◆12月3日◆
杉山洋一さんから追記が届いたので、「水牛のように」2009年12月号を更新しました。もう一度読みにいってください。こういう動きは歓迎です。
◆12月1日◆
十二月の路
のつぺりと私をたいらにする影はいつたい何です
蝶のかげでせうか
それとも 少女の微笑なのかしら晴れた十二月の路に
私のかげは潰されたよりずつと平らです
(『色ガラスの街』尾形亀之助)「水牛のように」を2009年12月号に更新しました。
佐藤真紀さんの原稿にあるように、15歳で死んでしまったサブリーンの絵をぜひ見に行ってください。直前のお知らせですが、あす2日の夜です。色も形も躍動感にあふれた絵です。水牛の新しいCD「富樫雅彦 Steve Lacy 高橋悠治」を発売しました。2000年10月のライブ演奏の録音です。聞く人にとって10年近い歳月はどのように作用するのでしょうか。気になります。
CDはライブ演奏をそのまま録音したものであっても、ライブとはかけ離れたものだと思います。それが悪いというわけではないのかもしれません。「生」の演奏を「生もの」と考えるなら、CDにした場合はスパイスのきいたシチューのようなもの、「生」の演奏を「生きているもの」と考えるなら、CDにした場合は死んでいる、といってもいいくらいの違いがあることを実感するようになったのは、制作の立場で、ともかくあれこれと手をかけて音を固定してきたから。そう、悪いというわけではないかもしれないけれど、ちょっとギモンにも感じるこのごろです。「冬の旅」のCDを聴いて、そして大晦日の「冬の旅」ライブを聴いていただければ、この感じはわかっていただけると思います。
今月のお知らせ
●そのときつかまえたうた〜江村夏樹ピアノ独奏+2人の管楽器奏者たち
日時:12月21日(月)7時開演
会場:門仲天井ホール tel 03(3641)8275
予約2500円 当日3000円 学割1000円(学生証をご用意ください)
江村夏樹/そのときつかまえたうたI、そのときつかまえたうたII、そのときつかまえたうたIII、そのときつかまえたうたIV、そのときつかまえたうたV、ピアノ音楽I、ピアノ音楽II
バッハ/コラール『主よ、人の望みの喜びよ』、フランス組曲第1番他
出演:日高和子(クラリネット) 山本ヤマ(トランペット) 江村夏樹(ピアノ)
予約・お問い合わせ http://taikodo.hp.infoseek.co.jp/>太鼓堂次の更新は2010年になってから。遠い先のようで実感はないけれど、ともあれ、みなさまよい年をお迎えください!(八巻美恵)
◆11月1日◆
あたたかき 秋の日のゆふべなり
こころは 石のうへにすわりて
とどめがたきものの すぐるをききわけつ
おもてをふせて
掌(て)のなかに 夢をゑがきぬ
しろき夢を
(「過ぐるもの」大手拓次)「水牛のように」を2009年11月号に更新しました。
バスラで亡くなったサブリーンにこころから哀悼の意を。大手拓次の詩も彼女のために載せました。JIM-NETの訃報にはサブリーンの写真や絵もあります。
マリアン・アマシェも亡くなりました。会ったときは度の強い眼鏡をかけていて、白い肌にまっ赤な口紅。自宅に雷が落ちたという話が加わって、なんとなく魔女っぽい雰囲気でした。こわれかかった機材で彼女が作る音は直接頭部の中で鳴るというはじめて体験するものでした。耐えられないと会場を出ていく人もいたのです。若いころの彼女の写真を見ると、ある種の繊細さに打たれます。今月は著者からいただいた本が三冊。どれもひっかかりのあるものです。
中川六平『ほびっと戦争をとめた喫茶店』
管啓次郎『本は読めないものだから心配するな』
津野海太郎『したくないことはしない 植草甚一の青春』
管さんの本には目次がありません。そのかわり、左のページの上に本文からの短い引用があって読むものをあちらこちらへ導いてくれます。歩く人らしいおもしろい試みだなあと思います。かっちりと固まっているような本の形だってまだまだ工夫はできるのですね。来月はひさしぶりに水牛レーベルのCDを発売します。タイトルはそのものズバリ『富樫雅彦 Steve Lacy 高橋悠治』 2000年10月16日のライブ演奏です。このライブを主催したEGG FARMと水牛との共同制作です。10年近く前の即興演奏であり、三人の演奏者のうち二人はすでにこの世の人ではありません。どんなふうに聞こえるでしょうか。楽しみにお待ちください。
大晦日の「冬の旅」についてはブログに書きました。
11月8日の製本ワークショップもぜひいらしてください。
それではまた!(八巻美恵)
◆10月5日◆
きのうの夕方金沢をたってしばらくすると、輝くまんまるな月が車窓のほぼ真横に見えました。明るい列車の中ではその光に濡れるというわけにはいかなかったものの、しだいに高くのぼっていく月をずっと見ていることができたのでした。行きは曇り空の下の海を、帰りは晴天の満月を満喫です。
1日の早朝に届いたものを加えて、「水牛のように」2009年10月号を更新しました。
さて、その追加した四釜さんの原稿にも関係のある、シアターイワトでの「ひょうげん塾」製本ワークショップ3回目は11月8日(日)午後1時から5時ごろまでおこないます。こんどは上製本を作ります。意外とかんたん。2回目に参加してくださった方は「楽園」を綴じたものをお持ちください。それ以外の方は、自分の好みの上製本にしたい本を一冊お持ちください。文庫本はばらしやすく、しかも上製本にすると感じが一変するのでおすすめします。お申し込みは→haru@jazz.email.ne.jpまで。
金沢で室生犀星記念館をたずねたら、ちょうど「装幀の美 恩地孝四郎と犀星の響宴」という企画展をやっていました。恩地孝四郎のデザインを使った金沢産和紙のブックカバーを見て、そうだ、これを文庫本の表紙に使おう! と買いました。当日お見せできると思います。、恩地孝四郎「書籍の風俗」は青空文庫で読めます。あと三ヶ月でことしも終わりですね。大晦日はまた斎藤晴彦(歌)+高橋悠治(ピアノ)の「冬の旅」でしめくくり。「冬の旅」だけでなく、二人によることしのお楽しみも用意します。詳しいことは来月にお知らせします。東京で年越しをするなら、ぜひ予定に入れておいてください。
それではまた!(八巻美恵)
◆10月1日◆
名月は大てい十月初旬だが、うまい月の位置があるもので、ちょうど人間が空を仰ぎ見るのに都合のいい角度で空にあらわれる。わたくしの小屋のあたりから見ると、北上山系の連山、早池峯山(はやちねさん)の南寄りの低い山のあたりからのぼりはじめ、一晩かかって南の空を秋田境の連山までゆるゆるとわたる。塵(ちり)ひとつないきれいな空だから思いきりあかるい。風呂に入れば湯ぶねの中にも月光はさし、野に出ればススキの穂波が銀にきらめく。まったく寝るのが惜しくなって、わたくしはよくその光にぬれて深夜まで人っ子ひとり居ない野や山を歩いたものだ。
(「山の秋」 高村光太郎)「水牛のように」を2009年10月号に更新しました。
「トロイメライ」公演のため、朝になったら金沢に出発です。このごろは朝方届く原稿もあるので、それを待ってから更新しているのですが、今月はとりあえず一度打ち切り。帰ってから、これから届くであろう原稿を加えて、もう一度更新します。4日の満月の夜は月光にぬれて、5日の夜になったらもう一度見に来てください。お知らせのあれこれもそのときに。というわけで、5日にまた!(八巻美恵)
◆9月1日◆
うれしきは
こころ 咲きいづる日なり
秋、山にむかひて うれひあれば
わがこころ 花と咲くなり
(「咲く心」八木重吉)「水牛のように」を2009年9月号に更新しました。
大久保ゆうさんと大野晋さんは青空文庫を通じて知り合いました。今月の大野さんの「野望」は青空文庫で活動するってどんなこと? というギモンに少しだけ答えてくれています。こういう変わった人たちの野望の集合が青空文庫を作っているともいえるのです。
上に引用した八木重吉の「咲く心」は青空文庫を検索していて見つけた詩です。忘れている日本語にも出会えて、遊べます。このサイトを始めた2001年から2005年まで原稿を書いてくださったアコーディオンの御喜美江さん。彼女の原稿を読むのを毎月楽しみにしていたことをいまも忘れてはいません。あんまりおもしろいので、まとめて冊子にして彼女のコンサート会場で売ったのが手製本への道の第一歩でした。「Like a Water Buffalo」というCDもともにプロデュースしました。つい最近、ご自身の演奏をYoutubeで公開、それがやっぱり音だけよりもずっとおもしろいので、ご紹介します。楽しんでください。
戸島美喜夫ピアノ曲集『冬のロンド』が発売されています。楽譜です。目次を見ると、あら、高橋悠治演奏のCD「冬のロンド 戸島美喜夫ピアノ曲集』(ALM records ALCD-77)に収録されたのとおなじ曲がおなじ順番で並んでいます。「鳥のうた」「機織りうた」「ヴェトナムの子守唄」「柿むき」「桑摘む娘」「間奏曲-V.ハラへ」「冬のロンド」というふうに。CDを聞きながら見るのに最適です。もちろんピアノに向かうのもよし。申し込みと問い合わせは
〒470-0131愛知県日進市岩崎町岩根52 西野夏代さんまで。9月11日(金)と12日(土)はシアターイワトの「斎藤晴彦と有森也実の朗読二夜」へ。
18:30開場 19:00開演 3,500円(全自由席) 有森也実は林芙美子「放浪記」より、斎藤晴彦は山本周五郎「季節のない街」(黒沢明監督「ドデスカデン」原作)より朗読します。上演時間は休憩を入れて2時間。予約と問い合わせはFAX:03-5228-6403 あるいは Eメール:haru@jazz.email.ne.jpまで。
昨年9月に初演された「トロイメライ 子供の情景」が再演されます。うれしいな。出演は初演とおなじ、高橋悠治、Ayuo、遠藤良子、鈴木光介、楫屋一之。
10月3日(土)18時 4日(日)14時 前売り3,500円 当日4,000円
金沢21世紀美術館シアター21で。詳細はこちら「トロイメライ」のリハーサルの予定があるので、来月1日は金沢に移動します。その前に更新できるかどうか。もしも1日に更新されていなければ、5日になります。ドキドキ。。。(笑)
それではまた!(八巻美恵)
◆8月1日◆
ここに原稿を書きはじめる前に青空文庫のトップページでその月に関する検索をしてみるようになったのは今年になってからのことです。今売れている小説や話題の新書を読むのもいいけれど、そういうものとはまったく違う世界からの声に出会えてドッキリ。そして八月。ヒット数はこれまでになく多い。敗戦の月だからだと思います。
八月の西瓜。グラジオラスの花に似たうす紅色ととろけるやうな味覚。口のなかでとけてしまふものはアイスクリームやシヨートケーキもあるけれど、あの甘いさわやかな味が水のやうに流れてしまふことがはかない気持になる。戦争を通つて生きて来た私はそんなに物惜しみするやうにもなつた。(「季節の変るごとに」片山広子 1953)
人間の社会には、その事実なり、その言葉なりをねじまげたり、もてあそんだりすると、結果として不幸がもたらされる以外に、どんないいこともない事柄がある。愛がその一つである。正義もそういう本質をもっている。それから平和が。(「わたしたちは平和を手放さない」宮本百合子 1948)
「水牛のように」を2009年8月号に更新しました。
ことしの沖縄は閏月なのですね。国際通りが何のおもむきもないものになっていしまっても、暮らしにはそれとは別の細部のようなものがあって、暮らしている人には必要なのです。
ジャワ舞踊がめざす、集中し、水が流れるようにおだやかで落ち着いた状態。ひるがえって考えてみると、日常にはそのような状態があまりないということかもしれません。バニュ・ミリとかスメレーとか、言葉をつぶやくだけでも少しはその気になるような。。。甘いかな。今月のお知らせは三つとも杉山洋一さんからです。
●「サントリーサマーフェスティバル2009 MUSIC TODAY 21」
テーマ作曲家「ウンスク・チン」
2009年 8月24日(月)19:00開演 3000円サントリーホール ブルーローズ(小ホール)
指揮・杉山洋一 ソプラノ・森川栄子、吉川真澄 打楽器・吉原すみれ、加藤訓子、宮本典子 ピアノ・中川賢一 アンサンブル・ノマド
ウンスク・チン(1961- ):打楽器とテープのための「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」(1994/98)
3つのピアノ・エチュード第1番「ハ調」(1999/2003)、第6番「種子」(2000/2003)、第5番「トッカータ」(2003)
ソプラノとアンサンブルのための「節と瘤」 ピアノ、打楽器とアンサンブルのための二重協奏曲(2002) イリャン・チャン(1964-):マリンバ、ヴィブラフォンとアンサンブルのための「不死鳥」●ジャズの山下洋輔さんの編纂されて、とびきり美味しいそば本に、飛び入りで書かせていただきました!とっても面白いのでぜひ!
「蕎麦処 山下庵 山下洋輔と三十人の蕎麦者たち」山下洋輔篇著 小学館●こちらも演奏で参加しているのは一部なのですが、2005年にハイナー・ゲッベルスとやった演奏会のインプロヴィゼーションが、CDになりました。ハイナー好きの方には、ライブですから彼の臨場感あふれる演奏が堪能できるはずです。興味のある方はぜひどうぞ!
Heiner Goebbels The Italian Concerto IDA 024それではまた!(八巻美恵)
◆7月1日◆
七月はすっかりのどがかわいて、麦の穂のようにねむいよ。という歌があります。麦秋というにはもうおそいけれど、それで思い出すのは実際に稔った麦の穂ではなくて、小津安二郎の映画の紀子さんのことです。
「水牛のように」を2009年7月号に更新しました。
今月は佐藤真紀さんにおめでとうを。先月はじめておとうさんになって、幸福な寝不足の日々が続いているらしい。この世で三日目のまさしくんのメッセージがJIMNETニュースで公開されています。
http://www.youtube.com/watch?v=kWYfzj8rDX4
三日目のおとうさんはまだ赤ちゃんを抱くことに慣れていなくて、ちょっとキンチョー気味でほほえましい。でもしっかりと「わたしたちがやっちゃいけないこと=戦争」というメッセージは伝わってきます。粗末にしてきた国だけど(@藤井貞和)来てくれてありがとう、おとうさん経由でまさしくんにはそう伝えてもらいました。そういえば、隣のマンションのどこかの部屋からこのところ赤ちゃんの泣く声がきこえます。おなじころに来てくれた人がここにもいるのですね。お知らせ三つ。日時の近いものから順番です。
●青空文庫主催の講演会(年に一度のオフ会企画です)
「電子翻刻における「読み」と「見たまま」」というタイトルで、電子テキストには避けて通れない文字コードについて芝野耕司先生にお話しいただきます。無料です。
日時:7月4日(土) 午後2時30分~4時30分
会場:東京国際フォーラム 会議室 G407
上記ページ、最上段の「マップ」をクリックすると、地図が開きます。
参加を希望する方は以下の要領でメールを送ってください。
宛先:info@aozora.gr.jp
表題:【青空文庫オフ会2009参加希望】
本文:お名前(工作員名、ハンドルネーム、本名、いずれでも結構です。)●江村夏樹と仲間たちのコンサート『夏の交差点』
日時:7月22日(水)7時30分開演
会場:東京渋谷 公園通りクラシックス tel 03(3464)2701
予約2500円 当日3000円 学割1000円(学生証をご用意ください)
江村夏樹/4つの情景 I II III IV、冬の手紙、飛べ飛べ天まで飛べ、夢の中
マヌエル・デ・ファリャ/火祭りの踊り、ポール・デュカスの墓にささげる讃歌
バルトーク・ベラ/アレグロ・バルバロ
セルゲイ・プロコフィエフ/行進曲
出演:金子泰子 高橋由房(トロンボーン)柴田暦(女声)松本健一 坂本洋祐(サックス)日高和子(クラリネット、サックス) 江村夏樹(ピアノ)
予約・お問い合わせ 太鼓堂 http://taikodo.hp.infoseek.co.jp/●ひょうげん塾 製本ワークショップ
日時:8月2日(日)午後1時から5時
会場:神楽坂シアターイワト二階
四釜裕子+八巻美恵、偶数コンビの愉快派製本ワークショップ、今回は『高橋悠治ソングブック』仕様の「糸だけ製本」をためしてみます。材料はきっぱり紙と糸だけ。真夏の午後に似合っているでしょ。手軽だけれどいろんな応用がききます。出来上がりが清楚で美しいのも大きな魅力です。この綴じかたの基本にはいろんなところで出会うことができると思いますが、ソングブックに応用したやりかたは四釜さんが考案したものに、八巻があれこれ注文をつけているうちに出来上がったものです。4-kama+8-makiのオリジナルな部分をためしてみてください。そしてこうしたらもっとやりやすい、とか、もっとかんたん、とか聞かせていただけたらと思っています。
参加のメールはイワトひょうげん塾 kimi@hyogen-iwato.com まで送ってください。それではまた!(八巻美恵)
◆6月1日◆
ジョン・ダウランドの歌をうたうスティングのDVDを見ました。テーブルに置かれた楽譜はそれぞれのパートが椅子に腰かける人の方向を向いて4面印刷されている、つまり、楽譜を一冊ポンと置いて開くと、テーブルを囲む4人のそれぞれのパートがその人の正面にちゃんと見えるわけです。DVDでは4人ともスティングだったけれど、実際にあんなふうに4人でテーブルを囲んでうたったら楽しいにちがいない。そう思ったら、スティングの声をきいているうちに、ついいっしょにうたってしまったのでした。知らない歌なのに。
「水牛のように」を2009年6月号に更新しました。
いつもより大分おそい更新です。この週末=月末は東京にいなかったので、帰ってきて、いそいでファイルを作りました。読者としてじっくりと読むのもこれからです。少々レイアウトが乱れていたりしますが、そのうち落ち着いてソースを見て、きちんとします。バックナンバーにいれるときには必ず。ひと月に一度のことなのに、なんだか追われているような。。。●杉山洋一さん指揮によるコンサートのお知らせです。
「桐朋学園音楽部門 S/up project III オーケストラ・コンテンポラリー I」
2009年 6月29日(月)19:00開演 1500円 杉並公会堂大ホール
桐朋学園オーケストラ ・杉山洋一(指揮)
宮澤郁昭「流れ」/木村裕交響詩「雅」/野平一郎「室内協奏曲第1番」/湯浅譲二「芭蕉による情景III」/石島正博「Green 」
お問合せ・桐朋学園音楽部門事務局演奏課(03-3307-4158)それではまた!(八巻美恵)
◆5月1日◆
五月になるとつい歌ってしまう「うるわしい五月(さつき)」(ハイネ/シューマン)。学校でならって、いい加減に覚えているだけの鼻歌でも、歌われている季節を全身に感じながらだと、リアルにいい気持ちです。五月ですものね。
五月は爽快な男児。ぴちぴち若い体じゅうの皮膚を裸で、旗のような髪の毛を風にふき靡(なび)かせつつ、緑の小枝を振り廻し駈けて行く五月。新鮮に充実して浄き官能の輝く五月。(宮本百合子『わが五月』)
五月の朝の新緑と薫風は私の生活を貴族にする。したたる空色の窓の下で、私の愛する女と共に純銀のふおうくを動かしたい。私の生活にもいつかは一度、あの空に光る、雲雀料理の愛の皿を盗んで喰べたい。(萩原朔太郎『月に吠える』)
「水牛のように」を2009年5月号に更新しました。
メキシコシティーの金野広美さんからは新型インフルエンザについてのレポートが届きました。こうした現地の様子とともに、せっかくインタネットがあるのですから、たとえばこのようなサイトを冷静に読むことが必要だと思います。
佐藤真紀さんたちが「日本イラク通信社」というのを立ち上げて、イラク関連のニュースをYouTubeで配信しはじめました。ニュースショーそのままの演出が笑わせてくれます。キャスターは佐藤真紀さんです。現地で撮影された映像をこんなふうに見せる工夫がすばらしい。スタッフも募集しているようなので、興味のあるかたはぜひ。5月おわりから6月はじめにかけて「東京写真月間2009」という写真の企画展があります。その中のひとつとして、片岡義男さんの個展が開催されます。『撮る人の東京』という片岡さんらしいタイトル。写真はもちろん、液晶によるスライドショーもあります。そのために片岡さんはついにデジタルカメラを手にしたのです。5月27日から6月8日まで、新宿西口ペンタックスフォーラムで。
それではまた!(八巻美恵)
◆4月1日◆
春はいろんな匂いがいつもより強く感じられます。これがないと一日がはじまらない、朝のコーヒーの匂い。咲いたばかりの花の匂い。馬事公苑の馬の匂いもきょうは強烈でした。匂いをはこぶ風のせいでしょうか。ことしはいつにも増して風の吹く日の多い春です。風そのものも匂うよう。でも、さぶい。
「水牛のように」を2009年4月号に更新しました。
今月はひさびさに全員集合といった感じで盛りだくさんです。どういう順番にしたらいいのか、だいぶ迷いました。あまり意味のない迷いなので必要以上に迷ってみたりします。最初に届いた原稿は藤井貞和さんから。パリに行って月末は留守だから、と。最後は順番を迷っている最中に森下ヒバリさんから。タイとインドから帰ってきました、と。
今月からあらたに加わったのは更紗さん。まだ20代ですが、彼女が小学生になる前からの知り合いなので、つきあいは長いのです。知り合ったころはじゃれあって、二匹の犬のような関係でしたが、いつの間にか人間の関係になってしまいました。こうして原稿を書いてもらえるようになったのはうれしいけれど、ときどきは犬だったころをなつかしく思い出します。4月29日はシアターイワト主催の「ひょうげん塾」で製本ワークショップをおこないます。午後1時から5時。四釜裕子さんといっしょです。すでに定員に達したため応募はしめきりましたが、今月に限って見学自由とのこと。連休の最初の、たぶんいいお天気の午後のはず。どうぞ遊びに来てください。
それではまた!(八巻美恵)
◆3月1日◆
太陽が休暇でどこかに出かけたかのように、東京は雨もよいの2月の終り、すこしだけ雪も降りました。雨が止んでいるときに外を歩いていると、たっぷりと水分を含んだような濃厚で新鮮な沈丁花の花の匂いがそこここにあります。一年中でいちばん寒いような気がするけれど、春はそこ。一日中ねむたいのもそのせいかもしれません。君が眠いのは一年中だろう、と言う複数の人の声がきこえてきますが、春はいつにも増してねむいというのが当人の感覚です。はっきりと目覚めないうちに夜になったりすることもあるし、何時間ねても、よく寝たなあという満足感がない。なんとなく酸欠状態に似ています。春に不足している酸素とはいったい何なのでしょう。
「水牛のように」を2009年3月号に更新しました。
詩人としてのくぼたのぞみさんをどうぞ! 翻訳者その他の彼女についてはエスペランサの部屋で。
ねむいねむい春にシチリアのワインを飲んで、全身が南国にいるような状態になっていたところに、杉山さんから届いた原稿によると、シチリアも寒さにやられた様子。暖かいはずのところの寒さは単に温度の低さだけの問題ではなく、どこか生存をおびやかすものであるのと思います。2月は佐藤真紀さんたちのJIM-NET主催の展覧会でイラクのガンのこどもたちの絵を観ました。義理の愛大作戦のチョコパッケージやポスターはかわいらしくデザインされていてすばらしい。でも原画はそれを描いたこどもの弱さと強さとをあわせもったひそやかなものでした。観てみないとわからないことです。だから3月は小熊秀雄展を観にゆこう。3月5日から15日まで熊谷守一美術館で。かつての池袋モンパルナスにある美術館ではじめて小熊のほんものの絵を観る。躓いたままの青空文庫小熊秀雄プロジェクトを再開するためのエネルギーをもらわなくてはね。
それではまた!(八巻美恵)
◆2月1日◆
「水牛のように」を2009年2月号に更新しました。
ことしの「義理の愛大作戦」のチョコレートはすでにゲットしました。誰にあげようか。送ったらイラクの子どもたちの絵画展を見にいこう。
藤井貞和さんの「ベリンガーの時間」は1月29日のうたのイワトで、藤井さん自身によって朗読されたものです。あのときの藤井さんの身振りが思い出されて、ちょっと笑ってしまう。
オトメン大久保さんとはいつの日か、いっしょにスイーツを。オトメンに対するような女のこの新しいありかたはないのかしら。。。
『西洋製本図鑑』は図書館(=わが書斎)にすぐに予約しました。四釜さんとは製本のワークショップをしているので、そのうちマニュアルをかねた製本の本を自力で作りたいという野望がむくむくとわきあがってきました。
去年の夏の盛りに斎藤晴彦さんと上川隆也さんの「ウーマン・イン・ブラック」を観ました。真夏に真冬のおはなし、なにより衣装が暑そうだった。その後ロンドン公演があるときいたので、おもしろそうだからそのことを書いてほしいと斎藤さんにお願いしたのでした。同じことを考えていたマガジン「イワト」と仲良く掲載です。
仲宗根さんのおばさんの声、ききたいなあ。
ほうろうは好き、放浪も琺瑯も。ル・クルーゼは持っていないけれど、カリフラワーをかたちがくずれるまで弱火で煮るスープは最近よく作ります。だから想像を超えておいしいのはよくわかります。ヒバリさんのレシピもやってみよう。隠し味にナム・プラーね、なるほど。
インドネシアの入試はやっぱりあの土地の風土そのままだ。日本は人が多すぎて、どこかバランスが崩れているのでしょう。
大野さんのように、古い本を探しているうちに、いまの著作権法がなんだかおかしいと気づくこともあるのです。青空文庫は50年という著作権保護期間が過ぎたら、できるだけオープンに誰もが読めるようにしようという考えです。
杉山さんの連載が電子ブックとしてまとめられました。編集と制作は浜野智さん。電子ルリユールの本棚の一番下にあります。
太陽がもう少し高くなったら、明るく晴れた午後にでも、塩とリモンでテキーラをやる、と心に決める。
三橋圭介さんのコーナー「音楽の言の葉」が新しくなりました。シコ・ブアルキについての連載には気合いが入っているようですね。
新井純さんと鈴木光介さんの声を得て、『高橋悠治ソングブック』の歌たちが楽譜から飛び出してきたあの夜。「歌は詩のよみかたのひとつなのか」。そうかも。意味のわからない言葉でも歌ならすぐに覚えられるし、記憶に残ります。子どものころそうして覚えた英語の歌があるとき口をついて出てきて、はじめて意味がわかったり。
こんなことを思いながらファイルを作る月末恒例のひとときです。
それではまた!(八巻美恵)
◆1月1日◆
あけましておめでとうございます。
と書いてはみるものの、おめでたいのは年が改まったことだけ、なこの世界の感じにはいかんともしがたいものがあります。でも冬の時代に芽吹くものにはあたらしくおもしろいものが多いことも歴史はおしえてくれます。干支のうしを楽しむためには「大過牛年」を眺めましょう。古今の中国から集められた、派手でおめでたいうしの図案満載のポスター12枚。台湾の漢聲雑誌社が毎年意匠をこらして作っているものです。金の牛には天地をひっくりかえすほど運勢を変える力があるそうです。一頭ほしいですね。
1月29日(木)はうたのイワトへおでかけください。「高橋悠治ソングブック」におさめた歌で一夜を構成。歌う鈴木光介くんも新井純さんもいわゆる歌手ではありません。歌がうまれるそのときを感じるのは、そのせいかもしれないな。歌手がだめというわけではありませんが、美しくじょうずに歌われる歌からはしばしば何かがこぼれおちてしまうことがあると思うのです。
「水牛のように」を2009年1月号に更新しました。
杉山洋一さんの連載は85回目を迎えました。過ぎてしまえば、いつの間にかこうなったと感じたりするけれど、一度も休載なしはすごいことです。でも山田風太郎『風山房風呂焚き唄』の編者解説によれば、「「風山房風呂焚き唄」は、「小説推理」に一年間連載されたエッセイ。(中略)佐野洋は七三年から同誌にミステリ時評「推理日記」を連載しており、山田風太郎が言及しているのも、このエッセイのこと。スタートから三十五年が経過した二〇〇八年現在まで、一度も休載することなく続く名物連載となっている。」とのこと。みなさん、佐野洋氏に続きましょうね。などと言っている私自身が最初にアウトになったりして。う〜む。。。春からは四釜裕子さんといっしょに年4回ほど製本ワークショップをします。休日か週末の午後に、一回ずつ一冊完成させることを目指します。詳しくはまた。
八巻美恵
e-mail info@suigyu.com
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