◆5月1日◆
地球の気が乱れているかのように曇って降って晴れて、と短い時間にお天気も気温も変わる落ち着かない五月のはじまりです。
「水牛のように」を2012年5月号に更新しました。
落ち着かないとはいうものの、あたりは若葉に包まれていて美しい。季節の気を全身で受けたかのように、管啓次郎さんの「犬狼詩集」はいつもの3倍の6編が送られてきました。分割して掲載してもいいというメールが添えられていましたが、みんな載せました。分割することに積極的な意味はないから、たぶん。
くぼたのぞみさんの「マンゴー通りからきた詩人」はサンドラ・シスネロスさんのことです。『マンゴー通り、ときどきさよなら』『サンアントニオの青い月』という2冊を翻訳したのがくぼたのぞみさんなのです。
スラチャイの「ケンタック」は最終回、そうかほんとうに夢だったのですね。こうした連載をひとつにまとめて読めるようにできるといいと思います。よい方法はあるのでしょうか。今月は寄稿がありませんが、笹久保伸さんの『秩父前衛派の孤独の骨の夜という3つの短編小説』が笹久保さん自身の手で一冊にまとめられました。「山の中でさまよう芸術運動の記録」というサブタイトルがついています。山に囲まれた秩父は昔から前衛が似合うところですね。表紙は璃葉さんのイラストです。本人の短い解説がブログで読めます。興味をひかれたら笹久保さんにメールで申し込んでください。shinsasakubo@hotmail.com
6月2日(土)午後4時からは「高橋悠治50人のためのコンサート」の3回目。辻まこと「すぎゆくアダモ」を楫屋一之さんが朗読します。ピアノ付き(?)です。同時に辻まことの絵も映写される予定。詳細と申込みなどはイワトから。
その一週間後の6月9日(土)は同じイワトで一夜だけの満月バーの店主をつとめます。内澤旬子さんのイラストと蒐集本展のお楽しみのひとつです。詳しくはもうひとつの水牛だよりでおいおい書き続けます。いらしてね。
それではまた!(八巻美恵)
◆4月1日◆
3月のおわりの日の東京では雨をともなった強風が吹き荒れて、一夜あけた今日の空は、抜けるように青い。きのうの風がなにもかも連れ去ったしまったような気がします。その空の青さをぞんぶんに味わって、でも、目には見えない危険なもののことも忘れないようにしなければ、という世界にいることを心に刻みました。
「水牛のように」を2012年4月号に更新しました。
いつもより原稿の数が少ないのは、年度末と強風がかさなったせいだという理由を思いつきましたが、はて。
仲宗根浩さんは3月11日の「異なる声」に沖縄から参加してくれました。そのメールをもらってどんなにうれしかったか。当日の夜には写真付きの報告がメールで届きました。
「ケンタック」を訳している荘司和子さんによると、スラチャイがスリン大学から芸術学名誉博士号を授与されたそうです。スリンはスラチャイの出身地ではなかったかな。フェイスブックには学位をもらう時に着るガウン姿の写真が載っているらしいのですが、想像するだに似合わなそうで、チェックする気になれないままです。ガウンも名誉もスラチャイには遠いものです。会うことがあったら、笑いあおう。「ケンタック」のはじめにもあるように「どのような状態、どのような状況にいるときでも、こころの奥深くに孤独がある。孤独がわたしの最終最良の友なのだ」というのがスラチャイであり、私にとってはタイという文化の窓を開いて見せてくれた人ですが、それがどんなにふつうでないことなのかは、そのときにはまったくわからないことでした。片岡義男さんの『この夢の出来ばえ』と堀江敏幸さんの『目ざめて腕時計をみると』という二冊の写真集が同時発売になります。お二人の写真展やトークも予定されています。詳しいことはもうひとつの「水牛だより」でどうぞ。
それではまた!(八巻美恵)
◆3月1日◆
2月最後の雪の日があけて、地震の揺れで目が覚めた朝。東京における現実です。自分の体がまるごと揺れているし、あたりにある物が揺れている音も聞こえます。できることなら大きな地震は暖かくなってからにしてほしいと、どうにもならないとわかっているけれどそう願わずにいられません。
「水牛のように」を2012年3月号に更新しました。
杉山洋一さんの連載は122回目を迎えました。「第七天国」とか「いかれ猫」というレストランに行ってみたいな。一度も休載なく10年を越えたということです。すごい。しかしたまたま見ていた「週刊朝日」の名物長期連載の座談会によれば、山藤章二の「ブラック・アングル」は1800回余、東海林さだおの「あれも食いたい これも食いたい」は1209回だそうです。連載はすべからく「名物」になることを目指したいと思います。ことしの3月11日をどのように迎えて過ごすのか。昨年の震災に関連した催しや集まりはたくさん企画されていることでしょう。そのなかのひとつに参加するのもいいし、ひとりで過ごすのもいいと思います。しかし自分以外の声についても耳をかたむけたい。水牛の3月11日は「異なる声」です。藤井貞和さんの句集からいただいたタイトルです。このタイトルのもともとの意味は、藤井さん自身が聞いた「異なる声」ということだと思います。藤井さんが聞いて書きとめた千句を当日そこに集まった人たちの「異なる声」で朗読するという新たな意味に加えて、そこにはいない人たちがいろんなところで発しているだろう「異なる声」にまで耳をかたむけます。
●佐藤真紀さんたちにJIM-NETでは
震災から一年、3月9日-3月14日
「イラクと福島の子どもたち展」を日比谷で開催します。●杉山洋一さん関連のコンサートのお知らせ
瀬尾久仁&加藤真一郎ピアノデュオ
2012年3月14日(水)19時開演 東京オペラシティ リサイタルホール
モーツァルト:2台ピアノのためのソナタ ニ長調
チェルニー:性格的で華麗な序曲
リスト:「ドン・ジョヴァンニ」の回想
ストラヴィンスキー:ペトルーシュカからの3楽章
ベリオ:水のピアノ
杉山洋一:Diario 2010(日本初演)
一般3000円 学生1000円 お問い合わせ 東京コンサーツ03-3226-9755音楽専門・衛星デジタルラジオMUSIC BIRD
プロデューサーの部屋 3月17日・24日18:00〜22:00
ミラノにて〜作曲と指揮の日々 ゲスト:杉山洋一(作曲家・指揮者)それではまた!(八巻美恵)
◆2月15日◆
藤井貞和さんから『東歌篇━異なる声 独吟千句』(2011年9月 反抗社出版・カマル社発売)が届いたのは去年の秋だった。
A4判上質紙11枚裏表に、2段組でびっしりと連句という短い定型詩が並んでいる。用紙の右端をホチキスで二ヶ所とめて、ぜんたいを二つ折りにしたものが紙袋に入っているという体裁。「八月という日本社会、迎え火の晩夏を、私はこの定型によって悲しみました」とあとがきにあるように、3月11日の震災をまんなかに据えての短期間の独吟千句だ。いろんな時と所からの異なる声が藤井さんという詩人を通って、ことばの結晶として定着されている。藤井さん自身の声もそこにある。
すべてを読み通さなくても、すごいということはわかった。でもこの冊子がどこで手に入るのかわからない。出版社も発売も検索にはひっかからないし、そもそも紙袋入だもの、書店に置いてあるとは思えない。晩秋のある催しで藤井さんに会った。重たそうなカバンの中に『東歌篇━異なる声 独吟千句』がぎっしりと詰まっていて、自力販売しているのだった。このチャンスを逃してはいけない。何部か買って、影反研究室のメンバーに送りつけた。
というところからスタートした3月11日の「異なる声」。藤井さんに集まってきた異なる声を、この日はいろんな人の異なる声で読んでみる。ときどき音も入ります。ひとりで黙読するのとは異なる感覚を体験しましょう。自分と自分以外との境界は案外あいまいなものだと感じる。
詳細とお申し込み方法などは以下に。
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異なる声
3・11を真正面から受け止めリアルタイムでひとりうたいつづけた藤井貞和の『東歌篇━異なる声 独吟千句』(反抗社出版・カマル社発売)を参加者それぞれの異なる声が読みあげる朗読ゲーム
朗読 藤井貞和と参加者のみなさん
音 高橋悠治 港大尋
制作 影反研究室2012年3月11日(日)14時から読了の夕刻まで(13時30分開場)
参加費1500円(冊子代500円を含む) 定員60名
スタジオイワト朗読のルールや進行などは当日ご説明します
福島の地酒、陸前高田のおつまみ、お茶、コーヒーのセルフサービスコーナーありメールでご予約ください→haru@jazz.email.ne.jp
お名前ご住所とお電話番号をお書き込みください。
ご予約者には藤井貞和の『東歌篇━異なる声 独吟千句』を
郵便振替用紙同封でお送りします。到着次第参加費をお振込ください。
お電話でのお問い合わせ08054523165 スタジオイワト平野公子
◆2月1日◆
石井ゆかりさんのきょうの星占いによれば、私の星座は「人から受けとるものも、人に与えるものも多い日」ということで、水牛の更新の日にはピタリなお言葉でした。こういうとき、妙にうれしくて、大人気ないのです。
「水牛のように」を2012年2月号に更新しました。
高橋美礼さんはここには初登場ですが、水牛レーベルのCDのデザインでおなじみです。映画をそこに出てくるモノから読み解く楽しみが続きそうです。どんな映画も記録であり、その映画に関わった人たちの意図したものはもちろんですが、それを越えて記録されてしまったものがたくさんあります。そういったちいさなモノに焦点をあてると映画の見方が変わることもあります。ご本人のイラストがあるのは璃葉さんとおなじ。
大野さんが杉山さんの指揮を見ていたり、若松さんが先月紹介した本を四釜さんが手にとっていたり、ヒバリさんの原稿がスラチャイの暮らすタイから届いたり。こうした交わりは「絆」とはまったく違う関係性だと思います。3月11日の午後はスタジオイワトに集まりましょう。藤井貞和さんの「東歌篇––異なる声 独吟千句」(2011年 反抗社出版)を藤井さんを交えて読みます。「ツイッターはわれわれの記憶の底へおりて、今年という三月を、そしてそれ以後を、深い悲しみとともに記録しました。私はそれを定型という装置で試みようとしています。」とあとがきにあります。A4の用紙11枚の表裏にプリントされて右端をホチキスで止められ、それを二つ折にしただけの「異なる声」千句をいろんな声にのせてみたい。詳細はまた来月にお知らせしますが、予定しておいてください。
●港大尋さんからのお知らせ
「音楽と声 破片のひびき」
2012年2月7日(火)19時〜 神戸・三宮のギャラリー島田
港大尋(ピアノ、ジャンベほか)
季村敏夫(ポエトリー・リーディング)
東京の情報に偏る傾向がありますが、このサイトを訪れてくださるのは東京の人ばかりではありません。神戸に近ければ、ぜひ!それではまた!(八巻美恵)
◆1月1日◆
あけましておめでとうございます。
少しのお酒と少しのお節、そしてお雑煮を食べて、さて、水牛の更新をしなくてはとPCの前にすわったら、大きな地震に見舞われました。いやはや。お正月だからといって自然は勘弁してはくれません。わかってはいてもそのたびに衝撃を受けるひとりの小さな人間です。
「水牛のように」を2012年1月号に更新しました。
年のはじめなので、執筆者のサイトやブログを紹介します。それぞれの人のそれぞれの道です。とりあえず把握しているものだけですから、他にもあるかもしれません。興味を持たれたらさらに検索してみてください。植松眞人 Wiki オフィス★イサナBlog
大久保ゆう The Baker Street Bakery
管啓次郎 Mon pays natal
くぼたのぞみ エスペランサの部屋
笹久保伸 Sasakubox
佐藤真紀 佐藤真紀のブログ-イラク・ふくしま編
四釜裕子 bookbar5
杉山洋一 TOKYO CONCERTSによるリスト
高橋悠治 高橋悠治
冨岡三智 ジャワ舞踊の会・冨岡三智
藤井貞和 Wiki
三橋圭介 音楽の言の葉
森下ヒバリ アマゾンの著作リスト2012年、水牛がかかわる企画の第一弾は「高橋悠治50人のためのコンサート」シリーズ。スタジオイワトの空間をフルに生かした、とっておきのコンサートやポータブルシアターをことしは5回おこないます。
その第一回は「胸の振子、膀胱結石手術図ほか」
ヘンリー・パーセルから服部良一までの盛り沢山な1時間です。
1月22日(日)15時開演
4000円(前売り/当日)50人予約制ですから、まずは予約を!
メールは haru@jazz.email.ne.jp
電話は 08054523165(平野)制作の「影反研究室」はこれまでのイワトでの催しなどで協力しあってきた数人の集まりです。「影」と「反」とを生きがいにしているのがメンバーの共通点。イワトの平野公子さんと水牛の八巻美恵とが脳天気にあれやこれやアイディアを出し、実務もおこなっていますが、制作や演出のプロ中のプロもメンバーにいるので、彼らと相談しながら最初に胸に宿ったアイディアを、最高のかたちで着地させていくのがのぞみです。
3月11日の午後もこの日を記憶にとめおくための集まりを企画中です。決まったらお知らせしますので、その日をいまから空けておいてください。杉山洋一さんからのコンサートのお知らせを。
第729回 東京都交響楽団定期演奏会Bシリーズ
《日本管弦楽の名曲とその源流-14(プロデュース:一柳慧)》
2012年1月24日(火) 19:00開演(18:20開場)サントリーホール
野平一郎:オーケストラのためのトリプティーク*
野平一郎:チェロとオーケストラのための響きの連鎖*
ブーレーズ:エクラ/ミュルティプル(2002年改訂版・日本初演) **
チェロ:堤剛 指揮:野平一郎*、杉山洋一**
お問い合わせhttp://bit.ly/e3E9ac製本塾は春過ぎから始めます。もう少しお待ちください。
片岡義男さんの新著も私が携わっているものだけで3冊が着々と進んでいます。暮れも正月も関係ない、いつものとおりの勤勉な労働者です、と片岡さん。そういえば去年は1月2日に原稿が届いたのでした。ことしも来るかも。。。
というわけで、揺れる地面の上で働き続ける一年がまたもスタートしたわけです。
それではまた!(八巻美恵)
e-mail info@suigyu.com
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