監督:ギリーズ・マッキノン
出演:グレゴール・フィッシャー、ナオミ・バトリック、エリー・ケンドリック、エディ・イザード、ショーン・ビガースタッフ、ブライアン・ペティファー、ケビン・ガスリー、ジェームズ・コスモ、ジョン・セッションズ、ティム・ピゴット=スミス、フェネラ・ウールガー
原題:Whisky Galore
制作:イギリス/2016
URL:http://www.synca.jp/whisky/
場所:新宿武蔵野館

スコットランドを舞台にした映画と云えば真っ先にビル・フォーサイスの映画をおもい出す。1986年に日本でも公開された『ローカル・ヒーロー 〜夢に生きた男〜』に続いて1987年に公開された『シルビーの帰郷』の二本で強烈な印象を残して、そのまま疾風のように消え去ってしまった。1999年に1980年に撮った『グレゴリーズ・ガール』の続編『Gregory’s Two Girls』を撮ったきり、その後は映画を撮ってないようだ。

ビル・フォーサイス監督『ローカル・ヒーロー 〜夢に生きた男〜』の面白さは、スコットランドに住む人々のキャラクターの豊かさにあったようにおもう。田舎特有の素朴さを持ちながら、ちょっとずる賢くて抜け目のない住民たち。彼らが徒党を組んで一つのうねりをなすさまは異様にも見えるけど、団結力の強さを持ち合わせているようにも見える。そしてその集団に与しないものに対してもネチネチと嫌がらせをするわけでもなくて一定の理解力を見せているところが、映画全体にほんわかとしたゆる〜い印象を与えていた。

ギリーズ・マッキノン監督の『ウイスキーと2人の花嫁』はそのビル・フォーサイス監督の『ローカル・ヒーロー 〜夢に生きた男〜』に雰囲気がちょっと似ていた。

スコットランドのトディー島の住民たちは、第二次世界大戦中に配給の途絶えたウィスキーが飲みたくて、そして郵便局長ジョセフの長女ペギーと次女カトリーナの結婚式にはウィスキーが不可欠ではないかと、折良く近くの海岸に座礁した貨物船からウィスキーを盗み出してしまう。島の中で戦時中の自警団を組織する堅物のワゲット大尉は、住人たちの不穏な行動を訝しんで捜査にかかるも手がかりは掴めず。さらに座礁した船にはもう一つの宝物が眠っていて、それを巡っての駆け引きも加わってのほんわか、ゆる〜い大騒動。この感じは、そうだ、昔のイーリング・スタジオの映画にも似ている!(調べると、この『ウイスキーと2人の花嫁』(原題:Whisky Galore)は1949年にアレクサンダー・マッケンドリック監督が撮った『Whisky Galore』のリメイクだった)

手旗信号の得意な少年とか、ざっくばらんな島の牧師とか、ちょっとしたキャラクターが豊富なのも良い! なかでも堅物ワゲット大尉の奥さんが素晴らしかった。あたふたしている夫を尻目にゆっくりとビリヤードをしているし、夫の「あの音はなんだ!」の問いかけに「私、耳が悪いの」と我関せず。フェネラ・ウールガーと云う女優だそうだ。

→ギリーズ・マッキノン→グレゴール・フィッシャー→イギリス/2016→新宿武蔵野館→★★★☆