手紙は憶えている

監督:アトム・エゴヤン
出演:クリストファー・プラマー、マーティン・ランドー、ブルーノ・ガンツ、ユルゲン・プロホノフ、ハインツ・リーフェン、ヘンリー・ツェニー、ディーン・ノリス
原題:Remember
制作:カナダ、ドイツ/2015
URL:http://remember.asmik-ace.co.jp
場所:角川シネマ新宿

アトム・エゴヤンの映画は誘拐や事故などに巻き込まれる犯罪系の映画と、エゴヤン自身がアルメニア系と云うこともあって主人公の出自に関係する映画に大きく分けられるような気がする。ここのところ犯罪系の映画が続いたけど、今回は久しぶりに主人公の出自に関係する映画だった。

第二次世界大戦が終ってから70年も経ったので、もしナチスの戦犯が生きていたとしても90歳を越えるような年齢に達してしまっていることから考えられた残酷なストーリーの映画が『手紙は憶えている』だった。自分の父親がナチスの戦犯であることが明らかになって行くコスタ=ガヴラス監督の『ミュージックボックス 』も相当に辛いストーリーだったけど、この『手紙は憶えている』はサスペンス仕立になっていることもあって、その真実が明らかになった時の衝撃はそれ以上だったのかもしれない。

そのサスペンスは、クリストファー・プラマーが完全な認知症になった訳ではなくて、かと言ってただの物忘れの多い老人な訳でもなくて、認知症なのか、そうではないのかの境界線上にいるところがポイントで、そこに早く気が付けばこの残酷なオチもある程度想像が付いたのだろうけど、クリストファー・プラマーの素晴らしい演技に惹きつけられてしまった結果、すっかりと騙されてしまった。

今年の12月13日で87歳になるクリストファー・プラマーの演技が神がかっていた。87歳にもなって、どうしてこんな演技ができるんだろうか。すごい、すごすぎる!

→アトム・エゴヤン→クリストファー・プラマー→カナダ、ドイツ/2015→角川シネマ新宿→★★★★