プリズナーズ

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
出演:ヒュー・ジャックマン、ジェイク・ギレンホール、ヴィオラ・デイヴィス、マリア・ベロ、テレンス・ハワード、メリッサ・レオ、ポール・ダノ、ディラン・ミネット、ゾーイ・ソウル、エリン・ゲラシモヴィッチ、ウェイン・デュヴァル、レン・キャリオー、デヴィッド・ダストマルチャン
原題:Prisoners
制作:アメリカ/2013
URL:http://prisoners.jp
場所:池袋シネマ・ロサ

ネットでは話題になっていたけど、なかなか重い腰が上げられず、ずっと先延ばしにしていたら今週で上映が終わりそうなので、よし今日は映画の日だから行こう! とやっと観に行った映画。今までの経験から、ぐずぐずと悩んだ末に、終了間際にやっと観た映画はなぜか傑作が多い。今回もそれに倣っていた。

長い映画の歴史の中でサスペンス映画は、あの手この手とすべてやり尽くされていて、今となってはあっと驚くような展開は望むべくもないとおもっていた。あったとしても無理やりの展開で、そりゃないよ、と云うものばかりだとおもっていた。でも、やはり、いろいろとやりようはあるんだなあ。この映画の犯人が暴れて行く展開はまったく読めなかった。それでいて無理な展開ではなく、とても納得の行く流れだった。

以下、ネタバレ。

映画を観に行くにあたって充分にキャストの予習をしておいたならば、たぶん、犯人はすぐにわかったのかもしれない。だってメリッサ・レオが、まるでメリッサ・レオに見えない扮装で老けたお婆さん役をやっているわけだから、すぐにこいつは怪しい、とわかったはずだ。でも、その予習をしていなかったので、まさかあの婆さんがメリッサ・レオとはおもえずに、誰か名の知れない役者がやっているとおもってしまってするりとマークを外してしまった。

ヒュー・ジャックマンがポール・ダノを犯人と断定して執拗に暴力を加えるさまは、もしこれがまったく事件と関係のない人間だったとしたならば、とても不快な結末を迎えることになったに違いない。そこを巧く回避しているだけではなく、知的障害のあるポール・ダノが事件と関係しているとおもわせるセリフを云ったり、替え歌を唄ったりするシーンも、常人離れした不可思議さと云った曖昧な解決策に頼る事なく、しっかりと事件と関係していることが明らかになる部分も感動的だった。

自宅の地下から死体(おそらくメリッサ・レオの夫?)が見つかる神父やボックスに蛇を飼っている男(模倣犯)などの登場も、単純に犯人じゃないかと云うおもわせぶりのキャラクターではなくて、「迷路」のシンボルを見せることによってすべてに繋がりがあることを明らかにするシーンもゾクゾクするほど巧かった。

ラストは、おそらく映画を見ている人のすべてが、ヒュー・ジャックマンの吹くホイッスルが聞こえて来ることを固唾を呑んで見守ったとおもう。そのような一体感が得られる映画としても素晴らしかった。

たぶん、今年の映画のベストに入ってくるとおもう。それほど完璧な映画だった。

→ドゥニ・ヴィルヌーヴ→ヒュー・ジャックマン→アメリカ/2013→池袋シネマ・ロサ→★★★★☆