監督:デヴィッド・リーチ
出演:ブラッド・ピット、ジョーイ・キング、アーロン・テイラー=ジョンソン、ブライアン・タイリー・ヘンリー、アンドリュー・小路、真田広之、マイケル・シャノン、サンドラ・ブロック、ベニート・A・マルティネス・オカシオ、ローガン・ラーマン、ザジー・ビーツ、マシ・オカ、福原かれん、チャニング・テイタム
原題:Bullet Train
制作:アメリカ/2022
URL:https://www.bullettrain-movie.jp
場所:109シネマズ木場

昨今のグローバルコンテンツ化の波に乗り遅れているのが日本の小説界で、外国語に翻訳された小説が海外で話題になるのは村上春樹ぐらいだろうとおもう。いわんや、ハリウッドで日本の小説が原作となる映画が作られるのはとてもまれだった。でも最近は、日本の小説を海外に売り込むエージェントが存在していて(https://www.asahi.com/articles/ASQ9864BYQ97UCVL00N.html)、伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」はアメリカで出版される前からハリウッドでの映画化が決まったそうだ。

その「マリアビートル」を映画化したのがデヴィッド・リーチ監督の『ブレット・トレイン』。小説での主人公の七尾を映画ではブラッド・ピットが演じていて、そのほか、ほとんどが欧米の俳優でキャストが固められている。舞台も「なんちゃって日本」になっていて、品川や米原、京都などの地名は出てはくるけれど、その景色は『ブレードランナー』に影響を受けているとしか考えられない、やたらと雨が降っていて、ネオンサインが綺麗な日本だった。

おそらくは伊坂幸太郎の小説でのプロットをそのまま2時間枠の映画に持ち込んでいるので、複数のストーリーラインが複雑に交わっているところを完全に理解するのはとても無理だった。でも、日本が舞台なんだなあ、と云うモチベーションだけで最後まで面白く観ることはできてしまった。

惜しいのは、もっと日本の俳優が出てくれればよかったのに、と云うことと、映画の中に出てくるアニメーションのキャラクターが、もうちょっと「ゆるキャラ」に寄せても良かったんじゃないの? と云う部分だった。新幹線(らしきもの)が米原に停車するので「ひこにゃん」を使えればベストだったのに。

→デヴィッド・リーチ→ブラッド・ピット→アメリカ/2022→★★★

監督:ギョーム・ブラック
出演:エリック・ナンチュアング、サリフ・シセ、エドゥアール・シュルピス、アスマ・メサウデンヌ、アナ・ブラゴジェビッチ、リュシー・ガロ、マルタン・メニエ、ニコラ・ピエトリ、セシル・フイエ、ジョルダン・レズギ、イリナ・ブラック・ラペルーザ、マリ=アンヌ・ゲラン
原題:A l’abordage
制作:フランス/2020
URL:https://www.minna-vacances.com
場所:ユーロスペース

エリック・ロメール監督の『緑の光線』(1986)は、若いフランス人にとっての夏のバカンスがどれほど重要なものなのかが痛いほどに伝わってくる映画だった。恋人と避暑地で過ごさなければならないと感じる強迫観念が異常に強くて、日本人にとっての夏休みと云うよりもどちらかと云えばクリスマスに近い感覚だった。

ギョーム・ブラック監督の『みんなのヴァカンス』を観て真っ先におもい出したのがその『緑の光線』だった。フランスの避暑地(南フランスのDie)での男と女のエピソードと云うことだけではなくて、俳優に長編映画初出演の学生たちを起用して、即興的に演出しているところもロメールの映画を想起させる部分だった。実際には即興演出ではなくて、

「俳優たちにシーン集(ステップアウトライン)を渡した。セリフは大半が間接話法で書かれている。多くは撮影に入る前、俳優たちの即興の会話を、私が録音してセリフをシーン集の中に書き加えた。だから、実際に撮っている時に即興はほとんどなくて、あらかじめ決めた上で撮影に入っている」
https://hitocinema.mainichi.jp/article/piea8uyf5w

と云うことだった。

ただ、女性目線の『緑の光線』とは違って、ちょっとぬけている感じの男三人組、フェリックス、シェリフ、エドゥアールのバカンス珍道中で、ロメールの映画に出てきそうな「めんどうくさい女」に対抗するクセの強い男たちと云う図式は少しコメディ色が強かった。ギョーム・ブラック監督は笑わせ方もツボを心得ているので、ロメール的で、笑えて、フランスの避暑地を満喫できる楽しい映画だった。

→ギョーム・ブラック→エリック・ナンチュアング→フランス/2020→★★★★