セデック・バレ 第二部虹の橋

監督:ウェイ・ダーション(魏徳聖)
出演:リン・チンタイ(林慶台)、マー・ジーシアン(馬志翔)、ダーチン(大慶)、シュー・イーファン(徐詣帆)、スー・ダー(蘇達)、ルオ・メイリン(羅美玲)、ランディ・ウェン(温嵐)、ティエン・ジュン(田駿)、リン・ユアンジエ(林源傑)、安藤政信、河原さぶ、木村祐一、春田純一、ビビアン・スー(徐若瑄)、田中千絵
原題:賽德克·巴萊
制作:台湾/2011
URL:http://www.u-picc.com/seediqbale/
場所:吉祥寺バウスシアター

「第一部 太陽旗」はモーナ・ルダオを中心としたセデック族が暴動を起こすまでの経緯と「霧社」を占拠するまでを描いていたが、この「第二部 虹の橋」は彼らが少数ながら地の利を生かして必死の抵抗を試みるも最終的には日本軍によって鎮圧されるまでを描いている。だから、どちらかと云うと第二部はセデック族の勇猛果敢さと、反乱軍に加わらなかった一部のセデック族の葛藤が中心となっているので、第一部ほど当時の「日本」の非道な蛮行に身が縮むおもいもすることもなく、ちょっとしたアクション映画を観ているようだった。とは云え、主人公に感情移入すると当時に敵対する相手が日本人であると云う鬱屈は絶えず全編を通して支配していたのだけれども。

この映画のように対立の構図がはっきりしている映画の場合に、敵方の「善」をどのように描くのかはとても難しくて、ただ単に「日本人も悪人ばかりでない」を代表させている安藤政信の「小島源治」を見ると、日本人としてはその存在に安心感を得られると同時に、あまりにも取ってつけたような図式に鼻白んでしまうと云うか、もうちょっとクリント・イーストウッドが『許されざる者』で見せたような「善」と「悪」が混然となった状態にこそ人間の本質があるのではないかと改めて考えてしまう。映画のラストにテロップで流れる「小島源治」のその後の所業を予感させるような性格付けも安藤政信に必要ではなかったかとはおもう。

過去の日本がアジア諸国に行った所業を見せつけられるのはつらいけど、でも黒歴史ほど歴史好きを興奮させる要素はないんじゃないかとおもう。「霧社事件」と云うものをもっと知りたくなってしまった。

→ウェイ・ダーション(魏徳聖)→リン・チンタイ(林慶台)→台湾/2011→吉祥寺バウスシアター→★★★☆