監督:クエンティン・タランティーノ
出演:レオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビー、ラファル・ザビエルチャ、ブルース・ダーン、アル・パチーノ、ダミアン・ルイス、ティモシー・オリファント、ルーク・ペリー、エミール・ハーシュ、マイク・モー、 ロレンツァ・イッツォ、カート・ラッセル、ゾーイ・ベル、ニコラス・ハモンド、デイモン・ヘリマン、ルーマー・ウィリス、ドリーマ・ウォーカー、オースティン・バトラー、ダコタ・ファニング、マーガレット・クアリー
原題:Once Upon a Time in Hollywood
制作:イギリス、アメリカ/2019
URL:http://www.onceinhollywood.jp
場所:Movixさいたま

タランティーノの新作は1969年のハリウッドが舞台。1950年代から活躍していたテレビ俳優が映画俳優への転身を図ろうとするけれども、時代の波に乗り切れずに自身の身の置きどころに苦悩しているさまを、当時の空気と一緒にリアルに再現しているところが、さすがタランティーノ! の映画だった。

映画の構成としては、ひとつは落ち目のテレビ俳優(レオナルド・ディカプリオ)とコンビを組んできたスタントマン(ブラッド・ピット)の二人の、時代の狭間での身の処し方に苦悩するストーリー。そしてもうひとつは、その落ち目の俳優の隣に住む女優シャロン・テートを取り巻く人びとのストーリー。だからもちろん、当時のアメリカを震撼させたシャロン・テート惨殺事件らしきエピソードも盛り込んで、臨月を迎えたシャロン・テートのお腹が割かれるシーンも出ちゃうのか! とハラハラしながら見守らざるを得ない、タランティーノらしい小憎らしい映画になっていた。

シャロン・テート惨殺事件の、実際には手を下したわけれはないけれども、実行犯の親玉であるチャールズ・マンソンが共同生活を営んでいたコミューンらしき「スパーン映画牧場」も出てくる。そこにブラッド・ピットが潜入するくだりは、まるでデヴィッド・フィンチャーの『セブン』のようなゾクゾクするサスペンスで、そのような小ネタが満載なところも映画ファンを惹きつける要素になっていた。

小ネタとしては、大人びた子役を演じたジュリア・バターズが「プロの役者とは」なんてこまっしゃくれた説法をたれて、レオナルド・ディカプリオの役者としての自信を取り戻させるシーンも最高だった。

ただ、レオナルド・ディカプリオやブラッド・ピットが演じる人物の造形の浅さや、シャロン・テートが出演した『サイレンサー第4弾/破壊部隊 』の「Karate Advisor」がブルース・リーだったことからの、興味本位としか見えないブルース・リーの無理やりな登場シーンとか、コアな映画ファンでなければ、この映画は面白いのか? な映画でもあった。

→クエンティン・タランティーノ→レオナルド・ディカプリオ→イギリス、アメリカ/2019→Movixさいたま→★★★★