帰れない二人

監督:賈樟柯(ジャ・ジャンクー)
出演:チャオ・タオ、リャオ・ファン、ディアオ・イーナン、フォン・シャオガン
原題:江湖儿女/Jiang hu er nv/Ash Is Purest White
制作:日本、フランス、中国 /2018
URL:http://www.bitters.co.jp/kaerenai/
場所:新宿武蔵野館

ジャ・ジャンクーの映画を観たときに、そこに出てくる登場人物たちは、日本のテレビ番組で取り上げられるような成長を遂げる中国経済の恩恵を受けている人たちではなくて、それとはまったく関係のない人たち、取り残されてしまった人たちが多いので、これこそが中国の人たちの真の姿なんじゃないかと納得すると同時に、強権的な共産党の下でうごめいている人たちに同情したりもしてしまう。

『帰れない二人』は、中国が経済成長を続ける2001年の炭鉱の街、山西省大同からストーリーがはじまる。そこで雀荘などを取り仕切っているやくざのビン(リャオ・ファン)とその恋人チャオ(チャオ・タオ)は羽振りのいい生活を送っているが、時代が変わっていくなか、暴力事件に巻き込まれたことをきっかけに潮目が変わって行く。ビンを助けたことから刑務所に入ったチャオは、5年の刑期を終えたあとに連絡の取れなくなったビンを探して、大同から三峡ダムによって水没する奉節、新疆方面への列車からふたたび大同へとさすらう。北京や上海ではなくて、このディープな中国に見える人びとのくらしこそがいまの中国の限界で、それを無視して中国と云う大きな国は語れないんじゃないかとはおもう。

ジャ・ジャンクーと同じように真の中国を感じさせる映画を取り続けるもうひとりの監督がワン・ビンだ。今度、10月10日からはじまる山形国際ドキュメンタリー映画祭で上映される新作『死霊魂』はなんと上映時間8時間15分! 観に行きます!

→賈樟柯(ジャ・ジャンクー)→チャオ・タオ→日本、フランス、中国 /2018→新宿武蔵野館→★★★☆