今年、映画館で観た映画は、昨年よりもさらに少なくなって34本。
コロナとは関係なくモチベーションの問題で、映画館に足を運ぶ機会が減っていくんじゃないかと危惧してきた。

それで、良かった映画は以下の通り。

聖なる犯罪者(ヤン・コマサ)
ノマドランド(クロエ・ジャオ)
ファーザー(フローリアン・ゼレール)
アメリカン・ユートピア(スパイク・リー)
プロミシング・ヤング・ウーマン(エメラルド・フェネル)
ドライブ・マイ・カー(濱口竜介)
最後の決闘裁判(リドリー・スコット)
ボストン市庁舎(フレデリック・ワイズマン)

で、Netflixで良かった作品は、なんと云っても「クイーンズ・ギャンビット」(スコット・フランク)。
アニャ・テイラー=ジョイの瞳に吸い込まれる一年だった。

監督:ラナ・ウォシャウスキー
出演:キアヌ・リーブス、キャリー=アン・モス、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、ニール・パトリック・ハリス、ジェイダ・ピンケット・スミス、ジェシカ・ヘンウィック、ジョナサン・グロフ、ジェイダ・ピンケット・スミス、プリヤンカー・チョープラー・ジョナス、クリスティーナ・リッチ
原題:The Matrix Resurrections
制作:アメリカ/2021
URL:https://wwws.warnerbros.co.jp/matrix-movie/
場所:Movixさいたま

ウォシャウスキー兄弟(今は姉妹)の最初の『マトリックス』(1999年)は衝撃的だった。タランティーノとはまた違った角度からの彼らのオタク趣味満載の世界観は、キアヌ・リーブスがのけぞって弾丸をよけるシーンが代表されるようにそのビジュアルイメージも斬新で、ハードなSFでありながらも誰もが楽しめる歴史的な映画に仕上がっていた。

それから『マトリックス リローデッド』『マトリックス レボリューション』(2003年)が作られて、そして4作目の『マトリックス レザレクションズ』が3作目から18年も経って今年公開された。

『マトリックス レザレクションズ』を観るにあたって、過去の作品をおさらいしておこうかともおもったのだけれど、なんだか面倒くさくなって、まあ、どうにかなるだろうと、復習もせずに観に行ってしまった。

いやあ、どうにもならなかった。ストーリーは、おぼろげながらにしか理解できなかった。

で、家に帰ってからネットでストーリーを復習すると、過去の全3作をおさらいしてから観に行ったとしても、おそらく理解するのは不可能だったのかもしれなかった。それだけ、『マトリックス レボリューション』からのストーリーを無理やりこねくり回した結果のように見えてしまった。もう「マトリックス」シリーズは、いらないんじゃないの? とおもう反面、さらにこねくり回すことこそがラナ・ウォシャウスキーの本領発揮だともおもえるし、うーん、複雑。

とにかく、過去の3作品をこれから見返してみようとおもう。

→ラナ・ウォシャウスキー→キアヌ・リーブス→アメリカ/2021→★★★

監督:エドガー・ライト
出演:トーマシン・マッケンジー、アニャ・テイラー=ジョイ、マット・スミス、ダイアナ・リグ、リタ・トゥシンハム、マイケル・アジャオ、シノヴェ・カールセン、テレンス・スタンプ
原題:Last Night In Soho
制作:イギリス/2021
URL:https://lnis.jp
場所:Movixさいたま

あれ? エドガー・ライトの新作が来ている! と、なんの知識も入れずにあわてて『ラストナイト・イン・ソーホー』を映画館へ観に行ったら、ちょっと意外な60年代イギリスへの憧憬の情にあふれたサイコロジカルホラー映画だった。オープニングからピーター&ゴードンの「愛なき世界(A world Without Love) 」(1964年)が流れて、なんだかタランティーノっぽいなあ、とおもいながら観ていたら、途中から「クイーンズ・ギャンビット」のアニャ・テイラー=ジョイが出てきて、またすっかり彼女の瞳に吸い込まれてしまった。

アニャ・テイラー=ジョイの顔立ちは、オードリー・ヘップバーンが「ファニーフェイス」と云われていたころ(もちろんリアルタイムではない)をおもい出す風貌で、目が大きすぎて、両目が離れすぎているところのアンバランスさが、かえって彼女の美貌を引き立たせる結果になっていて、おもわずじーっと注視せざるを得ない女優だ。Netflixの「クイーンズ・ギャンビット」で彼女を見てからと云うものの、ふと目の大きい人形などを見たり、目の瞳を象徴させた広告を見たりするとアニャ・テイラー=ジョイの幻影が姿を表すようになってしまった。

そんなアニャ・テイラー=ジョイの濃いめの美貌はなんとなく60年代のイギリスにぴったりで、そこに『コレクター』(1965)や『世にも怪奇な物語』(1968)が印象的だった、やはり濃い! テレンス・スタンプとか、『女王陛下の007』(1969)のボンドガールだったダイアナ・リグをキャスティングしているところは、そこもまたタランティーノ風の60年代へのリスペクト満載の映画になっていた。

映画の体裁としてはサイコ的なホラーなんだけれど、どこかイギリス風のゴシックホラーも匂わせていて、ちょっとだけどジャック・クレイトンの『回転』(1961)をおもい出してしまった。最初にアニャ・テイラー=ジョイと云う女優を意識させた映画『ウィッチ』のイメージも兼ねると、彼女を使ってもっとゴリゴリのゴシックホラーを誰かが撮ってくれても良いのかもしれない。

と、いつもどおりエドガー・ライトの映画を十分に楽しむことができた。が、アニャ・テイラー=ジョイにばかり目が向いて、トーマシン・マッケンジーがすっかり霞んでしまった。だから最後のハッピーエンドも、めでたしめでたし、のような感覚にはまったくならなかった。ちょっとトーマシン・マッケンジーには可愛そうな役柄だった。

→エドガー・ライト→トーマシン・マッケンジー→イギリス/2021→★★★☆