バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
出演:マイケル・キートン、エドワード・ノートン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツ、ザック・ガリフィアナキス、アンドレア・ライズボロー、エイミー・ライアン、リンゼイ・ダンカン、メリット・ウェヴァー
原題:Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance)
制作:アメリカ/2014
URL:http://www.foxmovies-jp.com/birdman/
場所:109シネマズ二子玉川

最近のアカデミー賞の作品賞を撮った映画にあまり共感ができないことが続いているうえに、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの暗さがそれに輪をかけてダメ押しして来るのかと勝手に想像していたら、これがおもいのほか素晴らしい映画だった。もともとピークを過ぎた俳優の悲哀を描く映画に対して、いつも必要以上に主人公へ感情移入をしてしまうので、今回も実際のマイケル・キートンの俳優像と重ね合わせてしまって、彼の俳優としての焦燥感のような感情を映画の中の役柄と一緒に味わう追体験をしてしまった。さらに、ヒーロー映画に出演して人気を博した俳優を演じているマイケル・キートンが、新境地を開拓しようとして自作自演の芝居でブロードウェイに打って出るあたりのストーリーは、やはり演劇業界の裏幕を描く映画が大好きなこともあって二重にものすごく楽しんでしまった。

エドワード・ノートン、エマ・ストーン、ナオミ・ワッツなどの脇役陣も素晴らしくて、ニューヨーク・タイムズの演劇評論家を演じているリンゼイ・ダンカンも更年期特有の機嫌の悪さを顔全体で表していて、ブロードウェイのバーでのマイケル・キートンとの対決はゾクゾクするほどの緊張感を醸し出していた。この対決シーンこそが映画全体を引き締める役割を担っていて、ラストシーンのニューヨーク・タイムズに載るマイケル・キートンの芝居の劇評が映画の幕引きとしてはこれ以上ないほどのオチとなっていて、そのあたりの構成の妙も充分に楽しめる映画になっていた。

この女性演劇評論家のモデルとかいるんだろうか? 影響力のある女性の映画評論家ならポーリン・ケイルとかおもい出すけど、こんな嫌味な女性ではないよね。

→アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ→マイケル・キートン→アメリカ/2014→109シネマズ二子玉川→★★★★