8月の家族たち

監督:ジョン・ウェルズ
出演:メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、ユアン・マクレガー、クリス・クーパー、アビゲイル・ブレスリン、ベネディクト・カンバーバッチ、ジュリエット・ルイス、マーゴ・マーティンデイル、ダーモット・マローニー、ジュリアン・ニコルソン 、ミスティ・アップハム、サム・シェパード
原題:August: Osage County
制作:アメリカ/2013
URL:http://august.asmik-ace.co.jp
場所:新宿武蔵野館

メリル・ストリープの映画である。メリル・ストリープの演技を楽しめば良いのである。それは見る前からわかっていたことなので、一生懸命にそこを楽しもうと努力したのだけれど、結局はダメだった。女優としてのメリル・ストリープの素晴らしさにケチをつける気はこれっぽちも無いけど、さすがにここまで来るとメリル・ストリープの演技の巧さに辟易してしまう。そしてその演技に対抗するようなジュリア・ロバーツにも辟易してしまった。つまり、すべてがメリル・ストリープと云うブラックホールに吸い込まれてしまって、何もかもがメリル・ストリープ印になってしまうほどにメリル・ストリープの映画になってしまうのだ。

唯一、それに抵抗する勢力として、光っていたのがジュリア・ロバーツの妹役を演じたジュリアン・ニコルソンだった。グイグイと、前へ前へと演技の巧さを押し出してくる女優ばかりの中では、かえって静かな演技のジュリアン・ニコルソンのほうが引き立ってしまうと云う面白さ。アカデミー助演女優賞のノミネートはジュリア・ロバーツではなくてジュリアン・ニコルソンのほうだったんじゃないのか。

メリル・ストリープの映画は、もうスパイク・ジョーンズあたりに『マルコヴィッチの穴』のようなメリル・ストリープ自身の映画を撮ってもらったらどうだろう。『ザ・メリル・ストリープ』と云うタイトルにでもして。

→ジョン・ウェルズ→メリル・ストリープ→アメリカ/2013→新宿武蔵野館→★★★