インターステラー

監督:クリストファー・ノーラン
出演:マシュー・マコノヒー、アン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン、マッケンジー・フォイ、ケイシー・アフレック、ティモシー・シャラメ、ビル・アーウィン、エレン・バースティン、マット・デイモン、マイケル・ケイン、 デヴィッド・ジャーシー、ウェス・ベントリー、ジョン・リスゴー
原題:Interstellar
制作:アメリカ/2014
URL:http://wwws.warnerbros.co.jp/interstellar/
場所:新宿ミラノ1

映画のストーリーを楽しむ時に、それって辻褄があってないんじゃない? と引っかかってしまうと、その後のストーリーをまったく楽しめなくなってしまう場合があって、その「辻褄」が重箱の隅をつつくような些細なことの場合もある。反対に、大きな論理的破綻を見せているのにまったく気にしないで映画を楽しんでしまう場合もある。クリストファー・ノーランの映画は、その両方がせめぎ合う微妙なライン上にいつも立っていて、どっちに転んでもおかしくないような映画ばかりだ。

『インセプション』はまったく気にせずに楽しんでしまった。でも、『ダークナイト ライジング』はまったくダメだった。

この『インターステラー』は、ところどころ気にはなったんだけど、勢いで楽しんでしまった。

以下、ネタバレ。

気になったのは、やはり、人類が何か得体の知れないものに突き動かされて進化した結果、時空を超越した「神」のような存在になって、その「神」のような存在が過去の人類に進化のきっかけを与えていると云うパラドックスだ。自分たちが進化できたのは、未来の自分たちのおかげと云う、なんともまあ、都合の良いこと。

SF映画にはパラドックスが付き物で、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のパラドックスなんてご都合主義満載だ。それでも、楽しめるパラドックス映画は多い。だから、『インターステラー』のパラドックスもそれだけでは別に気にすることもない。全然OKだ。でも、ブラックホールの中に入って行ったり、5次元が可視化されている状態のイメージとか、そんなの無いんじゃない? が積み重なってしまうとだんだんと白けてくる。さらに、主人公マシュー・マコノヒーの都合の良いことが立て続けに起きたりする(どうやって五次元の世界からスペースコロニーに戻ったんだ!)と、それはあんまりだ! になってしまう。

テサラクト

ところが、クリストファー・ノーランはそんなことを考える余裕を与えないほどにストーリー展開を畳みかけるのが巧い。そして、男のロマンだの、家族愛だの、自己犠牲だの、約束を守る義務だの、を使って涙腺を突いて来るのだ。汚い野郎だ。

特に、フィリップ・カウフマン(そして原作のトム・ウルフ!)の『ライトスタッフ』が大好きな人間にとっては、危険を顧みず宇宙に飛び出して行く男のロマンがたまらない。最初にワームホールへ飛び込んで、移住可能な惑星の探査に向かった3人の博士の勇気を考えただけでも鳥肌が立ってしまう。クリストファー・ノーランは、マシュー・マコノヒーの役名をクーパーにしたことからもわかるように、絶対に『ライトスタッフ』(7人目の宇宙飛行士がゴードン・クーパー)を意識しているはずだ。

いろいろとご都合主義の映画だけれども、まあ、楽しめる映画であることは間違いなかった。

→クリストファー・ノーラン→マシュー・マコノヒー→アメリカ/2014→新宿ミラノ1→★★★☆