監督:岩井俊二
出演:アイナ・ジ・エンド、松村北斗(SixTONES)、黒木華、広瀬すず、村上虹郎、松浦祐也、笠原秀幸、粗品(霜降り明星)、矢山花、七尾旅人、ロバート・キャンベル、大塚愛、安藤裕子、鈴木慶一、水越けいこ、江口洋介、吉瀬美智子、樋口真嗣、奥菜恵、浅田美代子、石井竜也、豊原功補、松本まりか、北村有起哉
制作:Kyrie Film Band/2023
URL:https://kyrie-movie.com
場所:109シネマズ菖蒲

岩井俊二の新作は元BiSHのアイナ・ジ・エンドを主役にした音楽映画(と云うことを前面に押し出している)。

BiSHの名前は聞いたことがあったけれど、そのメンバーの名前まではまったく知らなかった。だからはじめてこの映画でアイナ・ジ・エンドの歌を聞いた。その歌声はまるで泣きじゃくっているような強烈さがあって、たしかに、なかなかいい感じ。

でもストーリーは、まるで『花とアリス』のような女ふたりの不思議な友情の話しのようでもあるし、『リップヴァンウィンクルの花嫁』のような女性の彷徨の話しのようでもあるし、今までの岩井俊二ワールドの域から出ることは寸分もなかった。男が女の妊娠させてしまって、その扱いに苦慮するあたりは、あまりにも使い古されたシチュエーションすぎるので、そこに東日本大震災を絡めたりするあざとさも相まって、ちょっと鼻白んでしまった。まあ、だから、アイナ・ジ・エンドの歌声を聞く音楽映画であることを前面に出すことは正解だった。

あざとさで云えば、我々の世代にとってのオフコースの「さよなら」と久保田早紀の「異邦人」は、魂の曲と云えばいいのか、郷愁を感じさせる曲と云えばいいのか、曲が流れてくればおもわず口ずさんでしまうし、云いようもないおもいにもかられるし、それをアイナ・ジ・エンドの吐き出すような歌声で聞かされるとちょっと心揺さぶられてしまった。音楽のちからは偉大だ。

→岩井俊二→アイナ・ジ・エンド→Kyrie Film Band/2023→109シネマズ菖蒲→★★★☆