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 2010年06月30日
 アウトレイジ
Posted by ag at 23:37/ カテゴリー: MOVIE_Database

アウトレイジ監督:北野武
出演:ビートたけし、椎名桔平、北村総一朗、三浦友和、國村隼、杉本哲太、加瀬亮、森永健司、石橋蓮司、中野英雄、塚本高史、内野智、小日向文世、板谷由夏
制作:バンダイビジュアル、テレビ東京、オムニバス・ジャパン、オフィス北野/2010
URL:http://office-kitano.co.jp/outrage/main.html
場所:ワーナー・マイカル・シネマズ板橋

北野武の映画をデビュー作からすべて公開時に観てきたのに、ちょうど10作目の『Dolls』で途切れてしまった。無駄にアーティスティックに走ってしまったように見える『Dolls』という映画にまったく食指が動かなくなってしまったのだ。そして、その次の『座頭市』は観たけど、また『TAKESHIS'』で途切れてしまう。もうこの段階で完全に迷走してるのが見て取れて、『アキレスと亀』なんてものを撮るに至っては完全に北野映画を見放してしまった。認められたことによってさらに高次を目指そうとするのはわかるけど、得意とする部分を殺してしまっては何にもならない。北野武がどんどん巨匠病に冒されて行ってしまうのが見ていて辛かった。

ところが『アウトレイジ』という新作は、どうやら昔の北野映画に戻っていると言う。Twitterでもその話題で持ち切りだった。ならば、もう一度、北野映画を観てみよう。ワールドカップもベスト8が出揃って小休止に入ったので、この隙をついて観に行ってみよう。

ということで、観た。なるほど、確かに最近の混迷ぶりから脱却して初心に帰っているように見える。それプラス、笑えた。この、笑える、という部分がとても大切だ。何せ、ビートたけしというコメディアンが作るコメディ映画は今までまったく笑えなかったのだから。もちろんこの映画はコメディではないけれど、サム・ライミのホラー映画しかり、何事も突き詰めて誇張して描くと、笑える。昔ながらのビートたけしのコントの“間”も相まって、笑えた。特に、歯医者の椅子に座る石橋蓮司がビートたけしによって、あれは何て言うんだろう? キ〜ンと耳障りな音を立てて歯を削るやつ、それを使って口の中をズタズタにされるシーンなんて、めちゃくちゃおかしい。残酷で、笑える。次のシーンで、ハンニバルのレクター博士よろしく、治療のために口を固定されて、ひょこんと座ってる石橋蓮司にカットが切り替わるシーンも笑える。その石橋蓮司に対して、お前食べるか? あっ無理か、なんてセリフの“間”も。

もう、いいんじゃないかな、映画祭の賞を取る事なんて。ウディ・アレンばりに、自分の得意とする範疇の中で細かく技を磨いて行けば。

 2010年06月17日
 ブライト・スター いちばん美しい恋の詩
Posted by ag at 23:24/ カテゴリー: MOVIE_Database

ブライト・スター いちばん美しい恋の詩監督:ジェーン・カンピオン
出演:アビー・コーニッシュ、ベン・ウィショー、ポール・シュナイダー、ケリー・フォックス、トーマス・サングスター、クローディー・ブレイクリー
原題:Bright Star
制作:イギリス/2009
URL:http://www.brightstar-movie.jp/index.html
場所:新宿武蔵野館

ジェーン・カンピオンの長編映画は2003年の『イン・ザ・カット』以来。その前作の『イン・ザ・カット』は、メグ・ライアンがジェーン・カンピオンの演出のもとに、『ピアノ・レッスン』のホリー・ハンターのような魅力のある女性像として登場するものと期待して観に行ったのに、あまりにも鬱々とした映像の連続で、どちらかと言うと精神的に病んでいるように見える役柄の女性だったのにはガッカリとしてしまった。それでもまだまだジェーン・カンピオンに期待する気持ちは強く、次回作をいつかいつかと心待ちにしていた。

で、やっと6年ぶりにジェーン・カンピオンの映画がやって来た。それもひっそりと。まあ、有名な俳優が1人も出ていないからこの扱いはしょうがないのだろうけれど、もうちょっと宣伝してもいいんじゃないかなあ。

この『ブライト・スター いちばん美しい恋の詩』は、まったくの事前情報を入れずに観に行ったので、イギリスの詩人ジョン・キーツとその恋人ファニー・ブローンとの悲恋を描いた伝記映画であることをまったく知らなかった。ジョン・キーツというと、いろんな映画のセリフの端々に登場する詩人なんだけど、何の知識も持ち合わせていなかったので、おお、こんな人物だったんだと、それだけで映画が興味深かった。

それに、青空文庫にも登録されている日本の詩人、八木重吉はジョン・キーツに多大な影響を受けてるということなので、さらに興味深かった。

  キーツに 寄す

うつくしい 秋のゆふぐれ
恋人の 白い 横顔(プロフアイル)―キーツの 幻(まぼろし)

八木重吉「秋の瞳」より)

そして、やっぱりジェーン・カンピオの映像の美しさ。特に今回は、光の当たっている部分に見られる“白”が美しい。なぜか新宿武蔵野館での上映はフィルムではなくDLPでの上映だったんだけど、それでもその“白”の美しさは際立っていた。

ただ、ジョン・キーツの詩の翻訳を字幕で見せられるのはちょっと苦しかった。これは自分だけかもしれないけど、詩というものは、どんなものであっても、じっくりと咀嚼しないと意味がわからない。字幕で次から次へと読まされるのは相当厳しかった。

 2010年06月13日
 告白
Posted by ag at 23:06/ カテゴリー: MOVIE_Database

告白監督:中島哲也
出演:松たか子、木村佳乃、岡田将生、西井幸人、藤原薫、橋本愛、一井直樹、芦田愛菜
制作:「告白」製作委員会/2009
URL:http://kokuhaku-shimasu.jp/index.html
場所:ワーナー・マイカル・シネマズ板橋

中島哲也の映画は、この『告白』と同じように『嫌われ松子の一生』も観ていて辛かった。映画館にまで足を運んで、なんで人が転落して行く人生を見せられなきゃいけないのか、映画館ではフランク・キャプラの映画のようにハッピーな気持ちにさせてくれるのが基本だろう、なんて憤りもするんだけど、でも映画の評価として、暗い映画=ダメな映画、ハッピーな映画=良い映画、とも限らないのは至極当然で、『嫌われ松子の一生』は映画としては巧いし素晴らしかった。精神的には受け付けないダメな映画でも、技巧的には良い映画だったとなると、精神的な面の評価なんて観ているモノの主観的な評価以外のナニモノでもないから、そこはしかっかりと客観的に判断する必要があって総合的には良い映画となるわけでしょう。知人に薦められる映画かどうかは別だけど。

この『告白』は、子どもをダシに使っているぶん、『嫌われ松子の一生』よりもたちが悪かった。教壇に立った経験のある身からしても、子どものズルさが手に取るようわかったりするからなおさら精神的に響いたりしたし。でも、これがまた映画として技巧的に優れていて、特に映画全体を登場人物の告白で構成してあるところが巧かった。まるでジグソーパズルのように告白を錯綜させておきながら、全体的なストーリーの流れを乱れさせることなく起承転結を形作っているところが素晴らしい。映像も、『下妻物語』からの中島哲也トーンというか、ちょっとコントラストの強い画の作りが少年犯罪という題材にぴったり。この題材と、水飛沫をスローで取るシーンなどから、ちょっと岩井俊二の『リリシュシュのすべて』を思い出したりもするんだけど。

この精神的に辛い映画の唯一の救いは、最後のクレジットに「タンバリン指導」としてゴンゾーの名があったこと。ゴンゾーって、人に指導できるほど偉い人だったんだ。このクレジットで笑える人は、落ち込んだ気持ちを少しばかり上気させることができます。

 2010年06月10日
 冷たい雨に撃て、約束の銃弾を
Posted by ag at 23:59/ カテゴリー: MOVIE_Database

冷たい雨に撃て、約束の銃弾を監督:ジョニー・トー
出演:ジョニー・アリディ、アンソニー・ウォン、ラム・カートン、ラム・シュー、サイモン・ヤム、シルヴィー・テステュー、チョン・シウファイ、マギー・シュー、フェリックス・ウォン、ミシェル・イェ、ン・ティンイップ、フォン・ツーファン
原題:復仇
制作:香港/2009
URL:http://judan-movie.com/
場所:新宿武蔵野館

ジョニー・トーの映画を観るのはこれで4本目。一番最初に勧められてビデオで見た『ザ・ミッション 非情の掟』があまりにも素晴らしかったので、昨年観た『エグザイル/絆 』にはガッカリだった。ガッカリどころか、自分の一番嫌いなタイプの映画、ストーリー・テリングを無視して映像スタイルだけに重きを置いてしまっている映画だった。確かにジョニー・トーはスタイルを追求するあまりストーリーを二の次にする傾向があるけど、『エグザイル/絆 』はそれがめちゃくちゃ顕著だった。ストーリー運びのリズムを壊してまで映像スタイルに走っている映画を観るのは本当に辛い。

そんな『エグザイル/絆 』のことがあったので、この『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』には一抹の不安があったんだけど、蓋を開けてみたらそのような不安は杞憂だった。もちろんジョニー・トーのことだから、ところどころにスタイリッシュな映像を撮りたいがためのシーン構成が見受けられるけど、例えば空き地での決戦シーンとか、あんなゴミを固めた四角いブロックを転がしながら、それを盾にして拳銃を撃ち合うなんてまったくリアリティに欠ける。あんなんじゃ、中央にいる奴らはすぐに皆殺しだよなあ。でも、西部劇のインディアンの駅馬車襲撃シーンを意識しているのか映像としては面白いし、全体的なストーリーの流れからしてそれほど逸脱した映像でもないし、シーンのピースとしてピタリとはまっていた。

スタイリッシュな映像をスパイスとして加味すると深みが出て素晴らしい映画になる場合があるんだけど、スパイスが利きすぎるとまったく観てられなくなる場合もある。そのバランスが微妙に難しい。この『冷たい雨に撃て、約束の銃弾を』は、単純な復讐劇だけど、ほど良く映像スパイスが利いていて面白い映画だった。

そうそう、飯を喰うシーンだけど、相変わらず出て来る。でも、ガツガツ喰うシーンがなかった。ガツガツ喰うシーンがいいのに。

ag-n
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