
監督:山田洋次
出演:倍賞千恵子、木村拓哉、蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、神野三鈴、イ・ジュニョン、マキタスポーツ、北山雅康、木村優来、小林稔侍、笹野高史
制作:映画「TOKYOタクシー」製作委員会/2025
URL:https://movies.shochiku.co.jp/tokyotaxi-movie/
場所:MOVIXさいたま
山田洋次も94歳になって、まだ映画を撮ることが出来るのか! の驚きをもって『TOKYOタクシー』を観に行った。そこには倍賞千恵子もいたし、北山雅康もいたし、柴又帝釈天も登場した。これが最後の映画になるなんじゃないかとのつもりで最後まで観た。
『TOKYOタクシー』は2022年のフランス映画『パリタクシー』(クリスチャン・カリオン監督)の舞台を日本に置き換えてリメイクした映画だった。個人タクシー運転手の宇佐美浩二(木村拓哉)は、高野すみれ(倍賞千恵子)という85歳の女性を東京の柴又から神奈川の葉山にある高齢者施設まで送ることになった。すみれにとって思い出となる都内の様々な場所に寄り道しつつ、二人は会話を重ねながら次第に打ち解けて行く。心を許したすみれは浩二に自分の壮絶な過去を話し始める。
山田洋次の映画が奇をてらったものになることはないだろうとゆるりと観た。そしておもった通りに、オーソドックスにストーリーが進んだので、まったりと映画を楽しむことができた。ただ、回想シーンでの若い頃の倍賞千恵子を蒼井優が演じていたのには違和感を持ってしまった。『男はつらいよ』でさくらを演じた若い頃の倍賞千恵子が頭の中で再生されつつ、蒼井優を見るのはあまりにもギャップが大きかった。若い倍賞千恵子をCGで出せとは云わないけれど、もうちょっと似た女優が欲しかった。それから、ギリギリで余裕のない生活を送っている個人タクシー運転手を木村拓哉が演るってのも、あまりにもイメージに合わない。だったらそこは吉岡秀隆でしょう。吉岡秀隆が貧乏くさいと云ってるわけではないけれど。いや、云ってるか。
ラストのオチは、おそらくそうなるんじゃないかと予想がついた。でも、そう云うオチにするにはあまりにも出来過ぎの感が否めないともおもった。なのに、やっぱりそうなったので、やっぱりそこも驚きのない映画だった。
新藤兼人は98歳で『一枚のハガキ』を撮った。マノエル・ド・オリヴェイラは105歳で『レステルの老人』を撮った。山田洋次もまだ行けるでしょう。
→山田洋次→倍賞千恵子→映画「TOKYOタクシー」製作委員会/2025→テMOVIXさいたま→★★★