監督:ジム・シェリダン
出演:ヴァネッサ・レッドグレイヴ 、ルーニー・マーラ、エリック・バ、テオ・ジェームズ、エイダン・ターナー、ジャック・レイナー、スーザン・リンチ、トム・ヴォーン=ローラー
原題:The Secret Scripture
制作:アイルランド/2016
URL:http://rose.ayapro.ne.jp
場所:新宿武蔵野館

考えてみると、第二次世界大戦時中のアイルランドの立ち位置をよく理解していなかった。もちろんアイルランドがイギリスと歩調を合わせるわけがなくて、かと云ってナチスドイツに組みするわけでもない。となると必然と中立な立場になってたはずだけど、なかにはナチスドイツへの反発からかイギリスの軍隊に入るアイルランド人もいたようだ。でも、そのようなイギリスに味方する人間に対して「裏切り者」と云うレッテルを貼ってリンチまで行うようなアイルランド人(アイルランド共和軍の人間)がいたことをうっかりと見落としていた。

ジム・シェリダン監督の『ローズの秘密の頁』は、伯母の家へ居候しにやってきたローズ(ルーニー・マーラ)がイギリス空軍に入隊した男に好意を寄せたことから始まった悲劇だった。この二人のあいだにアイルランド共和軍の人間たちが割って入り、さらに聖職者とはおもえないくらいに感情をあらわにする若いカソリックの神父が、プロテスタントであるローズに対して好意を寄せてしまうことから、まるでこの時期のアイルランドとイギリスの関係のような複雑な境遇がローズの人生に重くのしかかってしまう。そして、その入り乱れた人間模様の中で「重大な悲劇」が起きてしまう。

この映画は、精神病院に40年以上も入院している年老いたローズ(ヴァネッサ・レッドグレイヴ)のところに新しい精神科医が面会に来たことによって、彼女が歩んで来た過去が徐々に明らかになって行く形式をとっている。で、最後に、ローズが精神病院に入ることになってしまう「重大な悲劇」の真相が明らかになるんだけど、そこへの道筋がちょっと唐突すぎたような気もする。もうちょっと伏線があったら良かったのに。

→ジム・シェリダン→ヴァネッサ・レッドグレイヴ→アイルランド/2016→新宿武蔵野館→★★★