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 2010年11月19日
 クロッシング
Posted by ag at 23:49/ カテゴリー: MOVIE_Database

クロッシング監督:アントワーン・フークア
出演:リチャード・ギア、イーサン・ホーク、ドン・チードル、ウェズリー・スナイプス、ウィル・パットン、エレン・バーキン
原題:Brooklyn's Finest
制作:アメリカ/2009
URL:http://www.cross-ing.jp/
場所:新宿武蔵野館

1932年の映画『グランド・ホテル』が作られてから、登場人物たちのそれぞれのエピソードを時系列に同時並行して描く方法を“グランド・ホテル形式”と呼ぶようになって、今までに同じ形式の映画が数多く作られて来た。その多くは、登場人物たちの“悲”と“喜”のエピソードをバランスよく配置させて、全体的な映画のイメージとしてはペーソス感漂うものとなっていた。ところが、1991年のジョン・セイルズ監督『希望の街』あたりからか、どの登場人物のエピソードもどん詰まり、まったく行き場の無い閉塞感あふれる“グランド・ホテル形式”映画が作られるようになって来た。形式は“グランド・ホテル形式”だろうけれども、単純な情緒だけでは終わらせないような作りにのものが現れてきた。

この『クロッシング』は、同時並行に描くエピソードが3人に限られるので厳密に言うと“グランド・ホテル形式”では無いのだろうけど、追いつめられた人間たちのエピソードの羅列が2004年のポール・ハギス監督『クラッシュ』を連想させて、絶望“グランド・ホテル形式”とも呼べるジャンルに分類分けしたくなってしまう。さらに3人の職業が警官なので、まだ救いの残っていた『クラッシュ』とは違って絶望感だらけ。絶対的な正義を求められながらも、絶対的な正義などこの世に存在しないことから生まれる矛盾に苦しめられる警官たちを3つも平行して観せられたら、観終わったあとの気分は最低。映画としては良く出来てるし、たまにはこういう映画も良いのだろうけれど、仕事に疲れているような人が観る映画では絶対に無いよなあ。観ていて、カソリック教徒のイーサン・ホークと同じように、許しはもういらない! 助けて欲しいんだ! と一緒に叫ぶのが精一杯。日本人の場合は、許しが得られる場も無いんだけど。

 2010年11月12日
 私は二歳
Posted by ag at 23:54/ カテゴリー: MOVIE_Database

私は二歳監督:市川崑
出演:船越英二、山本富士子、鈴木博雄、浦辺粂子、京塚昌子、岸田今日子、渡辺美佐子、倉田マユミ、大辻伺郎、浜村純、夏木章、潮万太郎、中村メイコ(ナレーション)
制作:大映/1962
URL:
場所:シネマヴェーラ

それで、市川崑版『足にさわった女』に代わっての『私は二歳』。

赤ん坊が大人びてしゃべるナレーションをかぶせる映画は枚挙にいとまがない(パッとは『ベイビー・トーク』くらいしかおもいつかないのだけれど、たぶん多いだろうと云う予想で。フジテレビの夜中の番組とかもあるし)けど、この映画はそれが全編を通して展開されるわけではなくて、部分、部分だけだった。他の部分は、松田道雄の本が原作のとても真面目な子育て映画。悪くはないけど、中村メイコのナレーション以外は真面目すぎて、、それよりも昭和37年頃の東京が映し出されていて、その部分のほうがよっぽど興味深い。あんな団地に住んでいたんだなあ。浜村純のような小児科の医者もいたなあ。

こうして山本富士子を連続して観て、あれ、お富士さん(なんて云う風に彼女を呼んだことは一度もないが)はご健在だったっけ? とWikipediaを見たらまだ健在でした。最近、昔の俳優の訃報が連続しているけど、それはつまり映画黄金期から50年が過ぎようとしてるからで、これからも立て続けにニュースが流れることでしょう。山本富士子も79歳だからね。原節子にいたっては90歳だ!

 2010年11月12日
 黒い十人の女
Posted by ag at 23:26/ カテゴリー: MOVIE_Database

黒い十人の女監督:市川崑
出演:船越英二、岸恵子、山本富士子、宮城まり子、中村玉緒、岸田今日子、宇野良子、村井千恵子、有明マスミ、紺野ユカ、倉田マユミ、永井智雄、伊丹一三、大辻伺郎、浜村純、森山加代子、ハナ肇とクレージーキャッツ
制作:大映/1961
URL:
場所:シネマヴェーラ

『黒い十人の女』をテレビで見た時、ストーリーが進むにつれて何故かどんどんと眠くなってしまって、映画の半分近くを寝てしまった。今回はそのリベンジと云うことでシネマヴェーラの市川崑特集に行ってみた。

実を言うと、前もってこの12日にシネマヴェーラの市川崑特集を観に行くことに決めていて、それは市川崑版『足にさわった女』が上映されるからで、もう1本の『黒い十人の女』はオマケのようなものだった。ところが『足にさわった女』が急遽『私は二歳』に差し替えられてしまった。それでも当初の予定は変更せずに『黒い十人の女』へのリベンジと名目を変えて遂行することにしたのだった。

この『黒い十人の女』のスタイリッシュな映像やワイドスクリーンを広く使ったフレーム構図が自分の好みなのは間違いない。女優たちも素晴らしい。なのに、やっぱり映画の半分を過ぎたことから眠くなってしまった。なぜだろう? 芥川也寸志の気怠いジャズ調の音楽が原因なんだろうか。その音楽とともに展開される女たちの惰性と執着の混沌とした感情にまったく気持ちを同調できなかったためなのかな。そんなに好きでもない男を他の女との駆け引きだけで執心してしまう女たちが形作っている小さなコミュニティをのぞき見ている感覚は面白いとはおもうんだけど。

 2010年11月05日
 ナイト&デイ
Posted by ag at 23:02/ カテゴリー: MOVIE_Database

ナイト&デイ監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:トム・クルーズ、キャメロン・ディアス、ピーター・サースガード、ジョルディ・モリャ、ヴィオラ・デイヴィス、ポール・ダノ、マギー・グレイス、デイル・ダイ、セリア・ウエストン、マーク・ブルカス
原題:Knight and Day
制作:アメリカ/2010
URL:http://movies.foxjapan.com/knightandday/
場所:新宿ミラノ1

ジェームズ・マンゴールド監督の前作『3時10分、決断のとき』が良かったので次作も必ず観ようと心に決めていたのに、トム・クルーズとキャメロン・ディアスを前面に押し出したアクション・ムービーの宣伝に惑わされて、もう少しで見逃しそうになってしまった。なんとか監督名に気が付いて、映画が終わる前に観に行くことが出来た。

ジャンルとしては、ヒッチコック映画のような“巻き込まれ型”の映画。ケーリー・グラントやジェームズ・スチュアートのように事件に巻き込まれるのはキャメロン・ディアス。巻き込むほうはトム・クルーズ。列車の客席でのシーンがあったりするので、もろに『北北西に進路を取れ』を連想させてくれる映画だった。

ジェームズ・マンゴールド監督はその典型的な“巻き込まれ型”の映画を、ヒッチコックの時代ならばスクリーンプロセスしか使えなかったアクション部分をVFXを使って派手に演出して、シネコン時代の観客が観ても飽きないような映画にしている。中でも飛行機の不時着シーンやカーチェイスはものすごい迫力。凝ったストーリーではないけれども、ストレートに“巻き込まれ型”を展開させているのはとても小気味良い。

それに、ヒッチコックの「スイスには何があるか?」の教えを忠実に映画に反映させている。ヒッチコックは以下のように云う。

スイスにはミルクチョコレートがある。アルプスがある、古い村の踊りがある、湖がある。だから、こういったすべてのスイスらしい特色を生かして映画に織りこんでいくべきだ、とね。(「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」P93)

スペインには「牛追い祭り」がある! と云うことで、牛と並走しながらのバイク・シーンは、運転しているトム・クルーズの前にキャメロン・ディアスが向かい合って座ってマシンガンをぶっ放すと云うイメージを付加することによってさらに印象的なシーンに発展させている。

観終って何かが残ると云うたぐいの映画ではないけれど、気分を高揚させたい時に観る映画ならば、しっかりとした好い映画だった。

ag-n
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