけない、と実感します。

「水牛のように」を2007年5月号に更新しました。
今夜は佐藤真紀さんと同じく、昼間たっぷりと干したふかふかの布団で眠ります。9歳の少女の願いが叶いますように。
おかずとごはんは別々に盛って食べるのが好みだったはずなのに、タイのおかずとごはんのとりあわせは、「おかずかけごはん」が断然おいしいと感じます。我が家ではおかずかけごはんを「かけご」と省略するほどに、今や定番です。

「水牛通信」1983年11月号「古屋能子さん追悼号」を公開しました。電子化計画、ほんとうにひさしぶりの更新です。古屋さんが63歳で亡くなって、すでに20年以上たち、ここに書かれているような風呂屋の風景はきっと新宿にはもうないだろうと思います。でも歓楽街としての新宿があるかぎり、そこで働く女のひとたちの暮らしは今もあるはずです。古屋さんが亡くなった年齢に自分が近づいているというのもなんだか不思議。

お知らせをふたつ。
●冨岡三智さんがブログをはじめました。訪ねてみてください。
http://javanesedance.blog69.fc2.com/

●太鼓堂 室内楽コンサート 「どこも新しくない。だから、おもしろい曲が見える。」
2007年5月28日(月) 19時開演
東京 原宿アコスタディオ tel 03(3408)4541
予約 2500円 当日 3000円
学割 1000円 (学生証をご用意ください)
甲斐説宗、高橋悠治、アーノルト・シェーンベルク、八村義夫、江村夏樹、アントン・ヴェーベルンなど。演奏は木ノ脇道元(フルート)、甲斐史子(ヴァイオリン)、中田有(チェロ)、江村夏樹 (ピアノ)
詳しくは、http://www.taikodo.info/070528.html

それではまた!(八巻美恵)




2007年4月1日

暖かな冬のあとには遅い春。東京の桜はやっと準備がととのったようで盛大に咲いて います。開花予報は変更につぐ変更でしたね。刻々と移り変わる気候の「現在のみ」 の精密なデータがあり続けるおかげで、予想ははずれっぱなしになる、という因果関 係には学ぶところがありそうです。

「水牛のように」を2007年4月 号に更新しました。
藤井貞和さんから「沖縄に行っていた」あるいは「沖縄に行く」と何度も何度も聞か されてはいたけれど、『甦る詩学―「古日本文学発生論」続南島集成』(まろうど社)を手に取ってみる と、768ページというその厚さにあらためて驚かされます。「南島作品」「南島論 考」「南島語り」「南島書漁」「南島座談」と盛り沢山のこの本は藤井貞和の知/詩 の原郷だそうです。分厚い一冊すべてを読み通したなら、藤井さんのマブイに乗っ取 られてしまいそうな気がします。
「世界のすぐれた文学創造はじつにしばしば少数者の言語からやって来ることがあ る」と「あとがき」にあります。そうそう、そうなのです。文学に限らず、音楽や演 劇などの創造的なものは少数者の文化からやって来ることがしばしばあります。少数 者の文化は限られた土地にだけあるので、そのためにそこに世界が結晶のようになっ て存在しているのかもしれません。自分とは違う伝統のちいさなものやことばやひと に出会って、世界へのひろがりを感じることはきっと誰にでもある当たり前のできご とだと思います。

それではまた!(八巻美恵)




2007年3月1日

家から歩いて2、3分ほどのところに区の中央図書館があるのでよく利用します。立ち読みするのも楽しみのひとつ。書店での立ち読みとひと味ちがうのは、そもそもそうやって読むことを歓迎されていることと、もう売っていない古い本があることです。ときどきはこどもの本棚を見てまわります。最近見つけた『おとうさんとぼく』(e.o.プラウエン作 岩波少年文庫 品切れ中)は戦前の暗いドイツで人気をよんだマンガです。台詞はなく、だいたい見開きでひとつのストーリーが展開されています。メタボリック症候群にちがいない大きな丸いおなか、頭はつるつるで、濃い眉毛と口ひげの、でも案外若い「おとうさん」は遊びとお酒が大好きらしい。息子の「ぼく」はもしゃもしゃ頭のいたずらっこ。ふたりはいつも真剣にあそんでいるのですが、おとうさんは些細なことについムキになってしまうことが多く、笑えます。父親にも息子にもなれないわたしは、男ふたりの関係や男のホンシツを笑いながらも、少しうらやましくなります。だって「おかあさんとわたし」ではこんなふうに愛らしくはいかないものなあ。

「水牛のように」を2007年3月号に更新しました。
「……おなじ場所にいることに/人が飽きるのであれば、/おなじ存在でいることにだって/飽きるのではありませんか?/……自分であることとは牢獄/私であるとは 存在せぬこと。/逃げ回りつつ 私は生きてゆこう/それが本当に生きることです。」(フェルナンド・ペソア)

「メントール・ユーカリプト」はひさしぶりの更新です。新しく4つの詩が加わりました。こうして少しずつ詩集というまとまりに向かいます。片岡義男さんには、そろそろ朗読会をしましょう、と何度めかの提案をしています。そのうちきっと、具体的なお知らせができると思います。楽しみに待っていてください。

それではまた!(八巻美恵)




2007年2月1日

水牛のトップページの右端に斜めにかかる「著作権保護期間延長反対署名運動」のバナーを加えました。ひそやかなたたずまいがいい感じです。バナーをクリックすると、青空文庫の署名についてのページにジャンプします。説明やビデオを見て、賛同する! と思われたなら、署名用紙をダウンロードしてA4の紙に印刷し、署名を集めてください。ネットでの署名は法的効力がないため、こうしたやり方が必要なのです。4月末まで受け付けています。
さらにご自分のサイトにもこのバナーを貼ってみようと思われたなら、作ってくれたうにさんのブログを読んでください。やりかたがきちんと書かれています。

「2月14日は聖ヴァレンタインズデー。日本中が義理も含めて愛でいっぱいになります。そんな愛を少しだけイラクの白血病やがんの子どもたちに分けてあげませんか?」と今年も呼びかける「限りなき義理の愛作戦2007」。ひとつ500円で、そのうちチョコレートやカードなどのコストが約100円、残りの400円がイラクの子どもたちの一日の薬代となるそうです。わたしはすでにゲットしました。子どもたちとボーイフレンドたちのための義理ともいえない愛のプレゼントです。

「水牛のように」を2007年2月号に更新しました。
じょうずというわけではないのに、どうしようもなく魅力がある、そんなCDを作りたいという原点を、がやがやの歌は思い出させてくれます。うまくいくといいね、三橋さん。
9歳で死んだドゥアちゃんの笑顔はJIM-NETの「誰が描いたのかな?」で見ることができます。救いも希望もない世界だけど明るく生きよう、と言われているみたい。

それではまた!(八巻美恵)




2007年1月8日

杉山洋一さんから、コメントがメールで届きましたので、ここで紹介します。
昨年のおわりに引っ越したこの水牛だよりですが、すぐに関係のないコメント攻撃にあってしまい、再びコメント欄を閉じざるをえない状態なのです。ジャンク・メールも山のように届くし、その労力と時間とをほかに使ったらどうなのよ、と言いたくなりますね。しばらくの間、コメントはメールでお送りいただけば、今回のように順次伝えていきたいと思っています。


水牛のみなさん、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。ここに書き込むのは初めてなので、うまくゆくかどうか分からないのですが、実は写真家のマリオ・ボッチャさんからの年賀状に、イタリアの大手日刊新聞レプーブリカ誌の今年のカレンダーに、水牛でもご紹介した写真の数々が使われることになったと嬉しそうに報告があったんです。改めて彼の素敵な写真が見られるので、興味ある方にはぜひ見ていただけたらとおもいまして投稿してみます。
http://www.repubblica.it/2006/12/calendari/solidarieta/cric/cric/1.html

イタリア語で説明書きもあるのですが、たとえば表紙のコークの宣伝は、ケニアはナイロビ、貧民地区のバラック小屋入り口に立てられた笑顔あふれるコークの看板。ぼくが個人的に印象深いのは、サイトの10番にある、女の人たちの写真。彼女たちはもと売春宿ではたらかされていた人たちだそうで、そこから皆で力をあわせて共同体をつくり一緒に仕事をしています。子供たちの世話も交代で順番にみています。自分の子供だけでなく、みな平等に一緒に世話をしているんです。この写真のこどもたちも、この女の人の実の子ではないのだそうです。これを実際に展覧会で見たとき、マリオが、「見てごらん! まるでマリアのような美しい表情をしているだろう!」と言ったのが、とても印象に残っています。僕にとって、この写真は黒い肌をしたマリアの象徴で、とても心にしみこんでいます。というわけで、今年も一年、どうかよろしくお願いいたします。(杉山洋一)


それではまた!(八巻美恵)



2007年1月1日

あけましておめでとうございます。
年末ライブ「冬の旅」を終えて、さきほど帰ってきたところです。何度聞いても冬の旅はあきることがありません。斎藤晴彦さんの日本語の歌は時がたつにつれて冴えてきているので、ことしの年末もやろうと思います。365日後の予定が決まったかな???

いつもの年のように去年も、望ましいことがあったとともにに望ましくないこともありました。望ましいことは歓びとともに過ぎ去っていきます。望ましくないことはしばらくの間、心にひっかかっているうちに、悪いことばかりではないとだんだんわかってきます。望ましくないことがなければ望ましいこともありえないのだな、と。

「水牛のように」を2007年1月号に更新しました。
月末の2日間はほとんど「冬の旅」のために使うとわかっていたので、いつもより少し早めに原稿を送ってください、とお願いのメールを出したら、ほら、ちゃんと揃ったのでした。

それではまた!(八巻美恵)





e-mail info@suigyu.com

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