監督:ウェス・アンダーソン
出演:ベニチオ・デル・トロ、エイドリアン・ブロディ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン、ティモシー・シャラメ、レア・セドゥ、オーウェン・ウィルソン、マチュー・アマルリック、ジェフリー・ライト、リーヴ・シュレイバー、エドワード・ノートン、ウィレム・デフォー、トニー・レヴォロリ、クリストフ・ヴァルツ、シアーシャ・ローナン、ボブ・バラバン、ビル・マーレイ
原題:The French Dispatch of the Liberty, Kansas Evening Sun
制作:アメリカ/2021
URL:https://searchlightpictures.jp/movie/french_dispatch.html
場所:MOVIXさいたま

ウェス・アンダーソン監督の映画がどうしても苦手で、それはなぜなんだろうと、これまでにずっと考えてきた。たどり着いた結論としては、情報量の多い彼のスタイリッシュすぎる映像にいつも惑わされて、ストーリーがまったく頭に入ってこないところあるじゃないかとおもいはじめている。結果、彼のまるで寓話のようなストーリーにまったく面白みを感じることができなくて、最終的には映画に飽きてしまうことが多かった。

ところが今回の『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』は、ほんのちょっとだけ事情が違っていた。スタイリッシュすぎて、情報量が多すぎるところはまったくこれまでと違いがないのだけれど、映画の構成がまるで雑誌(アメリカの「ザ・ニューヨーカー」を手本としているらしい)のようなチャプター立てになっていて、ルポルタージュや風刺、エッセイと云ったものになぞらえたエピソードが、まるでページをめくるように出てくる部分にワクワクさせられてしまった。我々の世代にとって「雑誌」というものは、毎月ウキウキさせられるシロモノであったので、それをおもい出させてくれるところが今回の映画が面白く感じられる一番のポイントだった。

と云っても、それぞれのチャプターで語られているエピソードはやっぱり訳のわからないものが多くて、まあ、その訳のわからなさを楽しめるかどうかが、ウェス・アンダーソンを楽しめるかどうかの分岐点なんだろうなあ。

それにしても役者が豪華だった。シアーシャ・ローナンなんて、ほとんどエキストラだよ!

→ウェス・アンダーソン→ベニチオ・デル・トロ→アメリカ/2021→MOVIXさいたま→★★★☆

監督:リドリー・スコット
出演:レディー・ガガ、アダム・ドライバー、ジャレッド・レト、ジェレミー・アイアンズ、サルマ・ハエック、アル・パチーノ
原題:House of Gucci
制作:アメリカ/2021
URL:https://house-of-gucci.jp
場所:MOVIXさいたま

ファッションブランドとしてのグッチにまったく興味が無かったので、その創業者一族のストーリーがこれほど面白いものだとはまったく知らなかった。でも考えてみたら、同族会社の確執なんてものはよく起こるもので、日本でも最近の大塚家具とか、ちょっと前のロッテとか、西武グループの兄弟の対立とか、血が濃いからこそ起こる骨肉相食む醜態は傍から見ればこれほど面白いものはなかった。

イタリアのグッチ家の場合は、兄弟やその子供、従兄弟のあいだに起きた確執だけではなくて、マウリツィオ・グッチへ色仕掛けで近づいてきたパトリツィア・レッジアーニと云う、今までのイタリア映画でよく見てきたような、情熱的で自信家で弁舌が達者な女性の存在が、グッチのストーリーに大きなアクセントを加えていた。最終的にマウリツィオ・グッチへ「罰を与える」結果はあまりにも直情的な復讐劇なので、なんで今まで映画化されなかったんだろうとおもうぐらいに映画の題材としてぴったりだった。

リドリー・スコットの『ハウス・オブ・グッチ』は、映画の冒頭に「実話から着想を得たストーリー」と断りがあったように、パトリツィア・レッジアーニやパオロ・グッチの扱いに若干、事実とは違いがあった。でも、脚色はされていたものの、映画として2時間37分間に凝縮された同族会社が落ちていく顛末は、パトリツィア・レッジアーニのキャラクターとしてのパワーを借りて、ジェットコースターに乗っているように目まぐるしく展開していって、まったく飽きることはなかった。

でも、キャストとして一番目立ったのは、レディー・ガガでも、アダム・ドライバーでもなくて、グッチ一族のなかでも無能と烙印を押された(実際にはそんなことはない)パオロ・グッチを演じていたジャレッド・レトだった。キャストの情報をまったく入れてなかったので、映画を観ているあいだ、パオロ・グッチがジャレッド・レトだとはおもいもよらなかった。このひと誰だろう? 巧い人だなあ、と関心しながら観ていたら、ジャレッド・レトだった。それだけメイクに凝って、パオロ・グッチに似せていた。

『最後の決闘裁判』に続いてこの『ハウス・オブ・グッチ』を撮ったリドリー・スコット。なぜこんなに面白い映画を立て続けに撮れるんだろう? クリント・イーストウッドと云い、リドリー・スコットと云い、驚愕のジジイだ!

→リドリー・スコット→レディー・ガガ→アメリカ/2021→MOVIXさいたま→★★★★