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 2011年03月31日
 トゥルー・グリット
Posted by ag at 23:15/ カテゴリー: MOVIE_Database

トゥルー・グリット監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
出演:ヘイリー・スタインフェルド、ジェフ・ブリッジス、マット・デイモン、ジョシュ・ブローリン、バリー・ペッパー
原題:True Grit
制作:アメリカ/2010
URL:http://www.truegritmovie.com/intl/jp/
場所:新宿武蔵野館

映画を観に行く時、なるべくその映画の事前情報を得ないようにしている。もちろんこの情報化時代に完全な遮断は無理なので来るものは拒まないけど積極的な情報詮索はしないようにしている。そのほうがストーリーの設定ひとつひとつにも新鮮な驚きがあって、映画をより楽しめるとおもうからだ。この『トゥルー・グリット』もアカデミー賞授賞式の時に得た情報、女の子が主人公の西部劇、ジェフ・ブリッジスが女の子を助ける、くらいのことしか頭に入れないで映画を観に行った。

映画を観始めてから1/3を過ぎたあたりで、あれ? とおもいはじめた。これって、ヘンリー・ハサウェイ監督が1969年に撮った『勇気ある追跡』とそっくりじゃないか、と。そっくりどころじゃない、ジェフ・ブリッジスのアイパッチを着けた保安官なんて、ジョン・ウェインのそれと何一つ変わらないじゃないか、と。細かいことは忘れていたけど、考えてみたらストーリーや舞台設定もまるっきり同じじゃないか、と。

家に帰ってからネットで調べてみると、ああやっぱり! 『トゥルー・グリット』は『勇気ある追跡』のリメイクであると大々的に謳っていた。それ以前に『勇気ある追跡』の原題は“True Grit”だったのだ。だから、その知識さえあれば映画の題名を聞いただけでリメイクとわかるくらいの公明正大な事前情報だったのだ。でも、事前にリメイクであるという情報を得てから観るよりも、知らないで観た方が絶対に楽しめたとおもう。映画を観て行くうちに、ジェフ・ブリッジスの顔が知らず知らずにジョン・ウェインとオーヴァーラップして行くさまなんて映画を観る上での興奮以外のなにものでもなかった。

この『トゥルー・グリット』はよくある復讐を描く西部劇なわけだけど、男二人と女一人の三角関係を描く西部劇は数あれど、大人の女性の部分を少女に置き換えることで不思議な三角関係を形成している部分は面白い。ヘイリー・スタインフェルドに対するジェフ・ブリッジスに父性的な意味合いを持たせているのかと云うとそれほどでもなく、じゃあ、少女の成長物語をサポートする大人たちの話しなのかと云うとそうでもない。どちらかと云うとジェフ・ブリッジスとマット・デイモンのほうに少年を見たりする。ヘイリー・スタインフェルドに母性的な大人の女性を見たりする。この関係性が複雑に絡み合っている。

そして、目的が同じの三人が緩い関係で結ばれたまま進んで行くストーリーは、少女が復讐を果たすことによってドラマのクライマックスを迎えるのかとおもえば、その結果起こるハプニングで突然に三人の関係性が密接に結びつく。ここの、微妙にメインのストーリーラインからクライマックスを“外し”てくる部分がコーエン兄弟っぽい。

ただ、ラストのジョン・フォードの『リバティバランスを射った男』のような西部の伝説話でしめくくるのはちょっとセンチメンタルな『タイタニック』系映画と同列に並んでしまったようでコーエン兄弟っぽくはなかったかな。

 2011年03月23日
 森聞き
Posted by ag at 23:11/ カテゴリー: MOVIE_Database

森聞き監督:柴田昌平
出演:長谷川力雄、椎葉クニ子、小林亀清、杉本充、大浦栄二、中山きくの、河合和香、井村健人、大浦浩
制作:プロダクション・エイシア/2011
URL:http://www.asia-documentary.com/morikiki/
場所:ポレポレ東中野

『森聞き』と云うタイトルだけを聞いても何のドキュメンタリー映画なのかわかりにくいところが難なんだけど、森と共に生活を営んでいる人たちに対して4人の高校生たちが、その人の人生と培ってきた技を聞き書きすることを意味する“森聞き”は思ったよりも面白かった。最初にその内容を聞いた時は、ちょっと地味かな、とはおもったのだけれど、ああやっぱり柴田昌平監督の視点は絶妙だった。4人の高校生たちそれぞれに割り当てられる時間はそんなに多くないのにしっかりと各人の個性が浮かび上がっていた。

それに、さらにこの映画を興味深くさせたのは、やっぱり震災後に観た初めての映画と云うこともあるんだとおもう。今回の震災は、東京ではその地震そのものよりも、その後に起きた原発事故、放射能汚染、停電に、そしてそれに関連したTwitterでの俄科学評論家たちによる最悪のシナリオと最良のシナリオのガチンコ勝負を自分の中でどうやって情報フィルタリングするのか苦労した結果、へろへろに疲れ果ててしまった。そんな精神状態でこの映画を観れば、取り立てて環境問題を訴えかけているドキュメンタリーではないのに、ああ、どうして自分たちは無駄な電気消費の上での生活に何の考えもなしに安閑としていたんだろうと反省することしきり。

映画の冒頭で高校生の一人、河合和香さんが云う。「いま世界が変わる時期に来ていると思う」。まさに、これほどのタイミングで云われてしまったら、もうあとは実行に移すのみ。

 2011年03月04日
 素晴らしき哉、人生!
Posted by ag at 22:51/ カテゴリー: MOVIE_Database

素晴らしき哉、人生!監督:フランク・キャプラ
出演:ジェームズ・ステュアート、ドナ・リード、ライオネル・バリモア、ヘンリー・トラヴァース、トーマス・ミッチェル
原題:It's a Wonderful Life
制作:アメリカ/1946
URL:
場所:TOHOシネマズ六本木

フランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』が好きだと云っても、今までにビデオ、レーザーディスク、DVD、iPadでしか見たことがなかった。ここはやっぱり一度はスクリーンで観なければと“午前十時の映画祭”へ行くことに決めたのは良いけれど、午前10時に六本木へ行くのが面倒くさくて躊躇していたらいつの間にかに最終日。でも、TOHOシネマズ六本木のスケジュールをよくよく見てみると、この映画祭、どうやら人気があるらしくて、午前10時の回だけではなく、なんとこの日は合計5回もの上映があった。とい云うことで、またまた最終日に滑り込み。

LillianRandolph.jpgもう何度も見ているのでストーリーうんぬんよりも、やたらとディテールにばっかり目が行ってしまう。今回は、ジェームズ・ステュアートのベイリー一家のメイドを務めているリリアン・ランドルフになんとなく目が向いてしまう。1930年代や40年代の映画には、このリリアン・ランドルフのような雰囲気の黒人メイドが良く登場したからだ。皮肉屋で、子供の躾けに厳しく、口さがない。でも愛らしくて憎めない。そんなメイドが昔のハリウッド映画には良く登場していた気がする。ぱっと思いつく限りでは『風と共に去りぬ』のハティ・マクダニエルあたりかな。もっと大勢いたような気がするけどすぐにはおもいつかない。

今年の第83回アカデミー賞授賞式で、昨年亡くなった黒人女優の先駆者リナ・ホーンにスポットライトが当てられていた。とは云え、やはりハリウッドでの黒人女優と云えばリリアン・ランドルフのようなメイド役を演った脇役女優の存在を抜きにしては絶対に語れない。まあ、昔のハリウッドでは、黒人俳優にはそのような端役しか与えられなかった差別的な状況が存在してたわけで、実力があるのにそんな小さな役しか回って来なかった残念な映画史があったわけだけれども、でも、映画を観ながらその部分を悲しむより、そんな狭い枠組みの中であったとしてもめちゃくちゃ輝いていた彼女たちを楽しむほうが断然良いに決まっている。これを機に、ハティ・マクダニエルやリリアン・ランドルフの他にどんな黒人メイド女優がいたのかもうちょっとちゃんと調べてみよう。

 2011年03月02日
 冷たい熱帯魚
Posted by ag at 23:52/ カテゴリー: MOVIE_Database

冷たい熱帯魚監督:園子温
出演:吹越満、でんでん、黒沢あすか、神楽坂恵、梶原ひかり、渡辺哲、諏訪太朗
制作:日活/2010
URL:http://www.coldfish.jp/index.html
場所:テアトル新宿

評判になっていた園子温監督の『愛のむきだし』をDVDレンタルで借りようとはおもっていたのだけれど、なぜかいつもタイミングが悪く貸し出し中で、いやそれ以前に置いてないところもあったりして、結局は見られずに新作の『冷たい熱帯魚』を観ることになってしまった。なので、園子温監督の映画を観るのはこれが初。

観る以前の情報から判断して、なんとなく園子温監督の強烈なスタイルは想像していたのだけれど、おお、なるほど、うわさ通りだった。映画の中の、でんでんの役どころの人物が、周りを巻き込んで蹴散らしながら疾走するストーリーは痛快でもあり、年少時のトラウマから来ているとおもわせるような死に際のセリフは滑稽でもあり、社会常識や自我によって抑圧されていては“生”を謳歌することはできねえんだよ! には当てられっぱなしだった。

人間の本質としてのイヤらしさをあからさまに押し出すスタイルの映画を立て続けに観せられては消化不良を起こしちゃうけど、たまに観るぶんにはイイね。『愛のむきだし』も見てみなければ。

ag-n
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