監督:松居大悟
出演:蒼井優、高畑充希、太賀、葉山奨之、石崎ひゅーい、菊池亜希子、山田真歩、花影香音、落合モトキ、柳憂怜、国広富之、加瀬亮
制作:「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会/2016
URL:http://azumiharuko.com
場所:新宿武蔵野館

新宿武蔵野館の12月いっぱいのタダ券がもったいないので、ラインナップの中でも観るのならこれだろうと『アズミ・ハルコは行方不明』。今年は大ヒットの邦画が続いて、それに連れられてなのか邦画を観る機会が多くなった。

ちょっとした地方都市の、アラサーになっても定職に就いてなくて、実家でダラダラと暮らしている若い奴が実際にどれくらいいるのか分からないのだけれど、日本の映画にはこの手のタイプのキャラクターが良く出てくるような気がする。で、そこには行き場のない閉塞感がたっぷりで、それを映画でじっくりと見せられてもただ息苦しいだけで、そんなところが邦画を敬遠してしまう理由の一つだった。いや、そうではなくて、映画の場合には描き方ひとつでどのようにも面白くもなるはずで、そこの工夫があまりにもないところが邦画を敬遠してしまう理由だった。

松居大悟監督の『アズミ・ハルコは行方不明』は、いまの日本の、学歴がなくて、コネもなくて、のめり込むものもなくて、向かうべき方向性を見失っている女性たちを、30歳あたりを蒼井優、20歳あたりを高畑充希のキャラクターに象徴させていて、彼女たちの時間軸を切り刻んで前後にシャッフルさせながら、しかも、その二つの世代をじかに交わらせることなく描いているところが工夫しているところだった。その工夫が映画としては、ちょっぴり、面白かった。

でも、これはいったい何の映画だったのだろう。10代を象徴しているJK暴力団や、40代あたりを象徴させている蒼井優の会社の先輩に、良いようにあしらわれた男たちへの復讐がかいま見えるけど、それがこの映画の主題でもないような気がするし。

→松居大悟→蒼井優→「アズミ・ハルコは行方不明」製作委員会/2016→新宿武蔵野館→★★★