
監督:エドガー・ライト
出演:グレン・パウエル、ジョシュ・ブローリン、コールマン・ドミンゴ、マイケル・セラ、リー・ペイス、エミリア・ジョーンズ、ウィリアム・H・メイシー、ジェイミー・ローソン
原題:The Running Man
制作:アメリカ、イギリス/2025
URL:https://the-runningman-movie.jp
場所:MOVIXさいたま
1987年にアーノルド・シュワルツェネッガー主演、ポール・マイケル・グレイザー監督によって映画化された『バトルランナー』(原題:The Running Man)の再映画化。原作はリチャード・バックマン(スティーヴン・キングの別名義)。
『バトルランナー』は、当時のアーノルド・シュワルツェネッガーの人気にあやかっただけのアクション映画で、すべてがゆるゆるの緊迫感もないつまらない映画だった。ただ、凶悪犯を「ランナー」としてエリアに放ち、正義の「ストーカー」がそれを追って処刑する様子を生中継するテレビのリアリティ番組である設定だけは面白かった。
それをエドガー・ライトが2025年に再映画化するにあたって、当時の未来予測が恐ろしく的確だった部分と、今となっては時代遅れと感じてしまう部分とが混在しているところが面白かった。
今となっては古臭いと感じてしまった部分は、テレビ地上波(または衛星放送)の人気番組によって国家権力が大衆をコントロールできると設定しているところだった。YoutubeやNetfkixなどの配信系番組が数多くあって、さらに様々なSNSが氾濫している現在、国家権力がメディアを使って大衆の思考をある一定方向へ誘導させることはもう無理だとおもう。病気の娘を抱えたベン・リチャーズ(グレン・パウエル)がお金のためにテレビ番組「ランニング・マン」に出て報酬を得ようとする設定も、視聴者参加番組があまり無くなって、一時期よりもリアリティ番組の数も少なくなってしまった今、どこかズレていると感じてしまった。
1987年当時の未来予測(リチャード・バックマンの原作が書かれたのは1982年)として恐ろしく的確だった部分は、今となってはあたりまえの技術となったディープフェイクをフィーチャーしていたところだった。今回のエドガー・ライト版でもディープフェイクが大切な役割を持っていてベン・リチャーズを窮地に追い込む。ただ、ディープフェイクが誰でも使える簡単な技術になってしまったので、国家権力だけでなく反政府の抵抗勢力もディープフェイクを使える結果、どこに真実があるのか見抜くことがとても難しくなってしまった。つまり、体制に貶められたベン・リチャーズが国家の手先であるテレビプロデューサー、ダン・キリアン(ジョシュ・ブローリン)との決着を制したとしても、彼の正しさを証明する手立てもなく、1987年のポール・マイケル・グレイザー版のころに比べて単純な勧善懲悪の構図にすることの出来ない難しさがいまの時代には存在するようになってしまった。
エドガー・ライトはどうして『バトルランナー』を再映画化しようとしたんだろうなあ。とても難しい素材だったおもう。
→エドガー・ライト→グレン・パウエル→アメリカ、イギリス/2025→MOVIXさいたま→★★★☆