白鯨との闘い

監督:ロン・ハワード
出演:クリス・ヘムズワース、ベンジャミン・ウォーカー、キリアン・マーフィー、トム・ホランド、ブレンダン・グリーソン、ベン・ウィショー、ミシェル・フェアリー、フランク・ディレイン、ポール・アンダーソン
原題:In the Heart of the Sea
制作:アメリカ/2015
URL:http://wwws.warnerbros.co.jp/hakugeimovie/
場所:109シネマズ木場

原題の「In the Heart of the Sea」の邦題を「白鯨のいた海」から「白鯨との闘い」に変更したのは、この映画のアクションの要素をなるべく強調しようとした魂胆が配給会社の宣伝部にあって、なぜアクションの要素が強いと映画がヒットする可能性が高くなると配給会社がおもうのかはよくわからないのだけれど、とにかくハーマン・メルヴィルの小説「白鯨」を知らなくとも「白鯨」との闘いがメインとなるようなアクション映画であることを印象づけようとした結果のタイトルだったとおもう。

ただ、それを鵜呑みにして映画を観に行くと、あれ? になる。たしかに「白鯨」との闘いは出てくる。CGを使った迫力のあるアクションシーンだ。でも、この映画はそれがメインではなく、「白鯨」によって沈没させられた捕鯨船エセックス号の乗組員がいかにして過酷な漂流から帰還するのかがポイントとなる映画だった。「白鯨との闘い」のイメージで映画を見てしまうと、そしてジョン・ヒューストン監督の1956年の映画『白鯨』を想像しながら見てしまうとまるっきり腰砕けになってしまう。どちらかと云うとアクション映画ではなくて、サバイバル系の映画だった。

映画の後半は海を漂流する乗組員の生き残るためのサバイバル生活が中心となって、人肉を喰うことがストーリーの中心となって行く。が、その描写が中途半端なので、アクションを見るつもりだった「腹」は収まりきらない。ああ、少なくとも、『ゾンビ』ばりの人肉がぶりつき描写が欲しかった、とおもってしまうほど、高揚した気持ちの落ち着きどころがなくなってしまった。

邦題は「ハート・オブ・ザ・シー」で良かった。

→ロン・ハワード→クリス・ヘムズワース→アメリカ/2015→109シネマズ木場→★★★