ニンフォマニアック Vol.1

監督:ラース・フォン・トリアー
出演:シャルロット・ゲンズブール、ステラン・スカルスガルド、ステイシー・マーティン、シャイア・ラブーフ、クリスチャン・スレーター、ユマ・サーマン、ソフィー・ケネディクラーク、コニー・ニールセン、ジェームズ・ノースコート、チャーリー・G・ホーキンス、イェンス・アルビヌス、フェリシティ·ギルバート、イェスパー·クリステンセン、ヒューゴ・シュペーア、サイロン・メルヴィル、サスキア・リーヴス、ニコラス・ブロ、クリスチャン·ガーデビヨ
原題:NYMPH()MANIAC
制作:デンマーク/2013
URL:http://www.nymphomaniac.jp
場所:新宿武蔵野館

ラース・フォン・トリアーの前作『メランコリア』は、映画館で観た時にはそんなに気にも止める映画でもなく、ラース・フォン・トリアーにしては不快さが足りないな、と云う感想しか持たなかったのだけれど、その後なぜかジワジワと『メランコリア』への愛着が募り、WOWOWで再見した時にはその映画がすっかり好きなっていた。でもそれは、ラース・フォン・トリアーへの期待がしっかりと映像化された結果に対する愛着ではなく、映画の中で描かれる絶望のイメージが自分の中でおもい描いていたイメージとぴったりと合致していたことが時が経つにつれて次第に鮮明になって来たにすぎなかった。自分にとってラース・フォン・トリアーに対する期待とは絶えず『ダンサー・イン・ザ・ダーク』のラストシーンなんだとおもう。あのラストシーンは私が見てきた映画史上最低だった。最低の最低の最低映画だった。だからこそ素晴らしかった。

今回はそんなラース・フォン・トリアーの最低映画に久しぶりに会えるのかな、と期待したけど、またちょっとはぐらかされてしまった気がする。特に「第3章ミセスH」は何なんだろう? 笑えるのだ。ラース・フォン・トリアーの映画で笑えるとはおもっていなかった。それもしっかりと笑わす工夫をしているコントのようだった。ユマ・サーマンに復讐劇をやらせるなんて、タランティーノのパロディなのか!

パロディの兆候は「第1章コンプリートアングラー」からあった。アイザック ウォルトンの名著「釣魚大全」を引き合いに出した色情狂成長記録は、フライ・フィッシングの作法とセックスするために男をピックアップする手法を重ね合わせたパロディのような体裁で、そこかしこに笑わせるような仕掛けを用意していた。この段階からして今回のラース・フォン・トリアーの映画に対して?マークが付いたのだけれど、それが「第3章ミセスH」ではっきりしたわけだった。うーん、ラース・フォン・トリアーに対して求めているのはこれではまったくない。どうしてこんな映画を撮ることになったのだろう。はたしてこんな気持ちでVol.2も観るべきか。どうしよう。

→ラース・フォン・トリアー→シャルロット・ゲンズブール→デンマーク/2013→新宿武蔵野館→★★★