
監督:賈樟柯(ジャ・ジャンクー)
出演:趙濤(チャオ・タオ)、李竺斌(リー・チュウビン)、潘剑林(パン・ジアンリン)、周游(チョウ・ヨウ)
原題:風流一代 Caught by the Tides
制作:中国/2024
URL:https://www.bitters.co.jp/romantics/
場所:OttO
ジャ・ジャンクーの映画はいつもドキュメンタリーのように当時の中国の市井の人たちを写し入れる。彼らが歌ったり、踊ったりするするシーンを入れる場合もある。そのような中国人の生の生活をフィルムに収めながら、同時に俳優を使ったドラマを織り交ぜるバランスがとても面白い。
『新世紀ロマンティクス』は、ジャ・ジャンクーの過去の映画『青の稲妻』(2002)や『長江哀歌』(2006)などの本編映像や未使用映像、そして当時の地元の住民を捉えた映像を使用しながら、ジャ・ジャンクーの映画の主演女優をつとめてきたチャオ・タオのの24歳、29歳、45歳の姿と共に、変化していく中国の街の景色を映しだす。手法としては今までの映画と同じだけれど、どちらかと云うとドラマ部分は添え物で、2000年初頭から2022年のコロナ禍までの長い期間を通して大きく変化していった中国人たちの姿を、俳優のチャオ・タオやリー・チュウビンだけでなく、一般の人たちをも含めて見せることに主眼を置いている。
われわれ日本人の云う中国人とは、日本に住んでいる中国人や、旅行で日本に訪れている中国人のことを指していて、日本人とはちょっと違うアグレッシブさに辟易する場合も多い。でも、ジャ・ジャンクーの映画に出てくる奉節(フォンジェ)や山西省・汾陽(フェンヤン)や大同の人たちを見る限り、昭和の高度成長期のころの日本人のイメージに近い。『長江哀歌』で三峡ダム建設中の奉節を訪れたサンミンや『山河ノスタルジア』(2015)でチャオ・タオにふられるリャンズー(リャン・ジンドン)や、そしてこの『新世紀ロマンティクス』でのリー・チュウビンも、アグレッシブさを内に秘めているとはおもうけれど、どこか日本人と共通する奥ゆかしさが感じられて、とてもわれわれがイメージする中国人とは違う。
ワン・ビンのドキュメンタリー映画もそうだけれど、中国人を理解するには中国映画を観ることが一番だとおもう。となると、黒澤明や小津安二郎の映画が日本人を理解してもらうことにどれだけ役立っていたことか。今では日本のアニメーションも。国はもっとコンテンツ産業に投資しないと!
→賈樟柯(ジャ・ジャンクー)→趙濤(チャオ・タオ)→中国/2024→OttO→★★★☆