シン・ゴジラ(IMAX)

監督:庵野秀明(総監督)、樋口真嗣(監督・特技監督)
出演:長谷川博己、竹野内豊、石原さとみ、高良健吾、大杉漣、柄本明、余貴美子、市川実日子、國村隼、平泉成、松尾諭、津田寛治、塚本晋也、高橋一生、岡本喜八、野村萬斎
制作:東宝映画、シネバザール/2016
URL:http://www.shin-godzilla.jp/index.html
場所:ユナイテッド・シネマ浦和

この夏公開の映画の中で、特にTwitter界隈でダントツな人気を誇るのが『シン・ゴジラ』で、そのムーブメントは『パシフィック・リム』や『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の時と同じような様相を呈して来ている。公開と同時に映画を絶賛するTweetが雨あられのように飛んできて、その絶賛クラブに加わらなければまるで人間であることを否定されているような気分にさせられて、否定的な意見を述べようものなら四方八方から集中砲火を浴びせられてコテンパンにやっつけられてしまいそうな、なんとも気持ち悪い状態になって来ている。

だから私も人間であることを維持するために、そのクラブに入るべく『シン・ゴジラ』を観に行った。

みなさんがおっしゃるようにめちゃくちゃ素晴らしかった。『パシフィック・リム』や『マッドマックス 怒りのデス・ロード』ではさすがに冷めてしまったわたくしでも、今回ばかりは最大限に同意しなければならない。やはり庵野秀明は凄い。

もちろん、あまりにも政府の意思決定プロセスを描くことに腐心するあまり人間が描けていないとか、あまりにも自作の「エヴァンゲリオン」を引用しすぎるとか、あまりにも「ヤシオリ作戦」がご都合主義で簡単に成功してしまうだとか、あまりにも石原さとみが惣流・アスカ・ラングレーのようなアニメキャラになっているとか、あまりにも石原さとみの英語が次期大統領を狙っているネイティブとしては酷いとか、あまりにも石原さとみのメイクが酷いとか、あまりにも石原さとみが……(以下略)。それぞれ指摘されている批判はごもっともです。

それでも、ハリウッドVFXに目が肥えている日本の人たちが納得する東宝怪獣映画とはどのようなものなのかを一つの答えとしてはっきりと導き出しているし、低予算であったとしてもハリウッド版ゴジラと遜色のない日本の特撮映画を作り上げているし、「ゴジラ」シリーズから見れば傍流の「ゴジラ」としてしか存在し得ないのかもしれないのだけれど、日本映画の歴史に名を残す特撮映画を作りあげたんじゃないかとおもう。

この「オタクと変人の集まり」の真摯な闘いにしか「日本特撮の申し子が作った日本特撮の神髄」がないのだとしても、そこには「わびしさ」よりも「よくやった!」の感想以外になかった。

→庵野秀明、樋口真嗣→長谷川博己→東宝映画、シネバザール/2016→ユナイテッド・シネマ浦和→★★★★