監督:ジャレッド・ヘス
出演:ジェイソン・モモア(安元洋貴)、ジャック・ブラック(山寺宏一)、ダニエル・ブルックス(斉藤貴美子)、エマ・マイヤーズ(生見愛瑠)、セバスチャン・ハンセン(村瀬歩)、ジェニファー・クーリッジ(安達忍)
原題:A Minecraft Movie
制作:アメリカ/2025
URL:https://wwws.warnerbros.co.jp/minecraft-movie/
場所:MOVIXさいたま

Mojang Studiosのゲーム「Minecraft」の面白さは、序盤ではやはり鉄やダイヤモンドを掘り当てたときの快感だった。とくに鉄の鉱脈に行き当たったときのザクザク掘り当てる爽快感は格別で、アメジストの部屋に行き当たったときの目もくらむような美しさも忘れることができない。ところが、そのような成功体験を得るためには代償も必要で、ゾンビ(特に子どものゾンビ)やスケルトンやクリーパーに殺られる恐怖に打ち勝たなくてはならない。ちょっと気を抜いた隙にスケルトンの矢に滅多打ちにされたり、思わず空洞を掘り当てて墜落死してしまったりと、貴重な装備をすべてパアにしたときの絶望感は計り知れない。

ゲームを映画化するんだったら、そう云ったゲームの面白さ、辛さの核心部分を再現できていないとまったく意味がない。クリエティブなものを作ることへのリスペクトは、もちろんゲームの根底には存在しているけれど、それがメインとなるものではなくて、どちらかと云えば補助的な役回りに過ぎない。都市や装置やトラップを作る楽しさもあるけれど、ゲームの本筋は、序盤は地下深く掘ること、中盤は村人の交流と司書ガチャ、そしてネザーやトライアルチャンバーへと挑戦して進んでいくのがゲーム「Minecraft」だ。

ジャレッド・ヘス監督の『マインクラフト/ザ・ムービー』は、そのようなゲームの楽しさをまったく反映していない。「ロード・オブ・ザ・リング」の亜流のようなものが出来上がっているだけだった。そうだよなあ、露天掘りで鉄やダイヤモンドを見つけるだけのストーリーが面白いわけがない。ゲームの映画化は難しい。

→ジャレッド・ヘス→ジェイソン・モモア→アメリカ/2025→ MOVIXさいたま→★★

監督:ベリコ・ビダク
出演:アキ・カウリスマキ、ミカ・ラッティ、ミッコ・ミュッリラハティ、ペペ・トイッカ、スヴィ・ヴェサライネン、ミンナ・ノルドルンド、オウティ・オヤ、ユホ・ウーシヴィルタ、ユハニ・ウーシヴィルタ、サイモン・フセイン・アルバズーン、ジョヴァナ・ストヤノフスキ、トミ・トイヴォネン、スヴィ・カルカス、トミ・レイノ、ラウノ・マキネン、篠原敏武、ペルッティ・サルメンヨキ、ユッカ・サルミ、ヘッラ・ウルッポ
原題:Cinema Laika
制作:フランス、フィンランド/2023
URL:http://eurospace.co.jp/KinoLaika/
場所:OttO

2025年4月29日、さいたま市の大宮にもミニシアターが誕生した。「OttO」と云う名前の複合建物で、1階がカフェ、2階が映画館、3~5階がシェアハウスになっている。

さっそく行ってみようとおもってオープニング上映情報を見てみると、その中に『キノ・ライカ 小さな町の映画館』があった。フィンランドの映画監督のアキ・カウリスマキが、自分の故郷のカルッキラに映画館を建てるドキュメンタリーで、まさに今回観るにぴったりの映画だった。

実際に映画館に入ってみると、入口にカフェと映画館の共通のレジがあって、そこで観る映画を選ぶことができる。行った当日はまだアルバイトに手順を教えている段階で、指定席でありながら座席にバツ印を記入していくアナログな段取りは慣れないと大変そうだった。

その入口から半階くらいに降りたところにカフェがあって、半階ぐらい上がったところに映画館がある。映画館の座席数は47席(うち、車椅子スペース:1席分/ふたり掛けソファクッション席:4組(8名))で、親子観賞室も3席(大人と子ども2人1組で計6名ほど)ある。多い座席数ではないけれど、椅子はゆったりとしていて、とても居心地の良い空間になっている。スクリーンも大きくて、座席は階段状に配置されているのでとても観やすい。おもっていたよりも良い映画館になっていたのはとても嬉しい。

そんなこじんまりとした素敵なスペースで観る『キノ・ライカ 小さな町の映画館』は、この「OttO」を作った人たちの苦労ともシンクロしてしまって、普通に観るよりも倍以上、映画を楽しめたような気がした。アキ・カウリスマキの映画『ラヴィ・ド・ボエーム』のエンディングに流れる日本の曲「雪の降るまちを」を歌っている篠原敏武も出てきて、フィンランド人と日本人との似通った民族気質などもさりげなく垣間見られて、そんなところも映画に感情移入できる要素だった。

「OttO」の建物の前にはピックアップトラックのようなアメ車(クルマ好きに聞いたら初代シボレー・エルカミーノらしい)も展示されていて、アキ・カウリスマキがキャデラック好きなことから、それに合わせた映画館の装飾なのかな、とおもったら、上映後のOttO代表・今井さんの話によると偶然の一致だそうだ。

日曜の昼間の時間で、お客さんの入りは4割り程度だった。でも、もう一度来たいとおもわせるような素敵な映画館なので、口コミで広がればきっとリピーターは増えるとおもう。

→ベリコ・ビダク→アキ・カウリスマキ→フランス、フィンランド/2023→ OttO→★★★☆