ここに原稿を書きはじめる前に青空文庫のトップページでその月に関する検索をしてみるようになったのは今年になってからのことです。今売れている小説や話題の新書を読むのもいいけれど、そういうものとはまったく違う世界からの声に出会えてドッキリ。そして八月。ヒット数はこれまでになく多い。敗戦の月だからだと思います。
八月の西瓜。グラジオラスの花に似たうす紅色ととろけるやうな味覚。口のなかでとけてしまふものはアイスクリームやシヨートケーキもあるけれど、あの甘いさわやかな味が水のやうに流れてしまふことがはかない気持になる。戦争を通つて生きて来た私はそんなに物惜しみするやうにもなつた。(「季節の変るごとに」片山広子 1953)
人間の社会には、その事実なり、その言葉なりをねじまげたり、もてあそんだりすると、結果として不幸がもたらされる以外に、どんないいこともない事柄がある。愛がその一つである。正義もそういう本質をもっている。それから平和が。(「わたしたちは平和を手放さない」宮本百合子 1948)
「水牛のように」を2009年8月号に更新しました。
ことしの沖縄は閏月なのですね。国際通りが何のおもむきもないものになっていしまっても、暮らしにはそれとは別の細部のようなものがあって、暮らしている人には必要なのです。
ジャワ舞踊がめざす、集中し、水が流れるようにおだやかで落ち着いた状態。ひるがえって考えてみると、日常にはそのような状態があまりないということかもしれません。バニュ・ミリとかスメレーとか、言葉をつぶやくだけでも少しはその気になるような。。。甘いかな。
今月のお知らせは三つとも杉山洋一さんからです。
●「サントリーサマーフェスティバル2009 MUSIC TODAY 21」
テーマ作曲家「ウンスク・チン」
2009年 8月24日(月)19:00開演 3000円サントリーホール ブルーローズ(小ホール)
指揮・杉山洋一 ソプラノ・森川栄子、吉川真澄 打楽器・吉原すみれ、加藤訓子、宮本典子 ピアノ・中川賢一 アンサンブル・ノマド
ウンスク・チン(1961- ):打楽器とテープのための「アレグロ・マ・ノン・トロッポ」(1994/98)
3つのピアノ・エチュード第1番「ハ調」(1999/2003)、第6番「種子」(2000/2003)、第5番「トッカータ」(2003)
ソプラノとアンサンブルのための「節と瘤」 ピアノ、打楽器とアンサンブルのための二重協奏曲(2002) イリャン・チャン(1964-):マリンバ、ヴィブラフォンとアンサンブルのための「不死鳥」
●ジャズの山下洋輔さんの編纂されて、とびきり美味しいそば本に、飛び入りで書かせていただきました!とっても面白いのでぜひ!
「蕎麦処 山下庵 山下洋輔と三十人の蕎麦者たち」山下洋輔篇著 小学館
●こちらも演奏で参加しているのは一部なのですが、2005年にハイナー・ゲッベルスとやった演奏会のインプロヴィゼーションが、CDになりました。ハイナー好きの方には、ライブですから彼の臨場感あふれる演奏が堪能できるはずです。興味のある方はぜひどうぞ!
Heiner Goebbels The Italian Concerto IDA 024
それではまた!(八巻美恵)