監督:コラリー・ファルジャ
出演:デミ・ムーア、マーガレット・クアリー、デニス・クエイド、エドワード・ハミルトン=クラーク、ヤン・ビーン(声の出演)
原題:The Substance
制作:フランス、イギリス、アメリカ/2024
URL:https://gaga.ne.jp/substance/
場所:ユナイテッド・シネマ浦和

今年のアカデミー賞で話題になった作品の大トリとして、やっとコラリー・ファルジャ監督の『サブスタンス』を観る。

これだけ時間が経ってしまうと、どんな映画なのかポロポロと情報が入って来てしまうので、女性の老いに対する恐怖や美への執着を扱っているストーリーと云うことはもうわかってしまった。それにどうやらジョン・カーペンター『遊星からの物体X』(1982)でのロブ・ボッティンが作ったような特殊メイクのようなものも出てきて相当にエグイらしい、と云うこともわかってしまった。そのような情報を遮断して何も知らずにこの映画を観ていれば、その驚きだけでぶっ飛んだような気もする。

なので、映画のスジが予想した通りに展開してしまって、驚きも相当に半減してしまった。とは云っても、ラストに向かっての展開は凄かった。いや、これはしつこすぎる。ジェームズ・キャメロンのラストの畳み掛けも相当しつこいが、コラリー・ファルジャはやりすぎだ。自分の席から少し前で見ていた老夫婦は、このグチョグチョ、ゲロゲロのオンパレードを観て卒倒しなかったのだろうか。大きなお世話だけど。

デミ・ムーアが演じる往年の大女優エリザベス・スパークル(およびそのコピーであるマーガレット・クアリー演じるスー)が「サブスタンス」を繰り返した結果、スーの肉体に無数の臓器やエリザベスの顔などが貼り付いた見るに耐えかねない怪物「モンストロ・エリサスー」が誕生してしまう。その怪物の顔の位置にエリザベスのポスターから切り取った紙ペラの顔を申し訳程度に貼った「モンストロ・エリサスー」が、スーを待ち構えていた大勢のファンの人々の中を練り歩くシーンは、これはビリー・ワイルダー『サンセット大通り』(1950)のグロリア・スワンソンだな、とすかさず連想してしまった。いつまでも過去の栄光にすがりつくサイレント映画時代の大女優グロリア・スワンソンとデミ・ムーアが演じる過去の女優エリザベス・スパークル(残酷に云えばデミ・ムーア自身とも)重なるシーンで、おそらくコラリー・ファルジャ監督もそれを絶対に意識していたとおもう。

面白い映画だったけれど、ちょっとしつこくて胃がもたれてしまった。

→コラリー・ファルジャ→デミ・ムーア→フランス、イギリス、アメリカ/2024→ユナイテッド・シネマ浦和→★★★☆