ワールド・ウォーZ

監督:マーク・フォースター
出演:ブラッド・ピット、ミレイユ・イーノス、アビゲイル・ハーグローヴ、スターリング・ジェリンズ、ファナ・モコエナ、イライアス・ゲイベル、デヴィッド・アンドリューズ、デヴィッド・モース、ダニエラ・ケルテス、ピーター・キャパルディ、ピエルフランチェスコ・ファヴィーノ、ルース・ネッガ、モーリッツ・ブライプトロイ
原題:World War Z
制作:アメリカ/2013
URL:http://www.worldwarz.jp
場所:シネマスクエアとうきゅう

この映画の予告編をはじめて映画館で観たときに、事前の情報が何も無くても、怒濤のごとく走り寄って来る奴らはゾンビだな、と何となく予感がしたので、公開が近づくにつれて徐々にゾンビ映画であることがもっと明らかになって行くんじゃないかと期待していたら、どうやら日本ではゾンビ映画であることを伏せて公開に望もうとしている映画宣伝部の魂胆が漏れ聞こえてきた。えっ、でも、その最初の予告編を観たかぎりでも、ゾンビかどうかはわからないまでも、何か得体のしれない恐怖が押し寄せて来る映画であることはどこをどう見たって明らかなわけで、恐怖映画が嫌いな人はそれがゾンビだろうと貞子だろうと何だろうと観に行かないんじゃないのかなあ。それとも、恐怖映画であることを公開まで隠しおおせるとでもおもって、ブラッド・ピットファンを映画館に呼び込めるとでも考えていたんだろうか。だとしたら、どこをどうやってもそんなことは無理だし、例え隠しおおせて映画館に足を運ばせることに成功したとしても、隠されていたものが明らかになる衝撃たるや、もうその人は映画館に足を運ばなくなってしまうじゃないのかなあ。まったく酷い宣伝方法だ。

ゾンビ映画であることが隠されていたことにここまで憤ることになったのは、この映画がゾンビ映画としてとても良く出来ていた映画だったからだ。最初のフィラデルフィアのシーンから、得体のしれない恐怖が押し寄せてくる緊張感がすばらしい。そして、そこから韓国→イスラエル→ウェールズと場面がテンポよく大きく展開して行くのも気持ち良いし、まあ、とにかく、ゾンビのがむしゃらなスピーディさが恐怖を倍増させて、いやがおうでも緊張感が高まってしまう。おそらく、ゾンビに感染すると運動機能が向上するに違いない。ゾンビ・ウィルスに対処するべくワクチンを開発する際の逆説的解決法も自然界の真理を突いた巧いプロットの立て方だった。

2020年の東京オリンピックも決まって世間は浮かれ騒いでいるけれど、どう考えたって7年後は、地震、原発の問題、集中豪雨、竜巻、インフルエンザなどのパンデミックなどによって、絶対にこの映画のようになっているに違いないとおもわせるようなリアリティあふれる映画だった。

→マーク・フォースター→ブラッド・ピット→アメリカ/2013→シネマスクエアとうきゅう→★★★★