ag can wait
« ブンミおじさんの森 | メイン | アレクセイと泉 »
 2011年05月02日
 ショージとタカオ
Posted by ag at 23:26/ カテゴリー: MOVIE_Database

ショージとタカオ監督:井手洋子
出演:桜井昌司、杉山卓男
制作:「ショージとタカオ」上映委員会/2010
URL:http://shojitakao.web.fc2.com/
場所:K's cinema

1967年8月28日に起きた布川事件と呼ばれる強盗殺人事件の犯人とされたショージ(桜井昌司)とタカオ(杉山卓男)を追ったドキュメンタリー。

やってもいない殺人事件の犯人にされて30年も刑務所にいると人はどうなってしまうんだろう。傲慢な検察に対する恨みは計り知れないだろうし、そんな検察の横暴を認めている裁判制度や、さらには国にさえにも怒りに充ち満ちた人間となってしまうんだろうか。それとも、そんな境遇に身を置くことになったのは自分の行動に非があるではないかと自分自身を責め立てるような自己内省的な人間となってしまうんだろうか。なんて二者択一の人物を想像して映画を観てみると、そこに登場した人物はひょうひょうとした、そこらへんにいるような普通のおじさんだった。言葉では検察の暴挙を責め立てながらも明るくお喋りなショージと、それに反して喜怒哀楽の表情をあまり見せない几帳面なタカオの対照的な二人が繰り広げる、現状の境遇に対していかに生きて行くべきかの、ペーソスあふれる生活者ドキュメンタリーだった。冤罪と云うキーワードが大前提にはあるものの、それをちょっと脇に置いておけば、誰もがあてはまる今の社会への足掻きみたいなものが描かれている映画だった。

ドキュメンタリーって、おそらく大きな枠組みを見据えて撮り始めるんだろうけど、それが今回は冤罪なわけだけど、撮っている内にその対象物に引っ張られていつしか思惑とは違う様相を呈して行くところが面白い。この映画は完全に二人のキャラクターに引っ張られている。冤罪を追うドキュメンタリーを撮りながら、いつしか人間そのもののドキュメンタリーになっていた。そこが面白かった。

ag-n
青空文庫
青空ニュース
カテゴリー
月別アーカイブ