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 2010年09月28日
 瞳の奥の秘密
Posted by ag at 23:35/ カテゴリー: MOVIE_Database

瞳の奥の秘密監督:フアン・ホセ・カンパネラ
出演:リカルド・ダリン、ソレダ・ビジャミル、パブロ・ラゴ、ハビエル・ゴディーノ、カルラ・ケベド、ギレルモ・フランセーヤ
原題:El secreto de sus ojos
制作:アルゼンチン/2009
URL:http://www.hitomi-himitsu.jp/
場所:新宿武蔵野館

ラテン・アメリカ映画のイメージは、とりわけアルゼンチン、チリ、ウルグアイあたりの南に位置するスペイン語圏の映画のイメージは、太陽光のあまり無い、発色の薄い景色の中に存在する軍事政権、と云ったあたりしかなくて、いや、それはもしかして、ラテン・アメリカを舞台にしたコスタ=ガヴラスの映画の印象が強いのかもしれないので、もっと普通のラテン・アメリカ映画を観るべきなんだろうけど、アカデミー賞外国語映画賞のような冠が付かないかぎり観に行かないのは本当に残念。

で、今回も第82回アカデミー賞外国語映画賞を取ったと云う理由だけで観に行ったアルゼンチンの映画。ストーリー展開が遅々としているので途中で飽きはじめるけど、アルゼンチンのサッカー・プロ1部リーグに所属するウラカンのホームスタジアム“エスタディオ・トマス・アドルフォ・ドゥコ”で撮影された長回しの犯人追跡シーンあたりから目が覚めはじて、ラストに向けての展開の広がりはどんどん面白くなる。

このサッカーのシークエンス、ウラカンV.S.ラシンの試合の中、スタジアム上空からスタンドに舞い降りて行くカメラワークはまるでヒッチコックのようで、そのままカットせず、ワンショットで犯人を追いかけるシーンに繋いで行くところは映画的興奮があってなかなか楽しめた。それに、アルゼンチン映画でもCGを使うんだなあ、と感心したりして。まあ、今の時代、どこの国でもCGくらいは使うんだろうけど。

まあ、このように、映像的には悪くはない映画だったけど、外国語映画賞を取るほどの映画かと云われると、う〜ん、どうかな。

 2010年09月24日
 怪人マブゼ博士
Posted by ag at 23:59/ カテゴリー: MOVIE_Database

怪人マブゼ博士監督:フリッツ・ラング
出演:ルドルフ・クライン=ロッゲ、オットー・ヴェルニッケ、カール・マイクスナー、オスカー・ベルジ、テオドル・ロース、グスタフ・ディーズル、ヴェラ・リムセイ、ルドルフ・シュンドラー
原題:Das Testament des Dr. Mabuse
制作:ドイツ/1933
URL:
場所:シネマヴェーラ

戦後のフリッツ・ラングの映画は何本か観ているけど、やっぱりサイレント時代からこの『怪人マブゼ博士』が作られたころの映画はとても強烈だ。と云っても他に『メトロポリス』しか観てないけど。もっと観なきゃ、ダメだ。

モノクロ映画を観ると、カラー映画とは違った一種独特な雰囲気をいつも感じるんだけど、その白と黒のはっきりとしたコントラストを利用して、モノクロ映画に特化した構図をしっかりと映画の中に構築しているものってそんなに多くない。ヒッチコックの『サイコ』とか、イングマル・ベルイマンの『野いちご』とか、ラリー・ピアースの『ある戦慄』とか、そのあたり。

ところがフリッツ・ラングは、それをしっかりとやってる。この『怪人マブゼ博士』も白と黒のコントラストを利用した構図が美しいし、今観ても鮮烈だ。特に爆発のシーンは、最近のVFX映画を見慣れていたとしても、今までにあまり体験したことのないモノクロ映画独特の、ハッと息を飲む美しさだった。おそらく、この時代のドイツ映画には共通したライティング方法、カメラワークの手法などのノウハウがしっかりと培われていたのかもしれない。ドイツ表現主義映画はみんな白と黒が美しい。

怪人マブゼ博士

怪人マブゼ博士

怪人マブゼ博士

フリッツ・ラングの古い映画はDVDになってるようだから買おうかな。高いけど。

 2010年09月24日
 力と栄光
Posted by ag at 23:36/ カテゴリー: MOVIE_Database

力と栄光監督:ウィリアム・K・ハワード
出演:スペンサー・トレイシー、コリーン・ムーア、ラルフ・モーガン、ヘレン・ヴィンソン、フィリップ・トレント、ヘンリー・コルカー、サラ・パッデン
原題:The Power And The Glory
制作:アメリカ/1933
URL:
場所:シネマヴェーラ

プレストン・スタージェスがハリウッドにデビューしたのはこの映画の脚本からだった。それも単純なデビュー作ではなかった。1930年代初頭の映画と云えば、物語は時間軸に沿って語られるものと相場が決まっていたが、プレストン・スタージェスはそんなありきたりな常識をくつがえし、主人公の生涯を解体し、過去と未来を混合させて物語らせる手法をシナリオに取り入れたのだ。しかし、ドナルド スポトー 著、森本務訳「プレストン・スタージェス」(キネマ旬報)によると、フランスの映画監督のルネ・クレールによる絶賛はあったものの、当時のハリウッド内での評価はあまりなかったようだ。この手法が再び使われるのは、なんと8年も後の、あのオーソン・ウェルズの『市民ケーン』だった。

このような時間配列を解体して混合させる方法は、その前後のシーンの繋がりが悪くて伏線が生きていなかったりすると、映画を観ている側は混乱してしまって、何を物語っているのかさっぱり訳が分からなくなってしまうと云うとても危険な手法なんだけど、ぴったりはまると心地良いことこの上ない。フランク・キャプラの『素晴らしき哉、人生!』や、セルジオ・レオーネの『ワンス・アポン・ア・イン・アメリカ』などなど、この手法のストーリーで好きな映画は数多い。

クリストファー・ノーランの『インセプション』も、やっていることはちょっと違うけど、同じような要素を含む映画なので、だから好きになったのかもしれない。意味が分からない映画と云う評価を良く聞くけど、複雑なストーリーを自分の頭の中で解体し、ジグソーパズルのように繋ぎ合わせて行く時の心地よさが分かれば、映画の面白さがわかるはずなんだけど。まあ、そういうことは面倒くさいのかもしれない。今の時代、単純なストーリーテリングの映画しか求められてないのかなあ。テレビドラマの映画化作品を観るような人たちに、オーソン・ウェルズの『市民ケーン』あたりも観て欲しいけど。

 2010年09月19日
 夜半歌聲
Posted by ag at 23:59/ カテゴリー: MOVIE_Database

夜半歌聲監督:馬徐維邦
出演:金山、胡萍、施超、許曼麗
制作:中国/1937
URL:
場所:カナザワ映画祭、シネモンド

戦前の中国映画を観る機会がそうざらにあることではないので、自分にとってのカナザワ映画祭最終日の夜に、疲れてる体にむち打って無理矢理観てしまった。でもやっぱり辛かった。もう眠くて、朦朧として画面を眺めているだけだった。たぶん、半分意識を失っていたから想像にすぎないけど、映画の出来もそんなに良くなかったじゃないかな。中国版「オペラ座の怪人」がダラダラと画面を通り過ぎて行った。

そんなことよりも、映画が始まるまで時間があったので、近くのスターバックスでまったりしていた時に、高橋ヨシキ氏と宇多丸氏を含む一団がやって来たのはビックリした。次の日(20日)にカナザワ映画祭のイベントとして二人のトークショがあるので、たぶん前乗りしたんじゃないかとおもう。柳下毅一郎氏とも同じホテルに泊まっていたようで、朝のホテルの朝食で氏を見かけたのに続いてのこの遭遇だった。で、さらに、時間が来たのでシネモンドまで来ると、まるで一緒にやって来たかのごとく彼の一団もやって来たのはまたビックリ。結局、一緒に『夜半歌聲』を観る事になったことが、自分にとってのこの映画祭の締めくくりのイベントとなった。

映写機トラブルの『シェラ・デ・コブレの幽霊』にはじまって、宇多丸で終わった映画祭でした。

 2010年09月18日
 空気の無くなる日
Posted by ag at 23:59/ カテゴリー: MOVIE_Database

空気の無くなる日監督:伊東寿恵男
出演:原緋紗子、花沢徳衛、田中筆子
制作:日本映画社/1949
URL:
場所:カナザワ映画祭、シネモンド

まったく知らなかったんだけど、岩倉政治による児童文学「空気のなくなる日」はそれなりに有名らしい。Wikipediaにも項目が立ってる。その映画化作品。

ストーリーは実話で、ハレー彗星が1910年に最接近した時の北陸のとある村が舞台。彗星によって地球の空気が吸い取られてしまうと云う噂を聞きつけた小学校校長が子供たちに息を止める訓練を始めたり、住民たちが空気を溜めて置くためのチューブを自転車屋に買い求めて殺到したりと大騒動。強欲な自転車屋はチューブの値段を異常に釣り上げ、買えるのは金持ちの地主だけ。お金のない農民たちは覚悟を決めてハレー彗星の接近を待つ…。

大騒動と云ってもオーソドックスな演出の映画で、セリフが控え目な割には人物の動きをカメラでしっかりと捉えているとても静かな映画。原作が児童文学者協会編『小学六年生 文学読本』に掲載されたのなら、映画も「演出方法の教科書」だった。

『怪談せむし男』の次にすぐさま、まったく違う、対極にあるようなこの映画を観るのは、ちょっと変な、云いようの無い気持ち良さがあった。このあたりがカナザワ映画祭のラインナップの素晴らしさなのかな。

 2010年09月18日
 怪談せむし男
Posted by ag at 23:36/ カテゴリー: MOVIE_Database

怪談せむし男監督:佐藤肇
出演:西村晃、楠侑子、加藤武、葉山葉子、江原真二郎、弓恵子、加藤和夫、春川ますみ、鈴木光枝、桑原幸子
制作:東映/1965
URL:
場所:カナザワ映画祭、シネモンド

佐藤肇監督と云えば『吸血鬼ゴケミドロ』なんだけど、今回のカナザワ映画祭では20日の午前中の上映で、残念ながら19日には帰らなければならず観る事が出来ない。なので、この『怪談せむし男』だけで我慢する。

『怪談せむし男』と云うタイトルだけから判断すると、もっとフリーク系の怖さを強調する作品ではないかと思ったけど、どちらかと云えばジョン・ハフ監督の『ヘルハウス』(1973)のような、家に取り憑いた怨霊の映画だった。西村晃が演じるせむし男は、その家の怨霊に服従する使用人のような立場の人間で、ちょっと見た目、『ロッキー・ホラー・ショー』のリフ・ラフのような存在。

映画としては、ストーリーが少し複雑な上にちょっとエロ系なシーンもあったりして盛りだくさん過ぎ。もっとストレートに家に取り憑いた怨念だけを描けば良いんじゃないかと思ったりもするけど、でも、このような馬鹿馬鹿しいタイトルの映画をしっかりと撮っているのは凄い。楠侑子や葉山葉子や弓恵子の女優も良いし、鈴木光枝の怪演もスゲエ。西村晃よりも鈴木光枝のインパクトのほうが強かった。

 2010年09月17日
 シェラ・デ・コブレの幽霊
Posted by ag at 23:59/ カテゴリー: MOVIE_Database

シェラ・デ・コブレの幽霊監督:ジョセフ・ステファノ、ロバート・スティーヴンス
出演:マーティン・ランドー、ダイアン・ベイカー、ジュディス・アンダーソン、レナード・ストーン
原題:The Ghost of Sierra de Cobre(The Haunted)
制作:アメリカ/1964
URL:
場所:カナザワ映画祭、本多の森公園

『シェラ・デ・コブレの幽霊』は、ホラーもののテレビシリーズ『The Haunted』のパイロット・フィルムとして1964(1965?)年に制作されたテレビ映画なんだけど、その内容があまりにも怖すぎると云う理由からお蔵入りとなってしまったいわく付きの映画。でも海外にはフィルムの貸し出しが行われていて、日本では1967年8月20日の日曜洋画劇場でテレビ放映されて20%近い高視聴率を記録したらしい。しかしその後、この映画のフィルムは行方不明となってしまって、怖すぎてお蔵入り、と云う強烈な逸話とともに誰の目に触れることがなくなってしまった。

ところが、そんな幻のフィルムを日本の映画評論家の添野知生さんが海外のネットオークションで手に入れたことから、日本でも時々上映会が開催されるようになった。怖すぎてお蔵入り、と云われた上に、なかなか観ることのできない映画と云われると、何をおいても観たくなってしまうと云うのが映画ファンの心情。2007年のカナザワ映画祭には行けなかったけど、今年もまた上映すると云うので、もう居ても立ってもいられなくなってしまった。

で、東京からわざわざ『シェラ・デ・コブレの幽霊』を観るためだけにカナザワ映画祭に駆けつけてしまった。もしかしたら満員で観られないんじゃないかとの恐怖から、野外上映が決定した午後5時には会場である本多の森公園に真っ先に行って場所取りまでしてしまった。期待と不安の入り交じった感情を抱えつつ3時間。ついに午後8時となった! 主催者の小野寺生哉さんがスクリーン前に登場し、さらに添野知生さんも登場していやが上にも映画を観る気分が盛り上がる。さあ、上映開始だ。

シェラ・デ・コブレの幽霊

シェラ・デ・コブレの幽霊


と思ったら、原因不明の映写機トラブル。スクリーンには青い光が映し出されたまま、うんともすんとも。すぐさま上映開始を8時半まで延ばさせてくれとのアナウンス。まあ、30分くらいの遅れは全然問題ないすよ。なにせ、東京から6時間くらいかけて来たのだから。

30分なんて時間はあっと云う間に経ち、お約束の8時半になった。さあ、ついに上映開始か! と思ったら、またトラブル。テストのフィルムは上映できるけど、『シェラ・デ・コブレの幽霊』のフィルムをかけた途端に映写機が動かなくなるんだとか。何それ? 呪われたフィルムという演出? 

シェラ・デ・コブレの幽霊
テストのフィルムはちゃんと上映できる!

そんなこんなで、ついに8時40分くらいに映写開始! 拍手喝采! と思ったら何かおかしい! 絵が逆さの上に反転してる。なんだこりゃ? 前回の上映会の時にフィルムを逆に巻き戻したのか? さらに、さらに、上映がはじまったと思ったらサウンドだけ早回しなんてこともあった。この時の音声がやたらと奇妙で気持ち悪く、これが延々と続く映画だったとしたら、これは本当に怖すぎる映画だったかもしれない。

それで、午後9時くらいにやっと始まった。今度は、天地もあってるし、反転もしていない。音声も正常だ。映画のタイトルもちゃんと出て、マーティン・ランドーも登場! ああ、やっと観る事が出来る! と思ったのはバカなあさはかな考え。またストップだ! あああああ。ううううううう。もうこのまま観る事が出来ないのではないか。このまま観られないほうが良いのではないか。

この時点でついに、主催者側はこの映写機はダメだと最終的な判断を下したらしい。もう一台を用意するとのアナウンス。え〜〜、だったら最初から用意しておけば良かったじゃん。

さあ、新しい映写機が用意されて、ついに上映がはじまるのか? 時間はもう9時半だ。

はじまった! ついにはじまった! 絵も正常、音も正常、字幕も、ちょっと遅れ気味だけど、正常。もう映画がはじまっただけで感動!

という顛末でした。今考えると、こんなトラブルも楽しかった。観られたんだからまったく文句なし。イベントのトラブルの苦労は良く知っているので、まあ、最初から主催者を非難する気は毛頭なかったけど。

で、映画自体は面白かったのか? そんなに怖かったのか? ということだけど。う〜ん。今観ると、怖くはないです。日本人の感覚で観ると、たぶん、当時もそんなに怖くはなかったのではないのかなあ。当時のアメリカ人にとっては怖かったのかもしれないけど。映像としては、この映画の監督のジョセフ・ステファノがヒッチコックの『サイコ』の脚本を書いてることからか、俯瞰から人物を捉える映像や、ナイフを振り上げるシーンなど、『サイコ』を彷彿とさせるところが多かった。

シェラ・デ・コブレの幽霊
これが問題の映写機だ!

※この顛末の時の実況中継はトゥギャッターで。

 2010年09月14日
 ヒックとドラゴン(3D吹き替え版)
Posted by ag at 23:18/ カテゴリー: MOVIE_Database

ヒックとドラゴン監督:ディーン・デュボア、クリス・サンダース
声:田谷隼、田中正彦、寿美菜子、岩崎ひろし、淺井孝行、宮里駿、南部雅一、村田志織
原題:How to Train Your Dragon
制作:アメリカ/2010
URL:http://www.hick-dragon.jp/
場所:ワーナー・マイカル・シネマズ板橋

当初はまったく観るつもりがなかったけど、Twitter上での評判が良いので観てみた。

まったく冴えない少年が、古くからの因習にとらわれない考え方を持つ事によって、周囲の人間とは違う力を身につけて行くというストーリーはさして目新しいものではなかった。それに、人間とドラゴンの共存を謳う部分には、どうしてもニューヨークのグランドゼロのモスク建設問題を連想したりして、ここでもキリスト教徒とイスラム教徒の共生の話しなのかとおもわざるを得なかった。子供向けに作られているとは言え、もう一ひねりあればいいのに。

観ていて楽しいし、飽きないし、悪くはない映画だけど、もう一つも二つも工夫あれば良かった。特に、ラスボス倒しの部分に関しては、あまりにもあっさりしすぎてた。ジェームス・キャメロンばりに、ラスボスのセカンド・エフォート、サード・エフォートがあれば良かったなあ。

ネットの評価に推されて期待しすぎてしまったのか。でも、まあ、週末に家族連れで楽しむには申し分ない映画です。

 2010年09月06日
 カラフル
Posted by ag at 23:45/ カテゴリー: MOVIE_Database

カラフル監督:原恵一
声:冨澤風斗、宮崎あおい、南明奈、まいける、入江甚儀、藤原啓治、中尾明慶、麻生久美子、高橋克実
制作:サンライズ/2010
URL:http://colorful-movie.jp/index.html
場所:ワーナー・マイカル・シネマズ板橋

まったく予備知識がなかったので、この映画が“天使もの”であることにちょっと嬉しいおどろきだった。なぜなら“天使もの”の映画が大好きだからだ。先日の『ぼくのエリ 200歳の少女』のような“ヴァンパイアもの”の映画と双璧をなす好きな映画のジャンルだ。いや、そんな事ないか。好きな映画はいつも事細かにジャンル分けしていて、それは多岐にわたってしまっている。“天使もの”や“ヴァンパイアもの”の他に、“クーデターもの”、“国境もの”、“政治もの”、“復讐もの”、“南部もの”などなど。まだまだいっぱいあるような気がするけど、今は思い出せない。

“天使もの”の映画と言えば、フランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』(1946)やウォーレン・ベイティ、バック・ヘンリー監督の『天国から来たチャンピン』(1978)など、どこか間抜けな、人間味のある天使が出て来る映画が多い。その天使のペーソスな活躍が“天使もの”映画の大きな特徴をなしている。この『カラフル』にもプラプラという名の変わった天使が出て来る。見た目は子供。話す言葉は大阪弁。服装はイギリスの寄宿学校のような制服。やたらと行動的で頭突きも食らわす。これはこれでなかなか強烈なキャラクターだ。で、やはり、このプラプラのキャラクターがこの映画の全体の色調を決定している。“自殺”や“家族崩壊”のような重いテーマを扱いながら、どっぷりと深刻な映画になる一歩手前でプラプラのキャラクターがそれを踏みとどませてる。そのバランスの良さが、この映画の心地良さだった。

まあ、このプラプラは、『素晴らしき哉、人生!』のヘンリー・トラヴァースや『天国から来たチャンピオン』のバック・ヘンリーのようなサブキャラクターというよりも、『オー!ゴッド』(1977)のジョージ・バーンズくらいにメインキャラクターだったけど。ジョージ・バーンズは“天使”じゃなくて“神”か。ラストで、プラプラ自身に自分の過去を語らせるにいたっては、自分の中の“天使もの”映画の基準から逸脱して、あまりにも天使にスポットライトがあたりすぎてはいたけれど。でも、いい映画です。最後のブルーハーツの「青空」のカバーも泣ける。

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