
監督:李相日
出演:吉沢亮、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、森七菜、三浦貴大、見上愛、黒川想矢、越山敬達、永瀬正敏、嶋田久作、芹澤興人、宮澤エマ、中村鴈治郎、瀧内公美、田中泯、渡辺謙
制作:映画「国宝」製作委員会
URL:https://kokuhou-movie.com
場所:MOVIXさいたま
やっと李相日の『国宝』を観た。これだけ話題になっていて、しかも観た人からも「面白かった!」との絶賛報告を受けると、見る目がどんどんと鋭くなって評価も厳しくなってしまうのはいつものこと。今回も、たしかに面白かったのだけれど、長編小説を映画化する時のエピソードの整理の仕方が気になってしまった。
映画のラストで人間国宝となった花井東一郎(吉沢亮)が「鷺娘」を演じると云うことは、花井半二郎(渡辺謙)の弟子となって最初に観た演目である小野川万菊(田中泯)の「鷺娘」との繋がりを持たせているわけで、となると、原作小説では花井東一郎と小野川万菊との関係性がもっときめ細やかに描かれているんじゃないかと想像する。失踪した花井半弥(横浜流星)を救うのも小野川万菊であるし、花井半二郎が亡くなってからの三代目花井東一郎の凋落から手を差し伸べるのも小野川万菊であることから、この映画の一つのキーとなるのが小野川万菊であることは間違いない。なのに、あまりにも中途半端な小野川万菊の描き方に、これでは重要なものが抜け落ちているのではないか? とのおもいに駆られてしまった。
と云っても、小野川万菊との関わりのシーンを増やせば、完全に3時間超えの映画になることは間違いない。映画興行のことを考えれば3時間超えになることは避けたかったに違いない。そのあたりが難しい判断だった。
吉田修一の「国宝」を読まなければ。そこには花井東一郎と小野川万菊との関係についての記述が多くあるとおもう。その補完をすることによってもっと映画『国宝』を楽しめるはずだ。
→李相日→吉沢亮→映画「国宝」製作委員会→MOVIXさいたま→★★★☆